異空間の雨上がり|親泊宗秀のコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

親泊宗秀

2018年9月25日更新

異空間の雨上がり|親泊宗秀のコラム

宮古島市に住む親泊宗秀さんが沖縄・宮古島の自然や人々の暮らしをご紹介します。沖縄を遊ぶ・楽しむ vol.12

8月は、過去に経験が無いくらい、雨が多かった。畑は赤茶色になった雨水で冠水する、道路は車が故障するレベルの水位にまで達し、通れないカ所もあった。二度目の梅雨が到来したのかと思うほど、うっとうしい日が続いた。日が照れば、訳の分からない暑さが襲いかかる。これが灼熱(しゃくねつ)地獄かと、汗が背中をしたたり落ちるのを感じながら、屋外で仕事をしている人は、この暑さをどうやってしのいでいるのだろうか、おせっかいにも気になる夏だった。
そうはいっても、雨が降った後は、写真好きの私にとって、絶好の撮影日より、水たまりを探しては、しゃがみ込んでシャッターを切る。(はたから見ると変なおじさん)意外に思うかもしれないが、カメラをとおしてみると、水たまりには、思わぬ世界が隠れている。



空の表情が、鏡のように地表に映り込む絶景、南米ボリビア塩の大地「ウイニ塩湖」をテレビなどで目にすることがある。それに、ひけを取らない風景を水たまりに見つけることができるのだ。その世界は上下対称の「完全なシンメトリー」になって、異次元の世界に迷い込んだような広がりになる。
それを見つけたのは、たまたまだった。広角レンズのカメラを、水たまりの水面(みなも)ギリギリに構え、ファインダーをのぞくことなく、感覚でシャッターを切った。データ再生をしたら、見たことのない景色がそこにあった。
「なんじゃこりゃ~!」と、思わず叫びそうになるくらい、驚きと、不思議が入り混ざり、その日から、水たまりの魅力にはまった。よくしたもので、何かに気づくと、その機会は多くなる。
子どもの頃は、水たまりがあれば、足でバチャバチャ足踏みをするのが楽しかった。歳を重ね、おとなげないことをするはずもなく、見向きもしなかった、というか、楽しみ方を忘れてしまったというべきだろうか、雨上がりの水たまりの世界に魅了され、雨が上がれば、お気に入りの撮影ポイントへ出かけていく。



水たまりに映り込む世界は、想像を見事に砕いてくれる。風景を撮れば、ヨーロッパを描いた絵画のようになり、港にあるコンテナにカメラを向ければ、天空をかける機関車のようになる。また、人物がたたずむと、そこは時空の扉となる。被写体を変えれば無限の空間が、小さな水たまりに潜んでいるのである。それは、日常では味わえない異空間なのだ。



合成など一切無い正真正銘の絶景、だから、独り占めにはしたくない、できれば、宮古島を訪れる方々に味わってもらいたいものだ。
名所といえば、海や山の風景を推すのは定番だ、所によっては星空を掲げる地域も意外に多い。けれど、梅雨時期の見ものとなると、楽しみが少し減るように思う。
そこで思うのだが、「雨上がりの水たまりツアー」なる企画はどうだろうか?楽しみが減るどころか、楽しみが増えること、請け合いである。
一眼レフなど必要ない。このところ、ケイタイのカメラ機能は充実している。スマホ一つ携えて、雨上がりの水たまり探索も、捨てたもんじゃない。運がよければ、虹に出会うことさえかなうかもしれない。



親泊宗秀のコラム
vol.12 異空間の雨上がり
vol.11 東松照明写真展
vol.10 宮古島の原風景(池間島)
vol.09 御嶽
vol.08 麺にこだわる島人
vol.07 孫の味方
vol.06 珈琲の香りを喫む
vol.05 光に満ちた世界
vol.04 宮古島の四季を感じる
vol.03 夜の帷(とばり)が降りるころ
vol.02 宮古島からの便り ロマン・空想は尽きない。
vol.01 宮古島からの便り[赤浜]

 

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1959年3月26日生まれ
宮古島市職員

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