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2024年3月7日更新

孤立しない家族介護を共に|当事者ら組織結成 思い共有|つらくない介護を(6)

家族を介護する人が情報や思いを共有したり、医療や介護の専門職の人に直接質問したりする場所づくりに取り組んでいる「家族介護のwa」。運営メンバーの2人に活動内容や取り組みにかける思いなどを聞いた。

孤立しない家族介護を共に
当事者ら組織結成 思い共有



時にはしっかり泣いて 寄り添う存在が力に

ディロング直美さん/医療法人タピック沖縄リハビリテーションセンター病院看護師。亡き父を13年間介護。昨年「家族介護のwa」を結成した

さまざまな介護に学び情報から選択肢広げ

大城五月さん/(同)hareruya代表、おきなわ仕事と介護両立サポート協同組合代表理事、主任介護支援専門員


―昨年結成した「家族介護のwa」の活動のきっかけと内容は?

ディロング 13年間父を介護して、母と私は「介護する人が孤立しないよう支え合っていける場を作りたい」と思うようになりました。その思いに、医療や介護の専門職で、家族介護の当事者でもある方々が集まってくださり、「家族介護のwa」が結成されました。これまでに3回、メンバーのご家族が住んでいた古民家を会場にイベントを開催しており、複数の制度を利用した経験や、サポートを受けた介護経験を話し、歯科医師から口腔(こうくう)ケアについて聞くなど、参加者の悩みや不安、質問も聞きながら、情報や思いを共有してきました。

介護はきれいごとばかりではありません。怒り、苦しみ、悲しみを感じることもあります。でも、介護される側と一緒に楽しい思い出を作ることができるし、少なくとも、不幸でない介護を選ぶことができるはず。そのためには、1人もしくは家族だけで頑張り過ぎずにたくさんの人の手を借りてワンチームで、頑張り過ぎない介護をすることが大事です。「家族介護のwa」ではそれを伝えることを最も大切にしています。

大城 私はかつて、ディロングさん家族の介護を担当するケアマネジャーで、ご家族の思いに共感して一緒に取り組むようになりました。

ディロングさんは在宅介護の期間がとても長かったのですが、介護保険制度も保険外も、あらゆるサービスを活用されていたので、そのお話はすごく参考になると思います。特に、コロナ禍にお父様が退院した後、入所可能な施設がなくてデイサービスなども利用できなくなったとき、ディロングさんが介護休業制度を利用して、家族と協力しながら24時間在宅介護を乗り越えたときは、仕事と介護を両立できると知り、ケアマネジャーとしても多くの学びがありました。

「家族介護のwa」では、介護でいつも張り詰めている心身をリラックスしてもらおうと、運営メンバーで案を持ち寄り、庭の野草を使ったハーブティーを用意し、座ってできるヨガや絵本の読み聞かせを行っています。希望者にはハンドマッサージも施しています。とてもアットホームな雰囲気だと好評ですよ。参加者が感想を話したり、質問したりする時間には、話す人も聞く人も互いに涙を流すこともありますが、最後は笑顔で帰っていくんです。それを見ると私もホッとします。

ディロング 介護は経済的な面の苦労もあり、大きな不安を抱える人も少なくないと思います。それを涙ながらに話す参加者に対し、みんなが一緒に打開案を考え、アドバイスしていたのも良かったと思いました。時にはしっかり泣くことも必要。一緒に泣いてくれる人がいるだけでも気持ちが癒やされると思います。

情報を得ることで、介護の量や質は変わります。今後は口腔ケアやおむつ、介護美容、経済面の制度や産業ケアマネなどの情報も発信し、介護をしている方々の支えになりたいと思っています。

大城 5月には沖縄市で少し大きめの会場を借りて開催する予定です。ハンドマッサージや介護美容も体験できるようにし、気軽に少しでも多くの人に足を運んでもらえるようにしたいです。

家族介護にあたる人々には、介護に関する情報をより多く得てもらうことで、介護の選択肢を増やしてほしい。そして、介護で不幸にならないように、そのサポートができるといいなと思います。

「家族介護のwa」は4~5カ月に1回、うるま市の古民家で開催。体験者による介護制度やサービスの活用法を聞いたり、介護の悩みを打ち明けたり、情報発信と共有の場となっている。詳細は「家族介護のwa」のフェイスブックで確認を


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取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1909号 2024年3月7日紙面から掲載」

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