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2024年2月15日更新
肩や膝関節などへの「カテーテル治療」とは?|新技術で体への負担も少なく[新治療で長引く痛み改善①]
文・佐久川貴行(さくがわクリニック院長)
痛み・傷跡・副作用なく 日帰りで
もう20年前のことです。医学生時代の病院実習で、体への負担が少ないカテーテル治療に興味を持ちました。極細チューブを血管に
そもそもカテーテルとは何か? 一般の方にはなじみのない言葉だと思います。当院で扱うカテーテルはボールペン先よりも細く、柔らかいチューブ(先端0・6㍉、長さ1㍍前後)のようなものです。これを採血注射のように手首や太ももの血管内に入れて肩や膝まで進め、患部に直接投薬して治療します。
「血管に入れて大丈夫?」「痛くない?」と患者さんによく聞かれます。歯科治療時の局所麻酔のように初めにチクッとした痛みはあるものの、カテーテルが入る瞬間はほとんど分かりません。血管の中には神経が通っていないので、カテーテルが血管内を通り抜けて肩や膝まで進んでも痛みを感じることは全くないのです。特に当院で扱うカテーテルはかなり細いので傷跡は残りませんし、血液サラサラの薬を内服中でも十分止血可能です。局所麻酔で行うため、半日程度の日帰り手術が可能となっています。
副作用・合併症も①カテーテルの刺入部周囲の内出血(生じても1カ月程度で消失)、②薬に対する軽度のアレルギー(一過性のかゆみ・じんましん)が主と、多くの点で体への負担が少ないことをご理解いただけると思います。
ちなみに心臓や脳血管のカテーテル治療では、サイズの大きなカテーテルや全身麻酔を扱うことがあり、入院が必要となるケースが多いです。
3カ月以上続く痛みに
カテーテル治療の基礎を学んだのは長崎県でのこと。がん治療や交通事故による外傷の緊急止血などさまざまなカテーテル治療を経験しました。その後沖縄に戻り、放射線科医として診療を続けている時に専門医学会で出合ったのが、現在私が行っている「運動器カテーテル治療」です。当時、カテーテル治療は心臓、脳血管、胸部、腹部に行われることが多く、肩・膝関節などの運動器には行われていなかったため、「この画期的な技術を駆使すれば、より多くの患者さんにより良い医療を提供できる」と新しい道が開けた思いがしました。
運動器カテーテル治療では五十肩、首・肩こり、変形性ひざ関節症、へバーデン結節、スポーツ障害などで生じる、3カ月以上続く慢性痛が対象です。一方、発症3カ月未満の急性期の痛みであれば自然に和らいだり従来の治療で改善することが多いので、専門の整形外科で診てもらう必要があります。
執筆者
さくがわ・たかゆき/宜野湾市出身。放射線診断専門医。IVR(画像下治療)専門医。運動器カテーテル治療研究会・監事。2021年9月浦添市前田にさくがわクリニックを開院
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毎週木曜日発行・週刊「ほ〜むぷらざ」
第1906号 2024年2月15日掲載