健康
2025年3月20日更新
繰り返す「痛風」発作|腫れ、熱感を伴う激痛[新治療で長引く痛み改善⑭]
文・佐久川貴行(さくがわクリニック院長)
食生活の欧米化で患者が増加
食生活の欧米化に伴い、痛風関節炎(以下、痛風)の患者数は増加傾向にあります。国民生活基礎調査によると、2022年時点に痛風で通院治療中の患者さんは130万人を超えるとされています。また、痛風の前段階である高尿酸血症(無症状)の患者数は痛風患者の約10倍と推測されており、非常に頻度の高い疾患と考えられます。痛風の患者数は30歳以上から増え始め、圧倒的に男性に多いです。女性は女性ホルモンに尿酸排せつを促す働きがあるため、一般的に痛風になりにくいとされています。通常は1〜2週間で改善
痛風・高尿酸血症の原因はプリン体の多い食品(レバー、カツオ、白子など)の過剰摂取、アルコール摂取(特にビール)、肥満、ストレス、腎機能低下、遺伝などの組み合わせとされています。
高尿酸血症は自覚症状に乏しいのですが、その状態が続くと、尿酸結晶が足や膝などの関節にたまります。それだけでは痛風発作は起きませんが、尿酸結晶の内部成分が外に漏れだすと、強い炎症が起きて赤く腫れ激痛が生じます。これが痛風発作と言われ、風が吹いただけでも痛みが生じるとされています。
痛風発作の痛みは激しく、患部が赤く腫れ、熱感を伴います。足の親指の付け根に生じることが多いですが、膝・手指などの関節にも生じます。通常、急激な痛みは24時間以内にピークを迎え、1~2週間かけて改善することが多いです。急激な痛みは消炎鎮痛薬を使って速やかにを和らげることが一般的です。高尿酸血症や痛風発作の急激な痛みについては、まず内科(一般内科・膠原病・リウマチ科)や整形外科を受診して下さい。

発作を繰り返す場合は
痛風発作が起きても、通常1~2週間かけて激痛は改善します。ただし、適切な薬物治療や生活習慣の改善によるコントロールがうまくいっているにもかかわらず、数週間~数カ月という短期間で痛風発作を繰り返す人がいます。そういう人は、関節内にたまった尿酸結晶の周囲に異常血管(モヤモヤ血管)が増え、慢性的な炎症を引き起こしている可能性があります。繰り返す痛風発作による長引く痛みで悩んでいる方は、新しい治療法(動注治療)を検討してもよいと思います。
足の動注治療では、足の甲または足首内側の動脈の中に、点滴で使うより細いチューブを入れて治療薬を注入します。血液の流れに乗って痛みの部位に生じたモヤモヤ血管に作用し、痛みを軽減できます。片足通常5分程度で治療可能で、治療前に局所麻酔のチクッとした痛みはありますが、それ以降に痛みを感じることはほとんどありません。初診でも当日治療を受け、ご帰宅可能です。
繰り返す痛風発作による長引く痛みで悩んでいる多くの患者さんに、動注治療の情報が届くよう、願っています。=おわり
※動注治療は、オクノクリニック(表参道・銀座・横浜)の奥野先生が2014年に開発した治療で、年間4千件の治療実績があります。

執筆者
さくがわ・たかゆき/宜野湾市出身。放射線診断専門医。IVR(画像下治療)専門医・指導医。運動器カテーテル治療研究会・監事。2021年9月浦添市前田にさくがわクリニックを開院
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毎週木曜日発行・週刊「ほ〜むぷらざ」
第1962号 2025年3月20日掲載