毎日のレシピ
2017年10月19日更新
琉球薬膳料理研究家の宮國由紀江さんが教えてくれる薬膳レシピ「マメマメサラダ」
気・血・水のバランス整え心身快調に 薬膳でメンテ[55]
便秘|胃腸を整え便秘解消
Fさん 女性(30代)
「便秘」
【症例】
数年前から、便秘で悩んでいる。数日排便せず、下剤を使い排便させることが長年続いている。力む力が無く、排便後は疲れる。普段から疲れやすく、あまり食欲もない。便秘の改善と体力をつけたい。
エネルギー不足が一因
「大腸は糟粕(食べ物のカス)の伝化を主る」といい、小腸から送られてきた糟粕の水分が大腸で再吸収されて便を作り、肛門から排せつされます。これらがスムーズに営まれるには、胃・肺・腎の協力が必要です。
まず、胃は濁(飲食物の残り)を下の小腸に送ります。小腸で消化されなかったものは大腸へ運ばれますが、大腸の伝達作用には、肺と腎が関係します。胃や肺、腎の働きが悪いと、便の排せつに影響します。
便秘の原因はさまざまで、便の状態から考えることができます。例えば、便が乾燥して硬い時は大腸に潤いがないか、熱をもっていて乾燥したのか。便が硬くないのに便秘なら、押し出す力が不足しているか、などです。
中医学では、便秘は熱による「熱秘」、気の滞りによる「気秘」、気や血が不足する「虚秘」、冷えによる「冷秘」の4種類に分けられています。その内の虚秘は、エネルギー不足(気虚)と潤い不足(血虚)に分けます。
米や豆がオススメ
今回の相談者は、訴えからエネルギー不足の気虚による便秘と考えました。気虚による便秘は、疲れやすく体力がない、排便後疲れる、数日排便してなくても便は硬くない、といった症状が出ます。
気虚の方にお勧めの食材は、炭水化物や豆類など。うるち米・ヤマイモ・サツマイモ・ジャガイモなどを中心に食べることをアドバイスしました。彼女は、太ることを心配して、普段から炭水化物、特に米をあまり食べていなかったようです。
食欲もなかったので、胃の調子が悪いと考え、消化を助けるため、調理方法にも気をつけるよう勧めました。朝はおかゆなどにやわらかく炊いた豆を入れたり、主食を焼き芋にすることを提案しました。
Fさんは、少しビックリした様子で、便秘だと食物繊維の多い食材を勧められると思ったけれど、炭水化物で改善するんですか? と半信半疑でした。体力が無くて排便する力がないための便秘なので、体力をつけるために、エネルギーを豊富に含んでいる米を食べると、代謝が上がり排便する力や疲れやすい悩みにもいいですよ、と答えました。ただし注意点として、繊維を多く含む玄米は胃腸に負担がかかるため控えるようお話しました。
翌日からおかゆやイモを取り入れたところ、1週間後には自力で便が出るようになったということです。
便秘を解消ひよこ豆
胃腸を整えるハトムギ
マメマメサラダ
[胃腸を整え便秘解消]
ひよこ豆(ゆでたもの) | 150g |
小豆(ゆでたもの) | 50g |
ハトムギ(ゆでたもの) | 100g |
レンズ豆(ゆでたもの) | 50g |
タマネギ | 100g |
ピーマン | 1個 |
レモン汁 | 大さじ2 |
塩 | 小さじ1 |
パプリカパウダー | 小さじ1 |
クミンシードパウダー | 小さじ2 |
1. | ボウルに全ての調味料を入れてしっかり混ぜる。 |
2. | タマネギ、ピーマンはみじん切りにする。 |
3. | 2のタマネギ、ピーマンと小豆、ハトムギ、ひよこ豆、レンズ豆をあわせる。 |
4. | 1の調味料と3の具材を合わせしっかりあえる。 |
5. | 器に盛り付け出来上がり |
食材の効果レシピから
ひよこ豆 | 便秘の解消、脾(胃腸)を整える |
小豆 | 利尿、解毒 |
ハトムギ | 脾(胃腸)を整える |
お勧めの食材
エネルギーを補う
うるち米、サツマイモ、ヤマイモ、ジャガイモ、大豆、カボチャ、ひよこ豆、黒ごま、アボカド、米麹、黒豆、アーモンドなど
<過去の薬膳レシピ>
- マメマメサラダ
- レーズンペースト
- 野菜と魚介のスープ
- トマトとイカのサラダ
- 薬膳スイーツポテト
- 沖縄風みそ汁
- 豚レバー薬膳スープ
- ローゼルとワインのホットドリンク
- クリームチーズの芋団子
- 豆腐とヤマイモのグラタン
- クワの葉と実のムース
- 大根もち
- セロリとトマトのスープ
- ネギのリゾット
[文]
宮國由紀江(みやぐに・ゆきえ)
「薬膳龍花」主宰。国際中医薬膳講師、栄養士。沖縄の食材を使った琉球薬膳料理を研究している。
http://www.y-ryuka.com/
編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』薬膳でメンテ・第1579号 2017年10月19日掲載
[薬膳・便秘]