毎日のレシピ
2018年11月29日更新
琉球薬膳料理研究家の宮國由紀江さんが教えてくれる薬膳レシピ「豚肉とパパイアのニラスープ」
薬膳でメンテ[63]
冬は生命の元である「腎」の働きが弱くなりやすい季節。中医学では、冬の養生を重視しています。腎を守るため、エネルギーを蓄え、ゆっくり過ごすことが大切です。
冬はエネルギー蓄え休む
生命の元「腎」を補う
徐々に、肌寒くなってきました。1年を通して手足の冷えや腰の冷えでお悩みの方にとって、つらい季節である「冬」の訪れももうすぐです。中医学では、11月から2月までの約3カ月間を冬としています。
冬は気温が下がり、自然界の陽気が減少し、陰気がもっとも盛んな季節です。木の葉も枯れ落ち、虫は土の中に隠れ、冬ごもりに入ります。自然の摂理に従えば、動物たちは活動を停止し、じっと耐えて春を待つとき。中医学的には、ホルモンのバランスや老化に関連する「腎」の働きが弱くなりやすい季節です。
特に女性には、足腰の冷えと共に、生理不順や生理痛でお悩みの方も多いのではないでしょうか? 女性は35歳、男性は40歳前後を過ぎると「腎」が低下し、生殖能力の低下が訪れ始める年齢といわれています。
体質的に冷えが強くなり、これまでは疲れても気力で何とか頑張れたけれど、体力が衰え無理が利かなくなった、という方もいらっしゃるのではないのでしょうか。それ以外に、精力減退や腰痛といった症状が出てきます。このような症状は、年を重ねると、強くなっていくことが多いです。
不妊症にも関連
体の中で何が起きているのか、確認したいと思います。
中医学の五臓六府における「腎」には、生命の元となる「精」が補充されています。精とは、生命エネルギーの結晶で、成長や発育・生殖活動に必要な物質です。気や血を生み出し、骨や脳の形成、聴覚や視力の維持にも貢献しています。生命の土台である精の減少は、老化の進行と関係が深いと言えます。
最近、高齢者だけでなく、若年層にも精の減少が見られるようになりました。原因不明の不妊症など、生殖活動にまつわるトラブルは、腎機能が衰える「腎虚」と関係する可能性があると考えます。
「乳児の五遅」と呼ばれる「起立の遅れ」「歩行の遅れ」「言葉の遅れ」「発毛の遅れ」「歯の生え遅れ」は、母体の腎虚の影響で、乳児に腎が不足しているためと言われています。泉門(頭蓋骨のすき間)の閉鎖の遅れ、夜尿症なども、腎虚に関連する、とされています。
冬の養生が大事
中国では「冬至養生」と言って、冬を利用した養生を重視しています。冬はエネルーをしっかり蓄え、自分の生命力を守り春に備える時期です。腎や気を補う食べ物を取り、ゆっくり過ごしましょう。乾燥しがちな季節なので、潤いをもたらす食べ物を取ることも必要です。また、体温が下がると消化力も低下。暴飲暴食をしがちな時期でもあるので、消化が良いものを食べることも養生の一つです。
特に女性は、寒さから体を守ることが大切です。冷えにより体を温める力が低下すると、月経不順や不妊などの原因にもなります。体を温める食材を積極的に取りましょう。
来年に備え、1年間を乗り切れる体作りをしましょう。
腎を補い消化力高める
豚肉とパパイアのニラスープ
●材料(4人分)
豚肩ロース……300g
干しシイタケ……2枚
青パパイア……200g
ニラ………………2束
塩小さじ……………1
ニンニク………1かけ
ショウガ………1かけ
かつおだし…1000ml
●作り方
下準備:豚肉は沸騰した湯の中に入れ、ブロックのまま40分ゆでる。干しシイタケは、水に戻す。
〈1〉ゆでた豚肉を3~4センチに角切り、水に戻したシイタケは半分、パパイアは3センチの短冊切り、ニラは3センチにカットする。
〈2〉鍋にだし汁と1の材料、千切りにしたショウガ、ニンニクを入れて沸騰させる。
〈3〉沸騰後、中火でふたを開けたまま約30分中火で煮込む。
〈4〉各材料の火の通りを確認し、塩で味を調え器に盛る。
食材の効果
豚肉 腎、気、血を補う。潤す
干しシイタケ 体力回復
青パパイア 消化を助ける。疲労回復、二日酔いに良い
ニラ 体を温め、血の巡りを良くする
ショウガ 胃腸を温め、寒さを取り除く
ニンニク 胃腸を温め、寒さを取り除く
カレー粉 胃腸を温める
温めて、腎を補う
