ヘルスケア
2025年5月1日更新
今や9人に1人が乳がん!|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(131)
家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。今回は乳がんの現状と検診にスポットを当て、マンマ家クリニック副院長の國仲弘一先生に話を聞きます。
乳がん①
今や9人に1人が乳がん!
10年ほど前には日本の成人女性の11人に1人が乳がんにかかるといわれていましたが、近年では9人に1人と罹患(りかん)率が増えています。女性のがんの罹患数としては乳がんは1位です。しかも、かつては40代から50代にかけての罹患率が高かったのですが、近年では60歳以上が特に増加しています。社会の高齢化とともに平均寿命が延びて60代以上の人口が増え、乳がんのリスクの高い高齢者層が増えているのが、その背景にあると思います。乳がんは、40~50代の働き盛り世代のみならず、60歳以上の女性もかかりやすいというのが現状です。
乳がんの年齢別罹患率の推移
数あるがんの中でも女性のがんの罹患率が最も高い乳がん。他のがんの罹患率はほぼ横ばいの数字であるのに対し、乳がんだけは右肩上がりで増え続けています。乳がんにかからないためには、リスクを高める要素を減らすこと。そして万が一、乳がんになっても、定期的に検診を受けて早期発見できれば、完治の可能性が高くなります。
今や9人に1人が乳がん!
60歳以上に増加傾向
沖縄は患者数 全国2位!
Q1 かかる人が増えている?
10年ほど前には日本の成人女性の11人に1人が乳がんにかかるといわれていましたが、近年では9人に1人と罹患(りかん)率が増えています。女性のがんの罹患数としては乳がんは1位です。しかも、かつては40代から50代にかけての罹患率が高かったのですが、近年では60歳以上が特に増加しています。社会の高齢化とともに平均寿命が延びて60代以上の人口が増え、乳がんのリスクの高い高齢者層が増えているのが、その背景にあると思います。乳がんは、40~50代の働き盛り世代のみならず、60歳以上の女性もかかりやすいというのが現状です。
乳がんの年齢別罹患率の推移
(1980年、2000年、2019年)


数あるがんの中でも女性のがんの罹患率が最も高い乳がん。他のがんの罹患率はほぼ横ばいの数字であるのに対し、乳がんだけは右肩上がりで増え続けています。乳がんにかからないためには、リスクを高める要素を減らすこと。そして万が一、乳がんになっても、定期的に検診を受けて早期発見できれば、完治の可能性が高くなります。
Q2 沖縄県の現状は?
都道府県別の乳がん罹患者数は、沖縄県は熊本県に次ぐ2位です。その原因としては、乳がんのリスクを高める肥満が多いことが挙げられます。身長と体重から計算するBMIは肥満度を計る基準として知られ、25以上が肥満と判定されますが、沖縄県の40代から60代の女性のBMI平均値は24・8で全国ワースト、ちなみに男性も24・9でワーストです。戦後早くから食の欧米化が進み、脂肪分が多い食事を好む一方、車社会で歩く機会が少なく、運動不足になりがちな沖縄県民ですが、乳がんのリスクを下げるためにも、ぜひこの機会に生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。Q3 検診は毎回受けるべきか?
乳がんは早期発見できれば完治の可能性が高いため、定期的な検診を欠かさず受けることが重要です。特に退職後に職場での検診が受けられなくなった方は、40歳以上の女性が2年に1度受けられるがん検診受診券を活用し、忘れず受けましょう。肥満、初潮年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がない、家族に乳がん患者がいるといったリスクのある方は、できれば毎年の検診をお勧めします。
ちなみに乳がん検診は早期発見や微細な石灰化の発見にすぐれているマンモグラフィーが基本ですが、乳腺の密度が高い高濃度乳腺の方や40歳未満の方は超音波検査(エコー検査)を併用すると、より精度が高まります。超音波検査は、わずかな被ばくも避けたい妊婦にも適しています。マンモグラフィーは痛そうだからと避ける方もいますが、エストロゲンレベルが下がる閉経後は乳腺が脂肪に置き換わっていくため、検査時の痛みが軽減します。また、乳房が張りやすい月経前は検査を外すことをお勧めします。
次回は、乳がんのタイプと最新の治療法について聞きます。

ちなみに乳がん検診は早期発見や微細な石灰化の発見にすぐれているマンモグラフィーが基本ですが、乳腺の密度が高い高濃度乳腺の方や40歳未満の方は超音波検査(エコー検査)を併用すると、より精度が高まります。超音波検査は、わずかな被ばくも避けたい妊婦にも適しています。マンモグラフィーは痛そうだからと避ける方もいますが、エストロゲンレベルが下がる閉経後は乳腺が脂肪に置き換わっていくため、検査時の痛みが軽減します。また、乳房が張りやすい月経前は検査を外すことをお勧めします。
次回は、乳がんのタイプと最新の治療法について聞きます。

國仲弘一さん/マンマ家クリニック副院長
くになか こういち/マンマ家クリニック副院長
医師、医学博士。日本乳癌(がん)学会専門医・指導医。琉球大学医学部卒業後、新潟市民病院、琉球大学病院第一外科の乳腺・甲状腺外科チーフ、乳がん治療で知られる相良病院(鹿児島県)での勤務を経て、現職に。モットーは「患者さん、診療チームと一緒に作る乳がん診療」。
マンマ家クリニック
電話098-988-4141
沖縄県浦添市経塚633 メディカルKプラザ2F
文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家族の医学手帳<131>
第1968号 2025年05月01日掲載