健康
2025年3月20日更新
腹筋背筋強化で腰痛予防|続けてハッピー‼︎健康習慣⑫
腰痛は背骨(脊椎)を支える筋肉の衰えや肥満によって腰に過度の負担がかかることで発症のリスクが高まります。予防には腹筋と背筋の筋力アップが効果的! 専門家に腰の痛みの原因や具体的なセルフケアの方法などを聞きました。
腰痛は、加齢などによる筋肉や骨の衰えをはじめ、肥満や姿勢の乱れなどさまざまな原因で起こる。同仁病院の院長、山内裕樹医師は「予防には全身の筋力、特に背骨を支える腹筋・背筋の維持が大事。ウオーキングや筋トレなどの運動習慣を心掛け、適正体重の維持に努めて」と説く。
筋肉と骨量を維持して 正しい姿勢保つ

医療法人 八重瀬会 同仁病院
院長 山内裕樹さん
院長 山内裕樹さん
背骨を支える筋肉を強化
体を支え、曲げたり伸ばしたりして動かす役割などを持つ背骨(脊椎)=下参照。骨にかかる荷重や衝撃は椎間板や周辺の筋肉によって緩和される。加齢などによって椎間板がすり減ったり、筋肉が衰えたりすると、背骨(特に腰椎)への負担が大きくなり腰痛の原因になるという。山内医師は「腰痛の予防には全身の筋力、特に腹筋・背筋を維持することが大事。これらの筋肉は背骨を支え、かかる負担を減らすことにつながる」と説明する。また、肥満もリスクになる。体重が重いとその分背骨にかかる荷重も増えるので、腰痛になりやすい。
立ったり座ったりする時の姿勢も腰痛に関係している。「背骨は横から見てゆるやかなS字のカーブを保つことで重い頭を支え、腰や足に体重を正しくのせることができる。前かがみの姿勢になるなどして、そのバランスが崩れると腰に負担がかかる可能性がある」
年とともに骨量は減っていくが、骨粗鬆(しょう)症によって骨がスカスカになると荷重がかかる時にきしんで痛むこともあるという。さらには、椎体がつぶれるように骨折(脊椎圧迫骨折)すると、強い痛みが出ることもある。また、椎体がつぶれると背骨が変形して背中が曲がり、前かがみの姿勢になってくるので、腰に大きな負担がかかる。
圧迫骨折は日常の何げない動作でも起こり得、高齢の場合は知らない間に骨折していることもあるという。「腰痛は加齢以外にもさまざまな疾患が要因となる。放置しているとそれだけ治療も難しくなることも多いので、我慢しないで早めの受診を」と呼び掛ける。
背骨の構造と腰痛の原因となる疾患の一例
背骨(脊椎)は「頸椎」「胸椎」「腰椎」「仙骨」「尾骨」からなる。頸椎・胸椎・腰椎は「椎骨」という骨が積み重なって構成される。椎骨は腹側の「椎体」と背中側の「椎弓」からなり、その間には神経の通り道である「脊柱管」がある。椎体と椎体の間には椎間板という軟骨がある
背骨(脊椎)は「頸椎」「胸椎」「腰椎」「仙骨」「尾骨」からなる。頸椎・胸椎・腰椎は「椎骨」という骨が積み重なって構成される。椎骨は腹側の「椎体」と背中側の「椎弓」からなり、その間には神経の通り道である「脊柱管」がある。椎体と椎体の間には椎間板という軟骨がある

【脊椎圧迫骨折】椎体がつぶれて痛みが出たり、背骨が曲がって前かがみの姿勢になって腰に大きな負担がかかる
【椎間板ヘルニア】椎間板に強い圧がかかると腰に痛みが出る。さらに亀裂が入ると後ろに組織が飛び出して神経に当たり、腰や下肢に痛みやしびれが出る
【脊柱管狭窄症】なんらかの原因で神経が通る脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されて腰や脚にしびれが出る
ウオーキングで背筋と骨を強く
ウオーキングやラジオ体操は骨に適度なストレスを与え、代謝が促されて骨が強くなる効果も期待でき、運動中に野外で日光に当たると、体内でカルシウムの吸収を促すビタミンDが生成され、骨粗鬆症の予防にもつながる。「一方で、喫煙や過度の飲酒は骨粗鬆症のリスクになり、統計学的にも骨折しやすくなるといわれている」
体の柔軟性も腰痛と関係がある。例えば、股関節や膝関節の動きに関わる大腿(だいたい)四頭筋やハムストリングスが柔軟でないと関節の可動域が狭くなり、その分腰に負担がかかる。ストレッチなどで体の柔軟性を保とう。
デスクワークなどで長時間いすに座る場合は、なるべく正しい姿勢=下参照=を心掛けよう。「とはいえ、正しい姿勢を保ち続けるのは大変。作業に集中しているとだんだんと腰に良くない楽な姿勢をとってしまう人もいると思うので、1時間に1回は立って背筋を伸ばしたり、周辺を歩き回るとよい」

姿勢をチェック
右図が正しい姿勢の例。背骨がS字になることで、バランスよく体を支えられる。左図のように前かがみの姿勢で座ると背骨のS字が崩れて、腰痛になりやすい。山内医師は「車の運転中、シートを後ろに傾けてふんぞり返るような姿勢もよくない。シートは真っすぐ立て、背中とお尻をつけて、背筋を伸ばしましょう」とアドバイス。
パソコンやスマホを使う場合、のぞきこむような前かがみの姿勢になりがち。いすの高さやスマホを持つ手の位置を調整するなどして、前かがみにならないように画面をなるべく目線の高さに合わせよう。
重い物を持つ時に腰をかがめる際は、脚も一緒に曲げると腰だけなく脚にも荷重が分散するので、腰への負担を軽減できる。
背骨を支える筋肉を鍛えよう
どちらも1日30~50回が目安。体力に応じてトライして!


腰痛の予防のポイント
①背骨を支える背筋・腹筋を鍛える
②正しい姿勢や適正な体重で腰の負担を軽減
③運動などで骨粗鬆症を予防
↓画像をクリックして「同仁病院」のホームページへ
取材/池原拓
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」続けてハッピー‼︎健康習慣⑫
第1962号 2025年03月20日紙面から掲載