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2024年10月20日更新

発達凸凹はすべての人のテーマ|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)⑯

文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表(株)おきなわedu取締役



番外編
  私のレジェンド  
 

これは、私自身が自分にも発達障害の傾向があることを受け入れるきっかけとなった、臨床心理学(交流分析)の第一人者であるレジェンドAと、ビジネスの世界の第一人者レジェンドB、2人の偉人のお話です。

レジェンドAは、私が交流分析を学び始めたころから知る有名人です。10年ほど前に大阪で開かれた国際会議で彼の講座が企画されました。ところがお昼の休憩後、午後のセッションの時間になっても、講師が現れないのです。少し遅れて、レジェンドAは申し訳なさそうに登壇しました。そして、「僕は、時間を守るのがとても苦手で、いろいろ試してみているのだけれど…。今日も遅れてしまったね」と、謝罪したのです。その言葉を聞いて、何だかとても大事なことを、そっと教えていただいたような不思議な気持ちになりました。そして「こうした出来事は、人格や性格とは別の問題で、その支援はご本人に寄り添って取り組むべきなのではないか?」と思い至りました。

同学会で私は「交流分析と発達心理学(TAPD)」について発表しました。発達心理学、特に発達凸凹の理解を交流分析(コミュニケーション心理学)に応用・展開する意義をまとめたものです。レジェンドAのお話は、発達凸凹を強く意識し、深めていくことを心に決めた出来事でした。そして同時に、自分の中の凸凹を恐れず見つめるきっかけともなったエピソードです。


10年後の出会い

それから10年の時がたち、私はあの日、心に決めた「交流分析」と「発達心理学」に取り組むことについて、この10年を振り返っていました。発達支援を考える中で、たくさんの発達凸凹と共存する方たちとお会いしました。そして現在、私はどうすればそのような人々のお役に立てるのだろうか? 今後の人生に使命をもって、どのように生きていけばいいのか? という問いへの答えを確信するために、新たな学習を始めました。

ご存じの通り、心理学の知見はたくさんのビジネスに応用されています。その中のある領域の第一人者が米国人のレジェンドBです。実に魅力的な人で、私にとって彼は目下のところ筆頭「スター」なので、立ちはだかる苦手な英語も、さまざまなサービスを駆使して張り切って学んでいます。

このやる気(動機づけ)は、ご褒美のため(外的)? 学びそのもののため(内的)? と脳内で問いかけられますが、そのどちらでもあり、一方向というわけではありません。「今後に役立てるために学ぶ」も、「学ぶこと自体が楽しいから学ぶ」も正解だし、「このレジェンドから学びたい」も正解なのです。そして、運命の言葉を聞くことになりました。
 

 
 

    発達凸凹はすべての人のテーマ    


運命の言葉

レジェンドBの資料は秀逸で、こんなに美しい資料を忙しい中でどのように作成しているのだろうか? と、かねてより関心を持っていました。そんなある日、彼は秘密を教えてくれたのです。「出張中に電話で資料作りを頼んだので、僕も初めて見る資料です。それで先ほどから次はどのスライドかとワクワクしています。優秀なスタッフのおかげで思いついたことの全てを網羅した資料となっているので安心です。自分の頭の中のアイデアを、美しく順序だてて示してくれているので、余すところなくお話しできます。僕に急かされてもキチンと仕事をしてくれるスタッフに感謝しています。急がないと、僕は一度アウトプットしてしまうと、すっかり忘れてしまうのでね」と。

「すっかり忘れてしまう」という言葉に、私はとても驚き、そしてとても安心しました。一度話すと、二度と同じ話ができない、熱を込めて話していたのに、すっかり忘れてしまうのは私だけではなかったのだと知ったからです。しかも、2人の大好きな先生が、形は違えど自分と似た特性を持っている。これは大きな励みとなり、さらにはもう一度、この道を進んでいく覚悟につながりました。

彼らはその特性を受け入れ、ならばどうすればいいかを考え、周囲にサポートを依頼して、前に進むことを止めなかった、または止められなかったからこそ、山頂を目指して突き進み、今を創ったのです。



発達凸凹の特性を持つ
すべての皆さんへ


私たちには、サポーターが必要です。特に、他の人には難なくできるコトがうまくできないと感じているあなた、その特性を他の誰でもない自分のことだと受け入れて、「では、どうするか?」を丁寧に考えていただきたいのです。そして、必要なサポートを具体的にお伝えしたり相談したりして、「前に進むこと」を選んでいただきたいと思います。

凸凹なのですから、あなたの得意なことでサポートが必要な人もいます。お互いに、支え合ってうまくいく組み合わせを探してみませんか? 私たちは欠けているのではなく、得意と苦手でできていて、支え合える誰かを探して手をつないでいく存在だとしたら、すてきなことだと思いませんか?




文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表
(株)おきなわedu取締役

きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子を経て、現職。好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」

記事に関する問い合わせは、odssc.okinawa@gmail.com

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『週刊ほ〜むぷらざ』 こんな時どうする?大人の発達凸凹⑯
第1928号 2024年07月18日掲載

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