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2025年6月5日更新

治療効果を高める手術+補助療法!|身近な病気もっと知ろう 家族の医学手帳(132)

家族の健康が気がかりな「ほーむさん」が専門のドクターを訪ね、気になる病気について聞くこのコーナー。今回は乳がんのタイプと治療法にスポットを当て、マンマ家クリニック副院長の國仲弘一先生に話を聞きます。

乳がん②

治療効果を高める手術+補助療法!

手術後10年間はフォローアップ

タイプで異なる治療法

Q1 乳がんのタイプとは?

乳がんは、がん細胞が乳管などの内部にとどまった状態である非浸潤がんと、周辺の組織にまで広がった浸潤がんに分かれます。浸潤がんの場合は、女性ホルモン受容体(エストロゲン受容体やプロゲステロン受容体)が陽性のタイプ、HER2というタンパク質が陽性のタイプ、エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2がいずれも陰性(トリプルネガティブ)のタイプがあります。

女性ホルモン受容体が陽性の乳がんは全体の65~75%を占め、がん細胞の増殖が比較的緩やかなルミナルA型と、A型に比べ増殖力が高いルミナルB型に分かれます。HER2が陽性の乳がんは15~20%を占めています。トリプルネガティブは、約15%となっています。

乳がんのタイプ別治療法
乳がんは、女性ホルモン受容体が陽性で、がん細胞の増殖が比較的緩やかなルミナルA型と、A型と比べて増殖力が高いルミナルB型、HER2が陽性のタイプ、エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体・HER2のいずれも陰性のトリプルネガティブの四つに分類され、それぞれ最適な治療法が異なります。※ホルモン受容体陽性でも術前科学療法が必要な場合があります。

 

Q2 乳がんの治療法は?

乳がんの治療は手術療法を基本に、抗がん剤治療や分子標的薬治療、ホルモン剤治療といった薬物療法、さらに放射線療法といった補助療法を組み合わせた集学的治療が必要で、それにより治療効果を高めます。例えば、手術の前に抗がん剤を投与することにより、大きながんが切除しやすくなったり、リンパ節への転移を減らしたり、場合によっては乳房全摘ではなく乳房を部分切除する温存手術が可能になる場合もあります。

近年では、乳房温存手術に術後の放射線治療を組み合わせると、全摘手術とほぼ同じ効果があることが判明し、むしろリンパ節での再発は全摘手術よりも再発リスクが下がることも分かってきました。

 

Q3 がんのタイプで治療が違う?

乳がんのタイプによって最適な組み合わせの治療を選択します。女性ホルモン受容体陽性のルミナルA型は手術と術後のホルモン剤治療、ルミナルB型は手術と術後のホルモン剤治療+抗がん剤治療を行います。

HER2陽性は抗HER2薬+抗がん剤を投与した後に手術を行います。トリプルネガティブは抗がん剤治療や免疫療法を行ってから手術を行います。どちらも術前の薬物治療の効果を評価して術後の薬物療法を決定します。ただし、状況に応じて手術を先に行う場合もあります。

ルミナルA型とB型は明確に分けられない場合があり、HER2やトリプルネガティブも幅があるため、担当医とよく相談して治療を決めることが重要です。抗HER2薬や抗がん剤治療は種類によって治療期間に幅がありますが、ホルモン剤治療は5年ないし10年、手術後のフォローアップは10年が目安になるかと思います。患者さんの状況によって変わりますので、詳しくは担当医と相談を。
 
◆   ◆   ◆

次回はハートライフ病院乳腺外科センター長の柏葉匡寛先生に乳がんの乳房温存手術について聞きます。

國仲弘一さん/マンマ家クリニック副院長

くになか こういち/マンマ家クリニック副院長
医師、医学博士。日本乳癌(がん)学会専門医・指導医。琉球大学医学部卒業後、新潟市民病院、琉球大学病院第一外科の乳腺・甲状腺外科チーフ、乳がん治療で知られる相良病院(鹿児島県)での勤務を経て、現職に。モットーは「患者さん、診療チームと一緒に作る乳がん診療」。

マンマ家クリニック
電話098-988-4141
沖縄県浦添市経塚633 メディカルKプラザ2F


文・堀基子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』 家族の医学手帳<132>
第1973号 2025年06月05日掲載

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