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2025年8月21日更新

認知や感覚の特性などが原因の場合も|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)㉙

文・金武育子
office育子 代表



発達凸凹の困りごとあるある
 身だしなみに無頓着 

あなたの周りに「身だしなみ、どうにかならないかなぁ」とつい思ってしまう無頓着な方はいませんか?

個人の趣向の範囲ならば大きな問題にはなりませんが、仕事上必要な身なりを整えられないとなると、いろいろと不都合です。彼らはなぜ、基本的な身だしなみに課題があるのでしょう。発達の凸凹の特性に注目して考えてみましょう。

他者への配慮が苦手
興味関心の偏り


①認知的な特性による理由
・「他者視点の理解が難しい」…他人からどう見られているかを想像するのが苦手なため、「身だしなみ=他者への配慮」という考え方ができない。
・「抽象的な基準がわかりにくい」…「清潔感」「きちんとしている」などの曖昧な表現が理解しづらく、何をどう整えればよいかが分からない。
・「注意力の偏りや忘れやすさ」…髪を整える、服を直すなどの細かい作業を後回しにして、忘れてしまうことがある。

②感覚的な特性による理由
・「感覚過敏」…肌に触れる服の素材や着心地に敏感だったり、歯磨きや洗顔などの感覚が不快に感じたりと、身だしなみの行動自体が苦痛になることがある。
・「視野の狭さ」…自分の見える範囲しか気づけず、シャツが出ている、鼻毛が見えているなどに気づかないことがある。

③心理的・興味関心の偏り
・「興味が限定されている」…ファッションや外見に関心が持てず、服装や髪形に無頓着になることがある。
・「こだわりの強さ」…お気に入りの服をずっと着続ける、ヨレヨレでも捨てられないなど、こだわりが身だしなみの乱れにつながることがある。
 

以上のように認知や感覚の特性や心理・興味関心の偏りといった特徴によって身だしなみを整えるのが苦手だとしたら、自分自身で気づいて直すことが難しいと思われます。怠惰なために身だしなみを整える常識が備わっていないのではなく、気づきにくさや苦痛の存在を考えると、現状を責めるのではなく、どんな特性によるものか、どんな工夫がお互いを助けるのかを一緒に考えて取り組んでいくことが大切ではないでしょうか。

 
 認知や感覚の特性などが原因の場合も 

カードやリストを活用
一緒にルールを決める


では、どのようなサポートが効果的でしょうか? サポートの工夫としては、

①視覚的な支援…
絵カードや写真などを使って、抽象的な概念を視覚で伝えることで、理解しやすくなる。

②チェックリストの活用…
「シャツはズボンに入れる」「髪を整える」「靴下は左右同じものを」など、具体的な項目で確認できるようにする。

③本人視点での動機づけ…
「髪を整えるとかっこいいよ」「清潔な服の方が気持ちいいよ」など、本人にとってのメリットを伝えると効果的です。

これらが代表的な支援方法ですが、より効果的なのは個人の特徴を理解して提案することです。そして、一番の支援は本人の現状をただ責めるのではなく、どのように見えるか、見ていてどう感じるか、どのように変わることが望ましいか、をチームとして一緒に考えて取り組むことが大切です。かたくなな態度も何度も繰り返すことも発達凸凹の特性であると考えられるので、ベースとなる約束を取り付けることが重要です。例えば、「身だしなみについて気になっているので改善してほしいがどう思うか」「(前出の)特性に思い当たるか」「工夫や改善の提案をしたいが、一緒に取り組んでくれるか」といった具合に、本人を中心に据えた改善チームとして機能できるよう取り組んではいかがでしょうか。



文・金武育子
office育子 代表

きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子 代表。好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」

記事に関する問い合わせは、office.ikuko@gmail.com

これまでの記事はこちらから。
『週刊ほ〜むぷらざ』こんな時どうする?大人の発達凸凹
第1984号 2025年08月21日掲載

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