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2022年4月21日更新

[沖縄]後悔しない終活|家族編

いざという時に慌てず、よりよい人生を送るための「終活」に関して、「自分でやっておきたいこと」と「家族ができること」を交互に取り上げます。初回は、ほーむぷらざ編集部記者の親を亡くした経験を踏まえ「親の希望の聞き出し方」について紹介します。

後悔しない「終活」家族編

 親の希望どう聞き出す? 

いざという時に慌てず、よりよい人生を送るための「終活」に関して、「自分でやっておきたいこと」と「家族ができること」を交互に取り上げます。初回は、ほーむぷらざ編集部記者の親を亡くした経験を踏まえ「親の希望の聞き出し方」について紹介します。

 終活で後悔 私の体験 
話せるうちにきちんと
母ががんを患っていると聞いたのは、亡くなる2カ月前。以前から肝硬変の症状があり、定期的に病院に通い、時には入院も。そんなある日、私は担当医から呼び出され、告げられたのが母の末期がんの宣告だった。さらに「いつ急変するか分からない。延命治療をするかどうかを決めてほしい」と解答を迫られた。

母に直接聞くのも…と戸惑う私は父や妻にも相談し、家族で決断した。その後は、今後やりたいことやお金、転院の話など、ストレートに聞いてみたが、納得のいく解答はなかった。特に住宅ローンや借り入れのことに関しては、子どもに心配させたくないという思いからか、全く口を開かなかった。私が覚えているのは入院生活が続く中、「保険金は生前で取ったほうがいいかは、保険会社の人と話して」と一言。

後で聞いた話だが、母には担当医から病名が知らされていた。それを知らず、どう話を切り出したらいいか悩み続けていた私。ほかにも聞いておきたかったことがあったのだが、そうこうするうちに母は会話をすることも難しくなり、やがて息を引き取った。

それからは、大忙しの日々が続いた。死後に行う手続きで、家族は役所や銀行などへ行き、葬祭費申請書類の取得・提出や未支給年金の請求など、さまざまな手続きをしなければならない。母の実印や年金証書などの書類関係の保管場所が分からず、探すのに時間がかかったり、書類によっては再度取り寄せたりもした。さらに必要なものが足りず、窓口に何度も足を運ぶはめになってしまった。

また、税金や携帯電話の利用など口座振替で定期的に引き落としがあったのだが、それを知らなかったため、預金も底をついており、毎週のように未払い請求書が届く事態に。

そんな経験から母の話せる時にきちんと聞いておくべきだったと後悔。本人の思いや希望をうまく引き出す声のかけ方、いいづらいことをうまく聞く方法があったのではと思っている。

編集部・安里則哉


 





 




話しやすい関係築き元気なうちに

終活カウンセラーに聞く
親の希望どう聞き出す?

親に対し、生前に「亡くなった後のことを相談するのは難しい」と考える人も多いのでは。親の希望の聞き出し方やタイミング、気をつけることなどを終活カウンセラーに教えてもらった。

家族の将来のためにも

新型コロナウイルス感染症の流行で、「自分の身にいつ何が起きるか分からない」という恐怖を感じるようになり、終活に関して意識する人は増えています。しかし、実際に行っている人はまだ少ないと感じています。

身内が亡くなった後のことについて話し合いたいけれど、「親に死を意識させたくない」「財産目当てだと思われそう」などと考えてしまい、「どう切り出していいか分からない」と悩む人も多いと思います。大事なのは、「元気で判断能力がしっかりしているうちに」「共感し感謝を伝えながら」「親戚が集まる場など、気軽に会話ができる場で話す」こと。そのために普段からよく会話をし、話しやすい関係を築くことも大切です。

また、エンディングノート=下参照=を活用することをおすすめします。ただ漠然と「終活をしよう」という話では、伝わりにくいので「連絡先や保険のことなど、身の回りのことを書いておくと便利だよ」などと話すことで、前向きに考えられると思います。

終活は思い立った日が始め時。自分の人生を見つめ直すことはもちろん、家族の将来を考えることにもつながる大切なことです。



教えてくれた人

東恩納 寛寿(ひろひさ)/公益財団法人沖縄県メモリアル整備協会外部連携・終活支援部部長。終活カウンセラー上級


 Q いつ話す? 
A 判断能力がしっかりしているうちに
「元気」「病気」「末期」で考えると、病気や末期だと話がスムーズにいかない場合が多いので、元気なうちに話をするにこしたことはありません。本人の意志を生前に聞くことも含め、終活は「思い立ったが吉日」。始め時はなく、元気で判断能力がしっかりしているうちに。


 Q 気をつけることは? 
A 感情の行き違いに注意を
親に終活の提案をする上で気を付けたいのは、感情的な問題。遺言などの「死」を連想させることは嫌がる人が多いので、無理に強要して感情の行き違いを起こさないように注意したい。終活は、その人のこれまでの人生の集大成で、亡くなった後のことだけでなく、残りの人生を悔いなく生きるための活動でもある。苦労したことも楽しかったことも親の人生。親の話や思いをよく聞き、共感し感謝を伝えながら、明るい雰囲気で進めることが大切。

 Q 話すタイミングは? 
A 正月や法事など親戚が集まる場
親に死を連想させることや生前に亡くなった後のことを相談しようとしても、切り出し方は難しい。正月や法事など、親戚が集まる場など気軽に会話ができる雰囲気の場で聞いてみると話しやすい。「そろそろ意識しないとね…」という具合に話が広がりやすい。

 そのほか、話すタイミング 
テレビや新聞で終活について取り上げられたとき
テレビや新聞で終活について取り上げられた際に「どう思う?」と聞いてみる。テレビなどのようにうまいきっかけがあれば、「私は延命治療で苦しむのは…」「私は派手な葬式は…」と、自分の望みを言い出しやすい。

知人の家族に実際にあった不幸を話してみる
「親の終活について話したことがなく、親を亡くした後に困った」という知人のケースを話しながら、「自分も心配」と不安を訴えてみる。子どもが親へストレートに思いをぶつけ、真剣に話すことで終活が進む例も。

※病気や介護、入院など急を要する際は、一気に話を進めないといけないことも。その場合、周りの家族と情報共有し、親子全員で顔をそろえた場面で話をするのが理想的。



 エンディングノートを活用 
気軽に記入でき話すきっかけにも

上手な話のきっかけづくりとして、気軽に記入できるエンディングノートを活用すると便利。例えば、エンディングノートをリビングなど、家族の目に付く場所に置いておく。そうすることで「これは誰のもの?」と会話が始まり、エンディングノートがどのようなものかを説明することで、本人の考えを引き出すきっかけに。

また、自分(家族)がエンディングノートを記入して見せることも方法の一つ。親に終活を勧めるなら、まず自分が終活に取り組み、「私も書いてみたけど、気持ちの整理ができた」などと、良かったところを理解することも大事。一緒に話をしながら記入してみては。

話す順番は、先のことから今のことに向かって話すといい。亡くなった後のお墓のことを決めたら、葬式のことも決めなければならないし、葬式のことを決めるなら訃報連絡の範囲…という風に必要なものが見えてくる。エンディングノートを書くと自分の過去や現在、未来をふかんして見ることができるのもポイント。


『週刊ほ〜むぷらざ』後悔しない「終活」
第1811号 2022年4月21日掲載

この記事のキュレーター

スタッフ
安里則哉

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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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