サヤサヤなびく キビの花|親泊宗秀のコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

親泊宗秀

2019年1月9日更新

サヤサヤなびく キビの花|親泊宗秀のコラム

宮古島市に住む親泊宗秀さんが沖縄・宮古島の自然や人々の暮らしをご紹介します。沖縄を遊ぶ・楽しむ vol.14

サトウキビ畑では、キビの花(穂)が日の光を受け、黄金色に輝いている。年の暮れから年度末に掛けて見られる風物詩だ。
早い地域では、製糖工場の稼働に合わせて、12月の後半から“キビ倒し”が始まる。 その作業が終わるのが、3月ごろなのだが、雨が続くと、ハーベスター(大型のキビ刈り機)が畑に入れなくなるために刈り取りが遅くなる。

お気づきだろうか。キビ刈りを「キビ倒し」と表現していることに・・・。
宮古口(ミャークフツ:宮古言葉)で、キビ刈りのことを「ブーギィ° ナギィ°」と言う。
ブーギィ°は、サトウキビのことだ、ナギィ°とは、「なぎ倒す」の意味があることから、標準語ナマリで「キビ倒し」と言い表している。

キビ倒しで、笑い話がある。
本土出身の宮古婿と義父がキビ倒しをしているとき、標準語が苦手な義父が、キビ倒しの段取りを伝えようとしたのだがうまく伝わらない話。

キビの穂先を鎌で切り整える作業を「スラウツ」と言う
婿に対し、義父が言う。
「ハイ ムク(婿) そこのスラを打ちなさい」

婿 :  「・・・・・」

義父:「だから ブーギィ°のソラを打てよ」

婿   :「エッ! なんで空を撃つんですか!」

義父:「だれが、空を撃てといっているかよ マズ」
   「キビのソラを打てと言っている! 分からんわけ」

婿   :「キビの・・空・・・?」

義父:「アガイー カンナ マーラン マーンティー」
   (まったく、機転が利かないなぁ)

話がかみ合わないのは当然である。
宮古口で、先端のことを「スラ」と言う、スラとは日本の古語「空」からきているらしい、義父の標準語訳もあながち間違いではない。
婿の解釈も当たらずとも遠からず。
キビの茎は、「オノで倒す」。だから「キビ倒し」
キビの穂先は「鎌で打つ」だから「スラウツ」

近年、農地改良が進み手刈りをする生産者は少なくなった。代わりにハーベスターが、轟音を立てて、ガスー(一気の意)と、刈り取り30㎝程度に切りそろえ、ネットに積んでいく。機械化の恩恵を受けキビ倒しの苦労は軽減したようだが、オジー(畑の主)は、機械の後ろを付いて回り、こぼれ落ちたキビを拾い集めてネットに放り込む。
オジーにしてみれば、1㎝たりとも取りこぼしてほしくないのだろう。

人間のやりとりとは関係なく、今年のキビの花は例年になく咲き誇り、その輝きは多彩な変化を楽しませてくれている。
穂自体の色は淡い紫色をしているのだが、日の光の加減で南国にもかかわらず、雪が積もったような白色、大海の水面に映える輝きのような銀色、そして、夕陽を浴びると黄金色へと変化する。刻々と変化する様子は写し取るのに最適の被写体なのだ。



風にゆらぐのもいい!
サトウキビ畑を風がと通り抜ける様を宮古口で、言うなら「サヤサヤ」である。
柔らかな風にゆらぐキビの花、そこを通り抜ける風はとても穏やかだ。
「サヤサヤ」がしっくりくる。

少し冷たく柔らかな風が吹き、青く澄み渡る雲一つない空と、サトウキビのソラ(穂)のコントラストは、幼い頃の原風景と重なり、透きとおった気持ちの中をサヤサヤ吹き抜けていくのである。





親泊宗秀のコラム
vol.14 サヤサヤなびく キビの花
vol.13 ゴールデンシャワーのメッセージ
vol.12 異空間の雨上がり
vol.11 東松照明写真展
vol.10 宮古島の原風景(池間島)
vol.09 御嶽
vol.08 麺にこだわる島人
vol.07 孫の味方
vol.06 珈琲の香りを喫む
vol.05 光に満ちた世界
vol.04 宮古島の四季を感じる
vol.03 夜の帷(とばり)が降りるころ
vol.02 宮古島からの便り ロマン・空想は尽きない。
vol.01 宮古島からの便り[赤浜]

 

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1959年3月26日生まれ
宮古島市職員

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