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2019年12月31日更新

[平成から令和へ受け継ぐ]組踊の格式保ち入り口広げる|仲嶺良盛さん

最初に演じられてから、ことしで300年を迎える組踊。そんな組踊をカジュアルにして、その魅力に触れる機会を増やしたいと精力的に活動する仲嶺良盛さん(25)。「沖縄の伝統芸能、組踊の楽しみ方を増やしていきたい」と話す。

組踊の代表作のワンシーンを披露する仲嶺さん=コワーキングスペース「OKINAWA Dialog(オキナワダイアログ)」
 

劇場以外でも満喫 沖縄の誇れる芸能

琉球古典音楽安冨祖流絃聲会教師で、歌三線奏者の仲嶺良盛さんは、「組踊をもっと身近なものにしたい」と、バーやカフェ、施設内のイベントスペースなどを活用し、さまざまな形で披露している。

取り組みのきっかけは県立芸術大学で伝統芸能を学んでいたころ、東京で能や歌舞伎、演劇などを鑑賞したこと。「多彩な芸能を鑑賞して、組踊は県外の芸能に比べても引けを取らない、沖縄の誇れる芸能だと思った」と話す。「組踊は『8・8・8・6』の琉歌でせりふが構成されているところや紅型衣装の華やかさ、琉球独自の音楽が使われとても洗練されている」。能や歌舞伎を通して改めて組踊の見どころに気付いた。

その後、同じように組踊に魅了された人たちで構成される「ウザシチラボ」のメンバーと「劇場以外で気軽に組踊が鑑賞できる場を」と、バーやカフェなどで組踊の解説をはじめ、歌やせりふをつけてワンシーンを演じるなど、精力的に動いた。定期的に披露していこうと、国道58号沿いのコワーキングスペースを主会場に、「58組踊(ゴーパチクミオドリ)」と題し、月に1度開催している。

「58組踊」では、「執心鐘入(しゅうしんかねいり)」などの代表作のワンシーンを抜粋して紹介。MCを務めるお笑い芸人が、「ここはどういう意味」などとツッコミを入れ、仲嶺さんが丁寧に解説。観客とともに歌三線に合わせて、せりふを唱和する「唱え」に挑戦する「カラオケ組踊」も行っている。


県外の芸能にも引けを取らない魅力が!

お笑い芸人「キンピラゴボウ」の2人と観客を含めてのトーク。「カラオケ組踊」では、せりふが壁に映し出され観客にも分かりやすくなっている


ラジオで組踊

58組踊がきっかけでラジオ局から「組踊の魅力を伝えてみないか」と声がかかった。「演技を見ないで理解するのは難しいはずと、不安もありましたが、組踊はメロディーがあり音楽的な要素が強い。歌を聴くことに関しては、ラジオの方が集中して聞いてもらえるはずと考え挑戦しました」と仲嶺さん。

2カ月間ラジオの1コーナーを担当。リスナーからは「良かったよ」、「ラジオで組踊が聞けるんだ!」といった反応があった。

一時は自分の活動に迷いがあった。「通常、劇場で上演される組踊をいろいろな場所で披露することを先輩方は、どう見ているのだろうと気になっていました。しかし、台本は古典そのもので崩していない。ただ、初心者でも入りやすくしたいなあと思って」。組踊の「格式は保ちつつ入り口を広げたい」というのが活動の核となっている。

「実演家の中では大それたことをやっている身ですが、やはり師匠の歌や芸道はもちろん、いろいろなものに触れて芸の感覚や歌を受け継ぐことが一番大事にしたいこと。多くの人に、沖縄の伝統芸能はこうだよと自信をもって紹介できる演奏家でありたい」と語った。


観客の前で古典音楽を披露する仲嶺さん。那覇市の沖映通りで多彩な音楽が楽しめるイベント「沖映ストリートクラシックス2019」で=ジュンク堂書店那覇店


組踊とは
組踊とは、せりふや音楽、所作、舞踊によって構成される歌舞劇。首里王府が中国皇帝の使者・冊封使をもてなすために披露された。当時、踊奉行(おどりぶぎょう)だった玉城朝薫が日本の歌舞伎や中国の古典演劇である京劇などからヒントを得て、組踊を作り上げた。


58組踊の公演
仲嶺さんが出演する「劇場版58組踊」が2020年2月6日(木)に、てんぶす那覇で開かれる。プログラムは「一人語り組踊 『手水の縁』より抜粋」や賀数仁然の歴史解説、琉球古典音楽の演奏など。出演は歌三線・仲嶺良盛、箏・池間北斗、琉球歴史家・賀数仁然、MC・キンピラゴボウ。料金は一般1500円、高校生1000円、小中学生500円。
080-5030-4646(平岡)



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編集/安里則哉
『週刊ほ〜むぷらざ』平成から令和へ受け継ぐ
第1692号 2020年1月2日掲載

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