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2024年4月18日更新

互いの特性 理解し合う機会に|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)⑬

文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表(株)おきなわedu取締役

 
 

職場の困りごとあるある
 凸 必要なスキルを身に付けにくい 凹 

新年度になりました。この時期は、新入社員や、部署移動のメンバーを受け入れるため、対人関係が大きく変化します。メンバーが入れ替わることで、職場環境が大きく様変わりするのです。特に発達の凸凹のある方と一緒に働くには、お互いの理解と努力が必須です。その人との建設的なコミュニケーションを心掛け、チームとして働く目標や、そのためのルールを明らかにしていくことが大切です。

一番注意したいことは、彼らが労を惜しまず努力しても周囲に迷惑をかける、といった残念な結果を招いてしまうことです。


どんなことが起こる?

一般的に、新入社員が入社後、最初の3カ月間にするべきことは、(1)名前を覚えること、(2)場所を覚えること、(3)簡単な書類作成ができること、と言われています=表1。最初の3カ月の仕事は、次のステップに進むために必要な情報を集め、誰かに依存せずに状況に対応できるようになることです。ところが、発達の凸凹のある方にとって、このプロセスが大変難しいことがあります。(1)~(3)は、どれも自立的に仕事をするために必要なことですが、自分でできるようになるためには、先輩、上司とのコミュニケーションが欠かせません。そして発揮されるべき能力は、「質問する力」なのです。

 


 
コミュニケーションの目標は、「求められている成果を創り出すこと」です。そのために、まずは新しい職場に慣れ、新しい仲間と共に居る時間に慣れることから始まります。そして、相手の状況やスケジュールを考慮しながら、タイミングを見計らって「質問する」のです。「コミュニケーション」とは、一方的なものではなく、「やり取り」が要求されるものです。ただ待つのではなく、「質問する」ことで目標に近づき、この「質問」を繰り返すことで、「話す」、「聞く」という、創造のための活動を円滑にするのです=表2

 


しかし、発達凸凹のある方は、対人関係をつくるのが難しい「社会性の問題」や、特定のものにこだわり変化を嫌う「想像力の問題」、不注意による失敗が多くなる「注意欠陥多動性の問題」、会話が成立しにくい「コミュニケーションの問題」などがあり、(1)~(3)の身につけるべきスキルが遂行しにくいことがあります。その結果、自信を無くし、仕事を続けることへの困難を感じてしまうのです。ここで、「助けてください、教えてください」と自分から支援を求めることができればいいのですが、それが最も難しい、という発達凸凹ならではの特性が邪魔をしてしまうのです。
 

    凸 互いの特性 理解し合う機会に 凹    


困った時の対処法

こうした「特性」があることを、本人自身も、周囲もよく知ることが重要です。しかし当人は、簡単に自覚できないので、周囲の人の理解と協力が必要なのです。おかしいな、と思ったら、一緒に検討してみる事が効果的です。事前に対処すれば、本人も工夫の仕方を発見できますし、孤立を防ぐことができます。
 仕事を覚える最初の3カ月を、「チームとしてメンバー一人一人の課題と特性を捉え、互いを理解し合う環境づくりの機会」にしてみませんか。誰しも持っている発達の特性を知り合う機会は、職場のスムーズな業務につながっていくことでしょう。



文・金武育子
(株)沖縄発達支援研究センター代表
(株)おきなわedu取締役


きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子を経て、現職。好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」

記事に関する問い合わせは、odssc.okinawa@gmail.com

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『週刊ほ〜むぷらざ』 こんな時どうする?大人の発達凸凹⑬
第1915号 2024年4月18日掲載

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