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2024年3月21日更新

つらい記憶 自覚なくよみがえる|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)⑫

文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表(株)おきなわedu取締役

 
 

発達凸凹の困りごとあるある
 凸 ASDタイプの具体的な特性② 凹 

今回は、発達凸凹ASD(自閉症スペクトラム)タイプの特性について、「ニキリンコ」さんの『俺ルール~自閉は急に止まれない(花風社)』を基に、「タイムスリップ」について考えてみます。私自身が、たくさんの発達凸凹のお子さんたちとお会いし接する中で、どうしても立体的な理解に至らなかったこの特性が、分かりやすく解説されていて感動しました。そして、当事者にしか分からない世界観を読者の皆さまにも紹介したいとかねがね思っておりました。この特性を抱えて大人として生きることも想像してみてください。


ASDの特徴② タイムスリップ現象

発達障がいにおける「タイムスリップ」とは、過去の記憶があたかも目の前で起きているかのように生々しく再生されるもので、「フラッシュバック」の一種です。これは、発達凸凹ASD傾向の方に時折みられる不思議な心理的状態で、気持ちまで当時の状態になり、キャラクターまで若返ってしまうそうなのです。そして、ニキさんいわく、当人には全く「違和感」が無く、「不思議なこと」という感じがしないらしいのです。これは、私にとって驚くべきことであり、実態により近づく記述でした。

「フラッシュバック」は、記憶が現実と区別がつかないほどの臨場感をもって勝手に想起される(思い出される)ものであり、「タイムスリップ」のときは、本当に現実であると勘違いしているのだそうです。二つの違いは、「再生である」という情報の有無であり、どんなに生々しく再生されていても、現実と区別がつかないほどの臨場感があっても、「これは再生だ」とどこかで知っていれば、それは普通のフラッシュバックで、「タイムスリップ」ではないのです。「タイムスリップ」の大変なところは、「再生である」という情報が当事者自身の中には存在しないところであり、タイムスリップ中は、現実を遮断して、何の違和感も持たずに記憶を再生しているわけです。

 
A君とその同級生が教えてくれたこと

私が関わっている、とある学校での出来事です。A君は、意地悪なお友だちにひどい目にあわされたことを、ついさっき体験したかのように訴えてきました。そこで「いつ、どこで、誰に、どのように?」と質問すると、「今日の放課後、○○に押されてケガをした」というのです。「では、どうしようか」と今後の相談を進めようとすると、同級生が近づいてきて、「あの話は何年も前のことで、そのいじめっ子は、もう中学生」と教えてくれました。A君は、自分がされたことに興奮し、怒りをあらわにしていましたが、「それは、いつのことだっけ?」と再度質問すると、今度は「1年か2年前」と答えるのです。

私はA君の最初の訴えをすっかり信じ込み、過去の出来事とは思いもせず、その対応策を考えようとしていたのでした。あの疑いのない臨場感と感情は一体何だったのだろうか? 全く悪気無く被害を語る彼は、自分自身ではどうすることもできない特性に突き動かされて行動しており、これは大人になっても続くのです。
 

    凸 つらい記憶 自覚なくよみがえる 凹    


フラッシュバックのケア

「タイムスリップ」はフラッシュバックの一種です。突然、過去の記憶が鮮やかに襲いかかるフラッシュバックは、社会生活を困難にします。フラッシュバックは、楽しい記憶は残らず、つらく苦しい過去の経験を非常によく記憶していることによって引き起こされます。「つらい記憶がリアルによみがえっても、それは過去のこと」「今はもう大丈夫」と信じられることが大切です。「カウンセリング」などの社会的支援を受けることも効果的だと言われています。

ニキさんによると、「フラッシュバック」は大人になっても絶えず起こるようですが、「タイムスリップ」はさまざまな負担が重なって、全体的に余力がなくなると起こるようです。表1に具体的な対応策を載せておきます。やはり、自身の努力だけではどうにもならない部分を理解した周囲の方に寄り添っていただけることが、最も重要です。



文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表
(株)おきなわedu取締役


きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子を経て、現職。好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」

記事に関する問い合わせは、odssc.okinawa@gmail.com

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『週刊ほ〜むぷらざ』 こんな時どうする?大人の発達凸凹⑫
第1911号 2024年3月21日掲載

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