毎日のレシピ
2018年8月23日更新
琉球薬膳料理研究家の宮國由紀江さんが教えてくれる薬膳レシピ「トウガンと緑豆のカレー」
薬膳でメンテ[62]
胃腸を冷やしがちな夏の風邪は、胃腸を温めることが大事! 「内熱」「内冷え」「喉の荒れ」の三つのタイプ別に、養生方法をお伝えします。
夏風邪は胃腸を温めて
暑い夏、冷房や冷たい飲食物の取り過ぎで、夏風邪をひいた、という方もいるのではないでしょうか。夏風邪はおなかの調子を崩して下痢気味になったり、悪寒や鼻水、倦怠感(けんたいかん)を訴えやすいです。
基本的に、夏は中医学で胃腸を示す「脾胃」を冷やしやすいので、食材で温めることをおすすめします。脾胃は、飲食物を消化し、営養(栄養)を吸収して、エネルギーや血液を作り出すとても重要な役割を担っています。いわば、生命を支える大切な臓器。「脾(ひ)」は湿気を嫌い、「胃」は冷えを苦手とする性質があります。
冷たい物・甘い物・脂っこい物などは脾胃に負担がかかるため、取り過ぎないよう意識をするといいでしょう。また、水分の取り過ぎは、胃酸を薄め消化力を低下させます。過剰にがぶ飲みしないよう気を付けましょう。ほかに、ショウガやミョウガ、シソといった薬味は、おなかを温め、発汗させるため、積極的に取りたい食材です。
三つのタイプ
夏風邪には、三つのタイプがあります。症状に合わせて、適した食べ物は異なります。
- 体の外が冷え、内に熱がこもる。
冷風に長く体をあてると、表面が冷え、熱を上手に出すことが出来なくなります。この場合、外側は冷えて内側の熱は発散できず、苦しく感じます。 - 体の内が冷える。
冷たい飲食を過剰に取ると胃腸が冷えてしまい、消化不良や下痢を引き起こします。さらに、長引くと食事からエネルギー補充ができず、疲れやすい体になりやすいです。 - 喉が傷つく。
人の体は急激な変化には弱いもの。エアコンや扇風機などの乾いた風で、喉の表面が乾燥して荒れてしまいます。
夏は、養生方法を間違わなければ、新陳代謝も活発になるので健康に過ごしやすい季節です。夏の養生は1年の健康につながるので、体の冷やし過ぎに気をつけましょう。
体内に熱がこもる夏風邪に
トウガンと緑豆のカレー
●材料(4人分)
トウガン/400g
手羽元/8本
緑豆/60g
ハトムギ/50g
水/1.8l
ニンニク/1かけ
ショウガ/1かけ
クミンシード/小さじ2
塩/小さじ2
カレー粉/大さじ2
しょうゆ/小さじ4
サラダ油/大さじ2
●作り方
<1>
トウガンは一口大にカットする。
<2>
ショウガ・ニンニクはみじん切りする。手羽元は下ゆでする。
<3>
鍋に油を熱しクミンシード・ニンニク・ショウガを加え香りが出るまで炒める。
<4>
3に水を加え、トウガン・手羽元・緑豆・ハトムギを加え、強火で沸騰させる。
<5>
4が沸騰したら、アクを取りながら中火で約20分程度煮込む。
<6>
5に調味料を加え20分程度煮込み、出来上がり。
食材の効果
トウガン 熱を冷ます・余分な水を出す・イライラを取り除く
手羽元 気を補う
緑豆 熱を冷ます・暑さを冷ます・解毒・余分な水を出す
ハトムギ 余分な水を出す・脾を健やかにする・熱を冷ます
ショウガ 発汗を促す・寒さを散らす・胃腸を温める
クミンシード 胃腸を温める
カレー粉 胃腸を温める
体の内側が冷える夏風邪に
だし茶漬け
●材料(2人分)
かつおだし/800ml
しょうゆ/大さじ1
みりん/小さじ1
酒/小さじ1
おろしショウガ/小さじ1
ごはん/200g(2杯)
鶏ミンチ/200g
ショウガ/1かけ(みじん切り)
島ラッキョウ/1かけ(みじん切り)
長ネギ/20g
しょうゆ/大さじ1
みりん/大さじ1
サラダ油/大さじ1
レタス/40g
●作り方
<1>
かつおだしに、みりん・酒を入れ加熱し、しょうゆを入れひと煮立ちさせ、おろしショウガを加える。
<2>
1の粗熱をとる。
<3>
フライパンに油を熱し、ラッキョウ・ショウガを香りが出るまで炒める。
<4>
3の鍋に、鶏ミンチ、1cm角にカットした長ネギを入れて炒め、しょうゆ・みりんを加える。
<5>
レタスはさっと塩ゆでする。
<6>
どんぶりにごはんを盛り付け、ボイルしたレタス、炒めた鶏ミンチをのせ、2のだしを注ぎ出来上がり。
食材の効果
ショウガ 発汗を促す・寒さを散らす・胃腸を温める
米 気を補う・胃腸を健やかにする
鶏肉 気を補う・胃腸を温める
島ラッキョウ 胃腸の緊張を緩める・温める
長ネギ 発汗を促す・寒さを散らす
レタス 熱を冷ます・湿を取る・脾を健やかに保つ
当てはまる症状と、適した食材をチェック!
体の外が冷え、内に熱がこもる
□透明でさらさらした鼻水が出る
□くしゃみが多い
□頭痛がひどい
□内熱を感じるが、体は冷たい
【お勧めの食材】
●余分な熱と水を取り除く:トウガン・ヘチマ・ニガウリ・小豆・緑豆・ハトムギなど
●発汗を促し胃腸を温める:ショウガ・シソ・ネギ・シナモン
体の内が冷える
□体がだるく疲れやい
□薄い鼻水
□くしゃみが出る
□便がゆるい。下痢や胃腸の調子が悪い
【お勧めの食材】
●胃腸を温めるもの:ショウガ・ニンニク・こしょうなどの薬味
●気を補うもの:穀類。米・サツマ芋・長芋・ジャガ芋・米こうじ(あまざけ)など
乾燥で喉が傷つく
□喉が痛い
□からぜきが出る
□鼻がかゆい
□便秘がち
【お勧めの食材】
●肺を潤すもの:ハチミツ・氷砂糖・ナシ・アーモンド・落花生・レンコン・百合根・イチジク・オレンジ・パパイア・リンゴなど
[文]
宮國由紀江(みやぐに・ゆきえ)
琉球薬膳料理研究家。国際中医薬膳師。栄養士。薬膳龍花代表
http://www.y-ryuka.com/
薬膳龍花
098-974-8183
<過去の薬膳レシピ>
- トウガンと緑豆のカレー
- シーフードの煮込みスープ風
- 野菜スープ
- ハトムギと玄米ドリンク
- オレンジピールとアーモンドのショコラ
- 野菜のカップケーキ
- 大福もち
- ロールキャベツ
- マメマメサラダ
- レーズンペースト
- 野菜と魚介のスープ
- トマトとイカのサラダ
- 薬膳スイーツポテト
- 沖縄風みそ汁
- 豚レバー薬膳スープ
- ローゼルとワインのホットドリンク
- クリームチーズの芋団子
- 豆腐とヤマイモのグラタン
- クワの葉と実のムース
- 大根もち
- セロリとトマトのスープ
- ネギのリゾット
編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』薬膳でメンテ・第1622号 2018年8月23日掲載
[薬膳・夏風邪は胃腸を温めて]