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2024年1月4日更新
教育費は新NISAで貯められる?|賢く生きる!マネー術⑩
文・岡田有里(ファイナンシャルプランナー)
Q 教育費は新NISAで貯められる?
A 貯金と保険合わせリスク軽減
今月からスタートした「新NISA」は教育資金の積み立て方法に適しているのでしょうか。新NISAで投資信託を買って教育資金を積み立てたいと考える親御さんが増えているようです。一方で、少しでも増やしたいと思う半面、下落や元本割れリスクが心配で実施までに二の足を踏む人も多いようです。新NISAと保険、貯金を組み合わせた教育資金の貯め方を解説します。
「大学進学資金」を貯めよう
教育資金の積み立ては「大学資金」に集中して、中学から高校卒業までにかかる費用は毎月の家計から捻出します。積み立ての目的を「将来の教育用」とすると中学・高校の費用がかさむ時期に使ってしまうケースがあるためです。
目標は「理想」と「最低」の2段階で
「教育費は、いくら貯めればいいの?」に正解の金額はありませんが、目標額を最低金額と理想金額の2段階に分けた計画がおすすめです。貯金しにくい時期は最低金額を目標にして頑張り、余裕が出たら理想金額を目指して猛ダッシュすることができ、モチベーションを保ちやすいでしょう。
最低金額の例は、2年分の授業料と入学金や受験時期の諸費用です。例えば、国公立大学の入学金+2年分の授業料+諸費用で150万円が目安です。私立大学はこれ以上になります。
理想金額は希望大学の在学4年分の費用が基準です。進学先を国公立、私立、県外、海外と広げると目標金額も上昇するので、保護者として希望する進路をイメージし金額を設定します。例として、地元の国公立大学の入学金+4年分授業料+諸費用で300万円。県外の国公立大学なら学費に生活費4年分を追加して800万円が目安です。希望校のホームページなどで学費や諸費用を調べてみましょう。
1月から始まった新NISAは長期間積み立てれば資金が大きく育つことが期待できます。しかし元本保証はなく、使いたい時期にリーマンショックやコロナのような市場相場の下落が起きると損失が出て教育資金が不足するかもしれません。新NISAを利用する場合は、10年~15年以上積み立て期間を取って計画を立てましょう。長期間続けることで元本割れする可能性が低くなる傾向にある、とされています。5年未満の短期積み立ては元本割れリスクが高くなる傾向にあるので、教育資金の積み立てには向かないと考える方が無難です。
大学進学用の教育資金は使う時期が決まっています。確実に必要な金額は、低リスクの預貯金と貯蓄型保険を組み合わせて貯め、残りは元本割れリスクを理解した上で投資性積み立てを利用しましょう。
教育資金は増やしたいが、リスクは多く取りたくないという要望が多くの親御さんの本音でしょう。筆者自身の子ども用には大学3年分以上の資金は低リスクの預貯金+貯蓄型保険で貯め、残りを投資積み立てで理想金額に近づけるように実施中です。教育資金は長期でコツコツ貯めるのが一番なのは、今も昔も変わりません。新NISAの利用を検討中の方は、運用益をあてにし過ぎて資金不足で慌てる事がないように欲張り過ぎない計画を立てましょう。
おかだ・ゆり/ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業を経て沖縄へ。女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動
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『週刊ほ〜むぷらざ』賢く生きる!マネー術⑩
第1900号 2024年1月4日掲載
この記事のキュレーター
- キュレーター
- 岡田有里
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ファイナンシャルプランナー。ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業に就職し海外勤務を経験し、2000年に沖縄へ。「私の未来に安心を!」をテーマに、女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動。