ベトナム風カレー
●材料(4人分)
エビ……………………300g
レモングラス………大さじ1(みじんぎり)
ナンプラー…………大さじ1
黒こしょう………………適量
塩…………………ふたつまみ
オリーブオイル……大さじ2
ブロッコリー…………100g
枝豆………………………80g
マッシュルーム…………50g
トマト……………………1個
玉ネギ……………………1個
フェンネルシード…小さじ1
ターメリック………小さじ1
カレー粉……………大さじ1
ココナツミルク……1カップ
塩……………………小さじ1
水……………………400ml
シークヮーサー……1個
●作り方
〈1〉エビは殻をむき、背わたを取る。赤字の食材をまぶし30分ほど漬け置きする。
〈2〉フライパンを熱し、オリーブオイルを回し入れる。エビを中火で2~3分炒める。
〈3〉2に青字の食材とフェンネルシードを加えて炒める。
〈4〉3にターメリック・カレー粉を入れ軽く炒め、塩・ココナツミルク・水を加えて煮込み、アクを取りながら中火で約30分煮込む。
〈5〉シークヮーサーを搾り、出来上がり。
食材の効果
エビ 足腰の冷え、体力回復
ブロッコリー 腎を補う、胃腸の調子を整える、体を丈夫にする
玉ネギ 胃腸の調子を整え、血の巡りを良くする。生理痛を緩和する
ココナツミルク 胃腸を温め、体力を補う
カレー粉 胃腸を温める
冬にお薦めの食材
腎を補う
クリ、クルミ、ブドウ、黒ゴマ、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ニラ、ヤマイモ、黒豆、イカ、ウナギ、エビ、ホタテ、昆布、カキ、タイ、ムール貝、豚肉、ラム肉、卵など
温める
クルミ、ネギ、ニンニク、ニラ、クリ、エビ、サケ、マグロ、ラッキョウなど
潤す
黒豆、ヤマイモ、カブ、キクラゲ、ホウレンソウ、ナシ、プルーン、イカ、ブリ、カキ、ハマグリ、豚肉、豚の皮、鶏の卵、チーズ、ヨーグルトなど
気を補う
穀類、ジャガイモ、ヤマイモ、ニンジン、シイタケ、マイタケ、ブロッコリー、アボカド、カボチャ、アナゴ、イワシ、ウナギ、サバ、ニシン、ヒラメ、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉など
血を補う
黒豆、シメジ、キクラゲ、ニンジン、パセリ、ホウレンソウ、アーモンド、カシューナッツ、黒ゴマ、松の実、プルーン、タピオカ、黒キクラゲ、赤貝、アサリ、アナゴ、ウナギ、カキ、サケ、タコ、タラ、ブリ、ニシン、マグロ、イカ、シジミ、肉類、卵、豚足など
女性は7の倍数で変化
中医学では、女性の体は7年ごとに節目を迎え、その節目の時期には、体調や精神のバランスが大きく変わるといわれています。 男性は「8の倍数」で、体が最も充実するのは32歳といわれます。ただし、養生により変化が緩やかになる、と考えられています。
7歳 歯が生え変わり、髪が長くなる
14歳 月経が始まる
21歳 身長が伸びる
28歳 体と性機能がピーク。女性として一番キレイな時期
35歳 肌のハリや髪が衰え始める
42歳 シワや白髪が気になり始める
49歳 閉経が訪れる
56歳~ ゆるやかに老化していく
[文]
宮國由紀江(みやぐに・ゆきえ)
琉球薬膳料理研究家。国際中医薬膳師。栄養士。薬膳龍花代表
http://www.y-ryuka.com/
薬膳龍花
098-974-8183
<過去の薬膳レシピ>
- トウガンと緑豆のカレー
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- オレンジピールとアーモンドのショコラ
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- 豆腐とヤマイモのグラタン
- クワの葉と実のムース
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- セロリとトマトのスープ
- ネギのリゾット
編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』薬膳でメンテ・第1636号 2018年11月29日掲載
[薬膳・冬はエネルギー蓄え休む]