ヘルスケア
2025年12月4日更新
婦人科の腹腔鏡手術、開腹手術との違いは? 沖縄の専門医がメリットや種類を解説|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(138)
家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くコーナー。今回から3回にわたり、婦人科の腹腔(ふくくう)鏡手術について、医療法人おもと会大浜第一病院の女性腹腔鏡センターでセンター長を務める徳嶺辰彦先生に話を聞きます。
女性の腹腔鏡手術①
手術による傷 より小さく
婦人科の腹腔鏡手術では、おなかに5ミリから12ミリ程度の小さな穴を4カ所ほど開け、そこから腹腔鏡や手術器具を入れて、子宮や卵巣の手術を行います。婦人科の腹腔鏡手術は1960年代にドイツで取り入れられるようになったのを皮切りに世界へ広まり、日本では70年代後半あたりから子宮外妊娠の診断などに使われるようになり、90年代から治療にも用いられるようになりました。
近年は県内でもロボット手術が普及してきましたが、これも腹腔鏡手術の一種です。ロボット手術は医師が操縦席から間接的にロボットの手を操作して手術を行うもので、手ぶれしないため繊細な操作が可能です。腹腔鏡手術は医師の手でダイレクトに腹腔鏡を操作するため、より高度な技術が必要となりますが、医師の手に患部の感触が伝わるというメリットがあります。日本産科婦人科内視鏡学会では、腹腔鏡技術認定医、ロボット手術技術認定医を認定しています。ロボット手術は保険適用が子宮摘出術、仙骨腟固定術、子宮がん手術などに限られていますが、通常の腹腔鏡手術はさまざまな疾患に広く保険が適用されています。
・体への負担が少ない ・手術中の出血が少ない
・術後の痛みが軽い ・入院期間が短い
・術後の回復が早い ・術後のおなかの中での癒着が少ない
・回復後の傷が目立ちにくい

徳嶺辰彦/医療法人おもと会 大浜第一病院 女性腹腔鏡センター長
医師。日本産科婦人科学会専門医、指導医。日本産科婦人科内視鏡学会評議員、技術認定医。日本内視鏡外科学会技術認定医。日本ロボット外科学会専門医。Best Doctors in Japanを 2014-2015、2018-2019、2020-2021、2024-2025の4回受賞。モットーは「すべての女性に正確で安心な低侵襲手術を」。
医療法人おもと会 大浜第一病院
電話=098-866-5171
那覇市天久1000番地
文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家族の医学手帳<138>
第1999号 2025年12月4日掲載
手術による傷 より小さく
回復が早く術後痛がより軽いvNOTES
負担が少なく
回復が早い
Q1 婦人科の腹腔鏡手術とは?
婦人科の腹腔鏡手術では、おなかに5ミリから12ミリ程度の小さな穴を4カ所ほど開け、そこから腹腔鏡や手術器具を入れて、子宮や卵巣の手術を行います。婦人科の腹腔鏡手術は1960年代にドイツで取り入れられるようになったのを皮切りに世界へ広まり、日本では70年代後半あたりから子宮外妊娠の診断などに使われるようになり、90年代から治療にも用いられるようになりました。近年は県内でもロボット手術が普及してきましたが、これも腹腔鏡手術の一種です。ロボット手術は医師が操縦席から間接的にロボットの手を操作して手術を行うもので、手ぶれしないため繊細な操作が可能です。腹腔鏡手術は医師の手でダイレクトに腹腔鏡を操作するため、より高度な技術が必要となりますが、医師の手に患部の感触が伝わるというメリットがあります。日本産科婦人科内視鏡学会では、腹腔鏡技術認定医、ロボット手術技術認定医を認定しています。ロボット手術は保険適用が子宮摘出術、仙骨腟固定術、子宮がん手術などに限られていますが、通常の腹腔鏡手術はさまざまな疾患に広く保険が適用されています。
Q2 開腹手術との違いは?
当センターでは、子宮筋腫、良性の卵巣腫瘍、子宮内膜症、骨盤臓器脱などの婦人科の腹腔鏡手術を行っていますが、従来の開腹手術との最大の違いは傷が小さいことです。従来の開腹手術なら10センチほど切開していた傷が、数カ所の小さな傷だけになりますので、体への負担が少なく、手術中の出血量が最小限で済み、術後の痛みが軽く、入院期間が短くなり、回復が早いので社会復帰も早く、術後のおなかの中での癒着が少なく、回復後の傷も目立ちにくいといったメリットがあります。当センターでは2017年4月の設立から今年9月までに2060人の婦人科腹腔鏡手術を行ってきました。そのうち23年から導入したロボット手術は150人以上の実績があります。腹腔鏡手術と開腹手術の違い
子宮筋腫、良性の卵巣腫瘍、子宮内膜症、骨盤臓器脱などの婦人科の手術を腹腔鏡で行う場合、おなかに5ミリから12ミリほどの小さな穴を4カ所ほど開けますが、従来の開腹手術に比べると傷がとても小さく済むため、さまざまなメリットがあります。・体への負担が少ない ・手術中の出血が少ない
・術後の痛みが軽い ・入院期間が短い
・術後の回復が早い ・術後のおなかの中での癒着が少ない
・回復後の傷が目立ちにくい

Q3 vNOTESとは?
腹腔鏡手術の一種で、腟から腹腔鏡を入れるvNOTES(経腟腹腔鏡手術)という手術方法があり、当センターでも2022年から実施しています。この手術は、腹部は切らずに、腟から入れた腹腔鏡で手術を行うため、腹部に小さな傷ができる通常の腹腔鏡手術に比べ、さらに体への負担が少なく、術後の痛みが非常に軽いというメリットがあります。当センターでは、腹腔鏡手術、vNOTES、ロボット手術といった体への負担が少ない手術の中から、個々の症例に合った治療法を選択しています。◆ ◆
次回は、子宮筋腫と良性の卵巣腫瘍の腹腔鏡手術について聞きます。
徳嶺辰彦/医療法人おもと会 大浜第一病院 女性腹腔鏡センター長
医師。日本産科婦人科学会専門医、指導医。日本産科婦人科内視鏡学会評議員、技術認定医。日本内視鏡外科学会技術認定医。日本ロボット外科学会専門医。Best Doctors in Japanを 2014-2015、2018-2019、2020-2021、2024-2025の4回受賞。モットーは「すべての女性に正確で安心な低侵襲手術を」。
医療法人おもと会 大浜第一病院
電話=098-866-5171
那覇市天久1000番地
文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家族の医学手帳<138>
第1999号 2025年12月4日掲載














