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2025年6月26日更新

フリーランスコミュニティーOFNE「船長」・合同会社Port代表社員 仲本 紫織さん|在宅ワーカー束ね舵取り[彩職賢美]

女性フリーランスのワークシェアコミュニティー「OFNE(オフネ)」を立ち上げたのは2020年末。仲本紫織さん(44)はデザインなど在宅ワークを獲得し、仲間とシェアしてきた。メンバーは150人を超えた。今年1月の法人化を機に「女性が自分らしく働ける環境」を自らの手でつくる第二の“航海”の舵(かじ)を取る。

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「自在な働き方」自らの手で

フリーランスコミュニティーOFNE「船長」
合同会社Port代表社員

仲本 紫織 さん

 

悩み分かち合い 共にスキル向上

2018年、夕方の混み合う道路。毎日1時間かけて保育園のお迎えに行く38歳の仲本紫織さんの中に違和感が募っていった。「子育てをしながら会社勤めができるのだろうか」。パート・アルバイトで11年、正社員で6年。生活の変化に合わせて働き方を変えてきた仲本さんに次の転機が訪れていた。

20歳だった2000年に、先に沖縄に通っていた女友達に誘われて訪れた。沖縄と地元・東京でバイトをして飛行機代をため、片道切符を手に2拠点を行き来する生活を約1年送った。21歳の時に沖縄で結婚。22歳から2年ごとに第3子まで産み育てる間もパートやバイトで働いた。

郵便局の臨時職員4年目の11年に東日本大震災が起きた。「今津波が来て死んだら、めっちゃ後悔する。やりたいことをやらなきゃ」と思った。ハローワークの職業訓練に通い、パソコン上で印刷物をつくるDTPやデザインを学んだ。32歳で初めて正社員になり、1年後に東京の印刷会社の沖縄営業所に転職し、希望していたDTPやデザインの仕事に打ち込んだ。再婚して第4子を出産すると、育休を取得して、初めて子どもとゆっくり過ごす時間が持てた。

しかし、復職すると違和感があった。お迎えのため時短勤務にすると給与は下がる。作業を効率よくこなすよりも残業した方が収入が多いのはおかしいのではないか。東京本社で実施している在宅勤務を申し出たが、認められなかった。

夫に話すと「月5万円稼げるようになったらフリーになってもよいのでは」と背中を押された。日帰りで上京して制作会社3、4社の面接を受けて業務委託契約を結び、副業の形で仕事を始めた。通販カタログやチラシなどのDTPに加え、事務作業も請け負った。5カ月ほどで目標を超え、18年に退職した。
 
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コロナ禍になると、面接は不要、作業もオンラインで完結するようになり、仕事が増えた。20年12月、当初からフリーランス同士のつながりをつくりたいと考えたこともあって「OFNE(Okinawa Freelance women’s Network)」の名称とロゴを考えてSNSアカウントを開設し、仲間を募った。初日から反響が多く「多くの人がコロナで立ち止まって、自分には何が大事なのか、どう生きたいのかを考えている」と感じた。「船長」の仲本さんが営業して獲得した仕事をメンバーに業務委託する。子の発熱など緊急時には他のメンバーがカバーする態勢も整えた。仲本さんにとって育休取得が大事な経験だったと言う。「子どもが小さいのは一瞬だから子育てに専念したいという気持ちが初めて分かった」。同じ人でも人生のステージごとに働くことへの考え方も変わる。OFNEが「柔軟に、思った通りに働ける」受け皿になればいいと考えている。

企業経営手法にならってミッションを明文化。「女性が自分らしく自由に働ける環境をわたしたちの手で作ろう」と掲げた。ワークシェア、コミュニティー活動、スキルアップ活動を3本柱に据えた。悩みを相談する場や各種の講座を展開し、在宅ワークのプロ集団を目指す。

今年1月に合同会社「Port」を立ち上げ、運営を法人化した。作業を細分化・マニュアル化して分担するノウハウを企業向けに提供したいとも考えている。子育て中の社員が一時的に欠けても仕事を回せる仕組みは企業にも求められていると考えたからだ。「フリーランスだけでなく企業で働く女性も応援したい。どんな働き方を選んでもうまく働ける社会になればいい」。仕事を請け負うフリーランスから社会を変える主体へと一歩踏み出す。


 ポッドキャストで毎週情報発信 
毎週水曜日にラジオ沖縄公式ポッドキャスト「OFNEのフリーランス女子レディーオ!」=写真=を配信している。テーマを決めてメンバーがオンラインで体験や考えを語り合う形で収録。SNS運用代行の実例など作業の具体例から、フリーランスの営業の仕方、クライアントの心に刺さる仕事術など経験に裏打ちされた話題が聞ける。ユーチューブ公式チャンネルでオンライン収録時の映像をアップしており、同じ内容を「顔が見える」状態で聞ける。



水曜日にはブログを更新している。いずれもサイト(https://www.ofne.net/)でバックナンバーをたどれる。


 音楽ライブ再開 CM曲も制作 

中学のころに始めたモデル活動が続けられるようにと、高校は都立の定時制に通った。同じように芸能活動をする生徒も多かった。友人と女性デュオ「ストロオズ」を結成し、自主制作のカセットテープ2本を全国のタワーレコードに流通させた。別にCD2枚を独立系レーベルから全国発売し、話題を集めた。

2010年ごろから沖縄で音楽活動を再開。高校時代のニックネーム「しょーしょー」名でいくつかのバンドに参加し始めた。現在はソロ活動=写真=のほか、夫が主宰するアフリカ音楽のバンド「アフリケージア」、トランペットユニット「気晴らしパラダイス」に参加している。

東洋ハウジング、オキコなど県内企業のCMソング制作も請け負う。オキコの商品CMでは、息子の一頂(いっちょう)さんもナレーションで出演した。



プロフィル/なかもと・しおり
1980年東京都出身。2001年に沖縄で結婚。パート・アルバイトをしながら第3子まで産み育てる。DTPやデザインの職業訓練を受け、12年にコンテンツ制作会社に入社。13年印刷会社のDTP部門に転職。16年再婚、第4子を出産し、育児休業を取得。復職後に退職し、フリーランスになる。20年「OFNE」を発足。25年合同会社「Port」を設立、代表社員に就く。



今までの彩職賢美 一覧
撮影/比嘉秀明 取材/安里努(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1447>
第1976号 2025年06月26日掲載

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