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2025年5月8日更新

心の健康は自己肯定感と人とのつながり|人生100年‼︎ココカラ健康長寿②

新年度がスタートし、生活の変化や人間関係のストレスで落ち込んだり、めまいを感じたりなど心身に不調を感じている人もいるのでは? 専門家に心の不調の原因と、心の健康を保つために大事なことについて聞きました。



心理的なストレスなどで心身にさまざまな症状が出ることがある。症状=病気と考えがちだが、多くは体を守る反応だという。長田クリニックの院長、長田清医師は「人にはつらいことから立ち直る心の回復力があり、自己肯定感やポジティブな気持ちがそれを高める。そして、他者との交流や感謝が気持ちの安定につながる」と説く。
 

感情を受け止め 肯定感を大事に


教えてくれたのは

長田クリニック
院長 長田 清 さん


東京都立松沢病院、沖縄県立精和病院に勤務。2001年に那覇市で長田クリニック(心療内科)を開院。精神療法の活動に軸を置き、内観療法をはじめ、解決志向アプローチ、ポジティブ心理学などに取り組む。NPOおきなわCAPセンター(児童虐待防止活動)代表理事。沖縄いのちの電話理事長。沖縄内観研究会代表。沖縄県精神科診療所協会副会長。沖縄エッセイスト・クラブ会長


 Q1  心の不調とは?
 A  体を守るシグナル

これらは交感神経の緊張症状

 何 かしら不安があり、落ち込んだり、イライラしたりして、やる気がでない時、人は心の不調を意識します。心の不調とは、感情、思考、意欲がうまく回らないことにより生活に支障をきたしている状態です。原因としては、職場の上司や同僚、家族との人間関係の悩み、仕事や勉学のプレッシャーといった心理的ストレスが挙げられます。

ストレス以外にも、慢性疲労、睡眠不足、血圧異常、ホルモン異常などの身体的な要因や、進学や転職といった生活環境の変化による社会的な要因があります。新年度が始まる4月から5月の今頃は、配置換えなどで上司が変わったり、勤務形態や仕事の質が変わったりと、環境の変化にうまく対応できずに心身の状態が悪くなる場合があります。

また、ストレスは、めまい、吐き気、頭痛、動悸、発熱、食欲不振など体の不調を引き起こすこともあります。不調の原因を、感染症や臓器障害、生活習慣の乱れからくる体の病気だろうと考えて、内科などを受診しても原因がよく分からない、という場合はストレスの可能性があります。

多くの人は「症状=病気」と考えがちですが、これらの症状は単に「環境の変化に対する体の反応」に過ぎないことが多いのです。そして大抵の場合は、この反応は体を守るために生じているもので、いわば危険を知らせるシグナルなのです。例えば、ドキドキする(動悸)のは、危険を察知して、いつでも動けるように脳や体中の筋肉に血液(酸素)を送るため、心臓がフルパワーで働いているからです。
 

 Q2  心の不調にどう向き合う?
 A  感じたことを素直に受け止める

 
 長 年、患者さんの悩みを聞いてきましたが、人間関係によるストレスが心の不調の要因であることが多いです。人間関係に悩み苦しみ、つらいという気持ちが心身の不調として多くの症状を表します。しかし、こうした症状は、私たちを守ってくれる生体反応なのです。恐れる必要はありません。「ありがとう」と感謝の気持ちで受け止めましょう。

そして、大切なのは自分の心の中にある、つらい、苦しい、悲しい、嫌い、憎い、情けない、イライラ、怒り、悲観、抑うつなどのネガティブな感情に気づくことです。それらを否認、あるいは抑圧するのではなく、素直に受け入れましょう。

ネガディブな面だけでなく、ポジティブな面に目を向けることも大事です。心理学では、人には危機や困難を乗り越え回復・適応する力である「レジリエンス(精神的回復力)」、要するにつらいことから立ち直る心の回復力が備わっているとされています。レジリエンスを高めるのは、自尊心(自己を肯定する態度)を持つことだと言われています。そして、希望や喜び、楽しみ、思いやり、感謝、愛、友情といったポジティブな感情もレジリエンスを高めます。

 
 
 Q3  心の健康のために大事なことは?
 A  感謝と社会とのつながり

 日 々の生活の中で、できるだけ良いことを意識的に見つけましょう。「目覚めが良かった」「友だちと話せて落ち着いた」など、ポジティブなことを意識すると心が落ち着いていきます。

「内観療法」という心理療法を活用した方法も有効です。これは、毎日小さなノートに「良かったこと(五つ以上)」「人からしてもらったこと」「人にして返したこと」「迷惑かけたこと」を書き留めるというものです。良かったことを書くのはポジティブな見方を習慣付けられます。してもらったことや迷惑かけたことは、社会の中で自分が生かされていることを自覚し、それが感謝の気持ちにつながります。

内観療法の日常生活での活用法
毎日、小さなノートに下のことを書き留めよう

感謝の気持ちを持つと、脳内で神経伝達物質「セロトニン」の分泌が促されます。セロトニンは、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスを調整して心身を安定させる役割を担っていて、「幸せホルモン」とも呼ばれ、気分を安定させ、ポジティブな感情を生み出す働きがあります。

従来の説では、交感神経は危険に対処(戦う・逃げる)するために働き、副交感神経は休息やリラックスする時に働くと考えられていました。しかし、最新のポリヴェーガル理論では、副交感神経の大部分を占める迷走神経には役割が異なる2種類があると言われています。その一つ、背側迷走神経は戦うことも逃げることも困難な危機に際して生命維持のために体をフリーズさせる役割があります。

もう一つの腹側迷走神経は、人とのコミュニケーションを促す社会的な役割を持ちます。例えば、顔面にある腹側迷走神経の働きによって口角を上げ目を細めて笑顔は作られます。人は笑顔で接することで仲間を増やし、社会を形成して生存のチャンスを高めてきました。家族や友人と笑顔で交流を持つことで腹側迷走神経が活発になり、リラックスして気持ちの安定につながるのです。

社会的なつながりを持ち、相手への感謝の気持ちを育むことが心の健康とって大事なことなのです。

 
 Q4  生活習慣で気をつけたいことは?
 A  外に出て運動を
 夜 更かし、朝食を食べない、運動不足といった生活習慣の乱れが自律神経の乱れにつながります。よく眠り、よく食べ(適正な量とバランスで)、運動をして体のリズムを整えましょう。運動は有酸素運動がおすすめ。血液循環が良くなり体の隅々に酸素を送り、脳も活発になります。できるだけ外に出て散歩をしながら自然に触れましょう。自然に対する畏敬の念や、美しいと感じる気持ちも心を癒やしてくれます。



取材/池原拓
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」人生100年!!ココカラ健康長寿②
第1969号 2025年05月08日紙面から掲載

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