「珈琲の香りを喫む」|親泊宗秀のコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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親泊宗秀

2017年2月25日更新

「珈琲の香りを喫む」|親泊宗秀のコラム

宮古島市に住む親泊宗秀さんが沖縄・宮古島の自然や人々の暮らしをご紹介します。沖縄を遊ぶ・楽しむ vol.06




古くは煙草を「吸う」のではなく「喫(の)む」と言っていた。
たばこ盆から煙草をキセルに詰め、炭火で火をつけ、プカ~っと一服するシーンを落語などでよく表現する。
一息入れるとは、そんな光景から言われるようになったのではないだろうか。

私は煙草をたしなまないので、一息入れるときは珈琲の豆を挽(ひ)く。
手動の珈琲ミルに焙煎された豆を入れ、ハンドルを回すと、それは小気味の良い音でカリカリと歯車に吸い込まれていく・・・。
歯車の隙間で粗挽きや細かく挽くことも、自分の好み次第で自由に調整できるのがいい。
粗く挽くと、飲みやすくなるが、なんだか物足りない味になる。かといって細かく挽きすぎると、苦みが増して今ひとつだ。
どちらでもない自分に舌に合った挽き具合を探すのも、おもしろみがある。

うまい珈琲は、飲むと口の中に甘さが追っかけてくる。
私は一口含み、喉に流し込んだ後、煙草を喫(の)むように香りを鼻に戻す。すると豆特有の香りがする。それは、豆を煎る度合いでも香りや風味が変わってくる。浅煎り、深煎り、さらにねかせると、艶やかな光沢が豆の表面をみがい宝石にも似た輝きを放つ。

挽き立ての豆にお湯を注ぐとき、一気にに淹(い)れるのではなく少し注ぎ豆を蒸らすと、豆がお湯を含み大地が盛り上がるようにふっくら膨らむ。まるで生き物のように・・・。
その変化を見るのも、珈琲を淹れる楽しみの一つだ。
どうも、おいしい珈琲を喫むには、茶道と同じような行程が必要のようだ。

ここ数年、自家焙煎珈琲を出してくれるカフェが増えている宮古島で、お気に入りの店を見つけた。テイクアウトがメインの店だか店内でも飲める。何がお気に入りかというと、店名がいい。
「ニンギン商店」。ニンギンとは宮古口(ミャークフツ)で「人間」を指す。漢字で示すと「人間商店」となる。店名からしてこだわりがある。
由来は、オバーからよく聞いた教訓からくるとのことだ。
店主は若く、こだわりの強い頑固親父とは真逆で、穏やかで独特な雰囲気を醸しだし、人当たりの柔らかな落ち着いた印象が来店者を和ませる。





焙煎にもこだわりがあり、手動の焙煎機を使用し直火で煎っている。(これが、この店の売りだ)けれど、手動の焙煎は難しいらしい。
以前、大豆を煎ったことがあるが、火加減がかなり難しいことを知っている。ほどよく煎ったつもりでいたのだが、フライパンから下ろすのが遅れ焦がしてしまったかとがある。
珈琲豆の自家焙煎となると、秒単位でタイミングを計る必要があるのは、容易に想像がつく。
珈琲の他に独学で試行錯誤の末、出来上がったと話す、おから入りの焼ドーナツが、ガラスケースに並べられている。こどもたちに人気があるようで、若いママ友が足しげく通っているようだ。夕方に行くと「売り切れ」の札がかかるほど好まれている。





珈琲が苦手な方には、チャイがお勧めだ。豆を買いに行くとき、女房はチャイを好んで注文する。試しに飲んでみたら、確かにうまい。(けれど、やっぱり珈琲がいい)
店舗の向かいには公園があって、高台にあることから市内を一望できる。のんびり珈琲を味わうには良い環境ではないだろうか。

ロースター(焙煎人)に淹れてもらう珈琲にはかなう道理も無いが、香り立つ珈琲豆、風味ある味わい。栽培産地でも変わるという風合い。
厳選され焙煎された豆を、カリカリと挽き、えぐみが出ないよう適温のお湯を注ぎ、立ち上る湯気のゆらぎを見ているだけで、こころが豊かになる。 
また、香りを喫むと、言葉では表せない感覚を楽しむことができる。
たわいない日常の中で、一杯の珈琲と向き合う時間が、精神を安定させる効果があるように思うのは間違いだろうか。(カフェインが入っているだけに…)





親泊宗秀のコラム
vol.7 孫の味方
vol.6 珈琲の香りを喫む
vol.5 光に満ちた世界
vol.4 宮古島の四季を感じる

vol.3 夜の帷(とばり)が降りるころ
vol.2 宮古島からの便り ロマン・空想は尽きない。
vol.1 宮古島からの便り[赤浜]

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1959年3月26日生まれ
宮古島市職員

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