毎日のレシピ
2017年7月20日更新
琉球薬膳料理研究家の宮國由紀江さんが教えてくれる薬膳レシピ「野菜と魚介のスープ」
気・血・水のバランス整え心身快調に 薬膳でメンテ[52]
不眠|精神を安定させ、安眠効果が期待できる「野菜と魚介のスープ」
Dさん 男性(60代)
「不眠」
【訴え】
訴え 定年退職後あちらこちらに不調を感じ始めた。数年前から夜の寝付きが悪く、寝付くまでに時間がかかる。寝たと思えば、夜尿もありスッキリ寝た感じがしない。難聴や、腰痛にも悩まされる。老後、いろいろ楽しもうと考えていたが、思うように活動できない。今後を考えると心配になる。
腎補い心を安定させる
相談者の症状である不眠から「心」、難聴や腰痛から「腎」に関連すると判断しました。
中医学の「心」は、現代医学の心臓に近いのですが、イコールではありません。心は心臓と同じく、主な働きとして、全身に血を送り出し各部に巡らせます。中医学では、そのほかに、精神的な働きを管理するのも心と考えます。物事を考えたり、意識したり、感情など精神的な機能と関わりがあります。そのため、不眠や夢を多く見るなどの症状がある場合は、心の状態が不安定ではないかを確認します。
もう一つ関連する臓器「腎」は、体内で最も大切な臓器の一つです。中医学では、広く生殖や成長、発育、ホルモンの分泌、免疫系などの機能を併せ持つ生命の源と考えられています。腎の主な働きは、生命を維持するエネルギー源「精」(成長・生殖機能)を蓄え、体内の水分をコントロール(排尿)すること。その他に酸素を深く吸い込む機能、骨や歯、脳、髪などの生育、耳、尿道、肛門の機能維持といった働きもあります。腎に蓄える精が不足して機能が衰えると、腰痛や聴力の衰え、不妊症や精力の減退、更年期、骨粗しょう症、排尿トラブル、脱毛、健忘症、といった不調が現れます。
心の熱が睡眠障害に
心は陽の代表、腎は陰の代表とされ、心火、腎水という言葉もあります。腎水(腎精)が不足すると、心の熱が変化し炎となり、興奮し、寝付きが悪くなり、睡眠障害となります。腎水は車のエンジンの熱を冷やすラジエーターのイメージです。
対策は、腎精と心の血を補充して心の火の高ぶりを抑え、安定させること。そうした食材を積極的に取るよう、アドバイスしました。
Dさんは3カ月食事療法を継続し、これまでの症状がすべてといってよいほど緩和。以前は体調に悪いところはあるか? という質問に対して用紙いっぱいに症状が羅列されていましたが、3カ月後には書くことがなくなったそうで、白紙の状態でした。
精神を安定アサリ、チンゲン菜
腎補うキクラゲ、キャベツ
野菜と魚介のスープ
[精神を安定させ、安眠効果が期待できる]
エビ | 24本 |
アサリ(殻つき) | 40g |
水 | 900ml |
クワンソウの根 | 30g |
キャベツ | 200g |
ニンジン | 50g |
チンゲン菜 | 2株 |
キクラゲ | 2枚 |
バター | 10g |
塩 | 小さじ1 |
1. | エビの殻をむく。 |
2. | 沸騰した鍋に、1のエビと殻つきのアサリ、クワンソウの根を入れ、だしをとる。 |
3. | 2のアサリは殻と身を分け、エビも鍋から取り出す。 |
4. | キャベツ、ニンジン、キクラゲは千切りにし、チンゲン菜は3cm程度にカットする。 |
5. | 2のだしにカットした4の野菜を入れ加熱する。 |
6. | 全体の火の通りを確認したら、3のアサリ、エビを入れ一度沸騰させる。塩で味を調え、バターを入れて出来上がり。 |
食材の効果レシピから
エビ | 血を補う、熱を冷まし、潤す |
アサリ | 精神を安定させる、血を補う、熱を冷ます |
クワンソウの根 | 精神を安定させる、熱を冷ます、血を補う |
キャベツ | 腎を補う、胃を健やかにする、熱を冷ます |
ニンジン | 血を補う、潤す |
チンゲン菜 | 精神を安定させる、熱を冷ます、胃腸を健やかにする |
キクラゲ | 潤す、血を補う、腎精を補う |
お勧めの食材
アーモンド・クワの実・カキ・スズキ・鶏卵・豚の心臓・小麦・黒米・ササゲ・カシューナッツ・黒ゴマ・枝豆・カリフラワー・キャベツ・ブロッコリー・マッシュルーム・プルーン・ブルーベリー・うなぎ・エビ・サザエ・シシャモ・スッポン・タイ・豚肉・豚まめ・ヤマイモ・黒豆・アスパラガス・キクラゲ・イカ・豚の髄・エリンギなど
<過去の薬膳レシピ>
- 野菜のカップケーキ
- 大福もち
- ロールキャベツ
- マメマメサラダ
- レーズンペースト
- 野菜と魚介のスープ
- トマトとイカのサラダ
- 薬膳スイーツポテト
- 沖縄風みそ汁
- 豚レバー薬膳スープ
- ローゼルとワインのホットドリンク
- クリームチーズの芋団子
- 豆腐とヤマイモのグラタン
- クワの葉と実のムース
- 大根もち
- セロリとトマトのスープ
- ネギのリゾット
[文]
宮國由紀江(みやぐに・ゆきえ)
「薬膳龍花」主宰。国際中医薬膳講師、栄養士。沖縄の食材を使った琉球薬膳料理を研究している。
http://www.y-ryuka.com/
編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』薬膳でメンテ・第1566号 2017年7月20日掲載
[薬膳・ヘルスケア・不眠]