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2023年12月21日更新

手足に影響 頚椎症性脊髄症|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(115)

家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。脊椎の病気の2回目は、頚(けい)椎(つい)症性脊髄症について、琉球大学大学院医学研究科整形外科学講座教授の西田康太郎先生に話を聞きます。

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脊椎の病気②

第1ボタンがとめにくい!

首の負担が多い人に多発

Q1 頚椎症性脊髄症とは?

頸椎と呼ばれる首の骨の部分の病気です。加齢によって、背骨をつないでクッションの役割を果たす椎間板が変形してつぶれたり、背骨の端がとげ状に変形したり、背骨の後ろ側にある椎弓間(ついきゅうかん)をつなぐ靭帯が肥厚したりして、頸椎の脊柱管(せきちゅうかん)(背骨の中を通るトンネルのような穴)の中にある脊髄を圧迫し、手足の動作にさまざまな不具合が起こります。

首の負担が多い方がなりやすく、50代以降に増えてくる疾患で、比較的若い方であれば軽度でも症状を自覚することができますが、高齢の方は気づくのが遅れる場合もあるので注意が必要です。ちなみに、日本人は欧米人に比べて脊柱管が狭く、脊髄症の症状が生じやすいといわれています。


Q2 どんな症状が起こるの?

手足の動作がしにくいという症状がおこります。例えばボタンのはめ外し、特に目で確認できない第1ボタンのはめ外しがしにくくなったり、お箸が使いづらくなったり、文字を書きにくくなったりします。また、歩く際に脚がもつれるような感じになったり、手足がしびれたりすることもあります。

天井を見上げるような首を後ろに反らす動作で症状が出やすくなるため、「美容院のシャンプー台で首を反らせた姿勢になった後、しびれがひどくなった」という患者さんもいました。なお、脊髄から枝分かれして腕へとつながる神経根が圧迫されたり刺激されたりする「頚椎症性神経根症」になると、神経が通っている腕や手の片方にだけ痛みやしびれが起こります。

 

Q3 診断や治療、日常生活上の注意点は?

思い当たる症状がある場合は、早めに整形外科を受診してください。レントゲンやMRI検査で頸椎の状態を調べて診断を行います。手や指の細かい動作ができず日常生活に支障が出る場合や、階段の上り下りに手すりが必要な状態であれば、手術を検討した方がいいと思います。

日常生活の中で症状を悪化させないためには、首を反らす動作を避けることが大切です。転んで脊髄を損傷すると手足が動かなくなってしまうこともありますので、くれぐれも転倒にはご注意ください。

次回は、60代以降の男性に多い腰部脊柱管狭(きょう)窄(さく)症について聞きます。

 


西田康太郎さん/琉球大学大学院 医学研究科 整形外科学講座 教授 医学博士
にしだ・こうたろう/鳥取大学医学部医学科卒。神戸大学医学部附属病院整形外科准教授を経て、2019年7月から現職へ。日本整形外科学会代議員および専門医、日本脊椎脊髄病学会理事、脊椎脊髄外科指導医、日本側彎(そくわん)症学会評議員。モットーは「精度の高い手術を心がける」。

琉球大学病院
西原町字上原207番地


文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家庭の医学手帳<115>
第1898号 2023年12月21日掲載

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