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2024年1月18日更新

20代がピーク!?骨密度|そろそろ本気で! 生活習慣病予防(10)

体の骨は20代をピークに加齢とともに少しずつ衰えて弱くなり、家事などでのちょっとした動作や尻もちでも骨折しやすくなる「骨粗しょう症」を発症する恐れがあります。専門家にそのリスクや予防について聞きました。


骨折で移動困難 寝たきりの要因に

骨粗しょう症のリスクと予防について、山貴整形クリニック院長の山内貴敬医師は「骨折によって寝たきりになると、その後の死亡率が高まる」と注意を呼びかける。健康運動指導士の伊野波盛邦さんは「転倒を防ぐためにも日頃から運動する習慣を」とアドバイス。



ドクター

山内貴敬 さん
山貴整形クリニック院長

日本骨粗鬆(しょう)症学会認定医。日本整形外科学会専門医。2022年に同院を開院


Q骨粗しょう症って何?

加齢と共に骨折しやすくなる

骨粗しょう症とは、「骨が弱くなり折れやすくなる病気」です。骨は常に古い骨を壊しつつ、新しい骨を作り続けるという新陳代謝をしています(骨代謝)=上図参照。加齢とともにそのバランスは崩れていき、骨を壊す働きの方が強くなり次第に骨が弱くなって、折れやすくなります=下図参照。

骨はコラーゲン(タンパク質の一種)とカルシウム、リンで形成されています。骨量(骨全体に含まれるカルシウムなどのミネラル量)は体の成長とともに増え続け、20代でピークを迎えます。40代くらいまではその状態を維持しますが、前述の理由で徐々に減少していきます。特に女性は女性ホルモンの影響で閉経後、急激に骨量が減るため、骨粗しょう症になりやすいです。実際、日本で約1280万人といわれる骨粗しょう症患者数のうち、女性は男性の3倍の患者数となっています。







Q2 どんな症状やリスクがある?

連鎖的に骨折、移動が困難に

背骨の一部(椎骨)がつぶれる圧迫骨折や、手首や肩、足のつけ根の骨に骨折が起こることがあります=下図参照。そうして一度骨折するとさらなる骨折を起こしやすくなります(骨折の連鎖)。

背骨の圧迫骨折(脊椎椎体骨折)を起こすと、背中が曲がったり痛みが出たりして動きにくくなります。やっかいなのは転倒など激しい衝撃がなくとも家事などのちょっとした動作がきっかけで起こることです。痛みを感じない場合もあり、気付かない間に骨折していることも。

そして、特に気をつけたいのは、転倒によって起こることが多い足の付け根の骨折(大腿骨近位部骨折)。立つことや歩くことができなくなり、治療には手術が必要です。骨折によって寝たきりになることがありますが、その状態になると介護が必要になるだけでなく、その後の死亡率が高まるというデータもあります。




骨粗しょう症でみられる代表的な骨折。背骨の圧迫骨折を起こすと、大腿骨近位部骨折につながる可能性が高まるという

 

Q3 自覚症状はある? なりやすい人は

 50代以上の女性は要注意

自覚症状が無いことが多いので、骨折を起こすまで見逃されやすいです。しかし、骨粗しょう症を疑うポイントはいくつか挙げられます。一つは身長が3~4センチ以上低くなっていること。背骨が圧迫骨折を起こして背が縮んでいる可能性があります。遺伝も要因なので、親が大腿骨近位部骨折を起こしたことがある人は要注意。また、関節リウマチや糖尿病、呼吸器疾患がある人は骨粗しょう症を併発していることが多いです。このどれかに当てはまる人、そして50代以上の閉経後の女性は一度骨密度検査を受けることをお勧めします。骨密度は単位面積あたりの骨量のことで、20代成人の平均的な骨密度(YAM値)と比べて、自分の骨密度が70%以下なら骨粗しょう症と診断されます。また、80%以下の人も要注意です。

ほかにも、無理なダイエットによって痩せ過ぎると、骨を作るために必要な栄養が不足するなど骨粗しょう症につながります。喫煙やアルコールの飲み過ぎも発症のリスクが高まることが分かっています。


 

Q4 予防のポイントは?

魚や乳製品をとって骨量を維持

前述の通り、骨量は20代をピークに加齢とともに減っていく一方なので、中高年の人はバランスのよい食事や適度な運動によって減少するスピードをゆるやかにして、骨量の維持に努めましょう。また、骨量の最大値が決まる15~20歳の若い人は、その期間になるべく骨量を増やすことが、その後の骨粗しょう症の予防につながります。

食事は骨の材料であるカルシウムや、その吸収を促す働きがあるビタミンDが多く含まれている魚やキノコ、吸収の良い牛乳などの乳製品をとることを意識しましょう。魚はサケやイワシがおすすめ、コレステロールが気になる人は低脂肪の牛乳を選ぶといいでしょう。カルシウムの1日当たりの推奨量(成人)は、男性で700~800ミリグラム、女性で650ミリグラム、ビタミンDは男女ともに15~20マイクログラムといわれています。ビタミンDは適度な日光浴でも体内で作られます。

運動に関しては、転倒の予防に筋力やバランス能力を維持するためジョギングやダンス、太極拳などがおすすめです。特に太極拳はゆったりした動作で体幹を鍛えられるので転倒予防にぴったりです。



健康運動指導士

伊野波盛邦 さん
外間パーソナルトレーニングジム浦添店に勤務


Q5 おすすめの運動は?

片足立ちや背筋

転倒などで一度骨折すると連鎖的に骨折しやすくなるので、それを防ぐために日頃から運動を習慣づけて筋力やバランス能力を維持することが大事です。また、骨は運動などで適度な負荷を与えると強くなる働きがあります。筋肉を動かすと連動してその部位の骨に負荷がかかるので、全身の筋肉をまんべんなく動かしましょう。

ある研究ではラジオ体操を続けることで骨密度が上がったというデータもあります。誰でも一度はやったであろうなじみのある体操なので、生活に取り入れやすいと思います。室内でのちょっとした運動としておすすめなのが「片足立ち」。下肢の筋肉やバランス能力が鍛えられます。骨に適度な負荷がかかることで骨密度を上げる効果も期待でき、大腿骨近位部骨折の予防につながります。左右の足で1分ずつ1日3回行うといいでしょう。また、「背筋」は背骨の骨折の予防に適しています。やり方は図で示しているので試してみてください。背筋の前にストレッチをするとより効果的です。体力に合わせて無理しない程度に試してみてください。ただし、背骨の骨折歴のある人は、ひかえましょう。





取材/池原拓
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」そろそろ本気で!生活習慣病予防(10)
第1902号 2024年01月18日紙面から掲載

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funokinawa編集部

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