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2025年1月16日更新

発達凸凹=脳の機能の障害|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)㉒

文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表(株)おきなわedu取締役



職場の困り事あるある
  見えている世界が違う  
 

発達凸凹の人は「脳の機能が違う」と言いますが、実際のところどういうことなのでしょうか?

一番の難しさは「見えている世界が違う」ということなのではないでしょうか。同じものを見て同じことを経験しても「見えている世界が違う」ことで、共有できる反応には至らない、同じ場所にはたどり着けない、またはたどり着くのが遅くなるということなのではないでしょうか。

「職場」は、チームで動くことが最も大切とされる大変忙しい現場なので、急ぎの仕事を抱える場面で、「見えている世界が違う」方と向き合っていくのは、かなりの時間と労力を要する作業となります。しかも「ふつうは分かる!」は通用しないため、事態が深刻になりがちなのです。情報をすり合わせて、互いの理解を深めあって。たどり着きたい目標地点を明らかにしたつもりでも、まったく思い通りにはならず、代わりに作業を引き受けなくてはならなくなるとしたら、その徒労感は大変なものでしょう。
 
    発達凸凹=脳の機能の障害   


彼らにはどう見えている?

心理学では、学習を「経験による比較的永続的な行動の変容」と定義しています。私たちは、これまでとは違うことを経験することによってこれまでとは違う行動を身に付ける、という考え方で、これまで使っていた道順とは違う新しい道を教わり、新しい道のほうが近道だと分かったら、その後、比較的永続的に新しい道を通るように行動が変わってしまうというような現象です。食わず嫌いが治るのも、苦手なことを試せるようになるのも、ささやかな経験がきっかけとなっていたりするものなのです。

発達凸凹の人の特徴の一つとして「学習障害」という種類がありますが、これは「経験による行動の変容」が障害を受けている状態を表します。職場では、1度伝えたら理解でき、その結果として行動変容が起こることが「普通」と考えられていることもあり、お互いに理解しあえずトラブルに発展することもあります。

ここで問題になるのは、丁寧に説明を繰り返したとしても、「行動変容が起こらない」という事態への予防にはならないことです。「何度も言っているのに」「また?」「何度注意したら改めてくれるのだろう」という気持ちに襲われた時、「これは本人としては、わざとではないのかもしれない」、という可能性について思い出していただきたいのです。



どうすればいい?

大切なことはやはり、冷静に状況を理解することです。うまくいかないことが続くと、冷静さを失って「決めつけ」や、「犯人捜し」をしてしまいます。しかしながらそれでは解決への道は遠ざかってしまうばかりで「仕事の成功」も得られません。

そんな時、おすすめの見直しポイントは「コミュニケーション」なのです。コミュニケーションの目的は「創造」、つまり新しいこと、ものを「創り出す」ことです。図1に示したように、段階を踏んで「新しい創造」を目指していくコミュニケーションが、状況を理解し、経験を行動変容につなげることに役立つのではないでしょうか。

まずは、①相手に寄り添ってみる、そして②相手のペースに合わせて、③言葉でやりとりをし、④質問を交わすことで相手の真実に近づき、⑤目指すところを共有してどのように行動していくかを確認するのです。相手の状況に心を寄せて何が起こっているのかを知ろうとすることが、解決への一歩につながっていくのではないでしょうか。そしてこれは、当事者の方が身に着けるとより効果的な方法となるといえるでしょう。



文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表
(株)おきなわedu取締役

きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子を経て、現職。好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」

記事に関する問い合わせは、odssc.okinawa@gmail.com

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『週刊ほ〜むぷらざ』こんな時どうする?大人の発達凸凹
第1953号 2025年1月16日掲載

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