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2024年3月21日更新
モヤモヤ血管との出合い|痛み長引く所に異常な血管⁉[新治療で長引く痛み改善②]
文・佐久川貴行(さくがわクリニック院長)
高まる認知度 保険適用の追い風に
3カ月以上続く痛み(慢性痛)のあるところには異常な血管ができていることが分かっています。通常の血管とは異なり、ぼやっとかすんで見えることから「モヤモヤ血管」と呼ばれています。モヤモヤ血管の近くには通常は見られない病的神経も増殖していることが分かっています。この病的神経が痛みを伝え、また異常な血流が増えることで病変の組織圧が高まり、五十肩、首・肩こり、変形性ひざ関節症、へバーデン結節、スポーツ障害(テニス肘ほか)などの長引く痛みが生じると考えられています。自然には消えない
一般に40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えていくため、長引く痛みが生じやすくなります。一方、10~30代の方でも、スポーツや仕事で負荷をかけ続けた部位にはモヤモヤ血管が生じやすいです。3カ月以上たったモヤモヤ血管は自然にはなかなか消えないため、運動器カテーテル治療を行っています。治療は直径0・6㍉の医療用チューブ(カテーテル)を使い、血管内を経由して患部に直接投薬することで、痛みの原因になっているモヤモヤ血管を消すことが特徴です。
地元沖縄で開院したい
沖縄で放射線科医として診療を続けているときに専門医学会で「モヤモヤ血管」「運動器カテーテル治療」に出合いました。今まで聞いたことのない新しい治療だったため、大変感銘を受けたのを覚えています。治療法を学ぶため、開発者の奥野祐次医師(現オクノクリニック総院長)のもとで診療に携わり、痛みの改善につながった多くのケースを目の当たりにしました。
医院は東京にありますが、沖縄から治療に来られる方もいました。この治療を扱っている医療機関は国内でもまだ少ないので、地元沖縄で開院したいという気持ちを強くしましたが、大きな問題がありました。新しい治療のため、まだ国の保険適用になっていないことです。「治療費を10割自己負担」は患者さんにとって高いハードルであり、また新治療が国の保険適用になるまでは長い年月を要します。長引く痛みで悩む患者さんの中には、これ以上は待てないという方もいらっしゃいます。大変心苦しかったのですが、患者さんに可能な限り早く新治療を届けるため、自費診療という形で開院に至りました。
近年、米国やドイツでは保険適用され、運動器カテーテル治療の海外での認知度は少しずつ高まっています。これが国内の保険適用に向けた追い風となり、この新治療を長引く痛みで悩む多くの患者さんに届けられるよう願っています。
執筆者
さくがわ・たかゆき/宜野湾市出身。放射線診断専門医。IVR(画像下治療)専門医。運動器カテーテル治療研究会・監事。2021年9月浦添市前田にさくがわクリニックを開院
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毎週木曜日発行・週刊「ほ〜むぷらざ」
第1911号 2024年3月21日掲載