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2023年11月9日更新

保険外で介護の隙間を埋める|諦めず発信すること大事|つらくない介護を(4)

介護が必要な人も、介護をする人も「つらくない介護」を選択するために、当事者や介護を支える人々に話を聞くコーナー。今回は家族を在宅介護してきた当事者と、介護タクシーのサービスを提供する2人が、在宅介護サービスの活用について対談しました。

保険外で介護の隙間を埋める
諦めず発信すること大事




在宅介護のコツは 頑張りすぎないこと

ディロング直美さん/医療法人タピック沖縄リハビリテーションセンター病院看護師。亡き実父を13年間介護した経験を持つ


介護の悩みは 周りに打ち明けて

新城馨(かおり)さん/沖縄初の女性介護タクシードライバー。介護タクシー、巻き爪フットケア、訪問看護ステーションの各事業所代表を務める


-ディロングさんは長年、父親を介護されたそうですね?

ディロング
 脳梗塞による後遺症で、3年前に他界するまで13年間、仕事をしながら在宅介護していました。その間、肺炎などいろんな病気もしたので、病院、施設、自宅を行ったり来たりしながら、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、訪問診療、訪問歯科診療、訪問マッサージ、福祉用具、配食サービス、介護タクシーなどを活用しました。コロナ禍は施設が利用できなくなり、24時間在宅介護が必要となったため、パート勤めですが約3カ月間、介護休業を取得。介護休業給付も受け、退職せずに済みました。

新城 介護保険サービスを上手に活用されていたのが伝わります。介護保険外サービスも活用されたのですね?

ディロング はい。介護タクシーは、通院のための介護保険利用と、余暇活動で介護保険外でも利用しました。旅行好きだった父のために、家族でヤンバル1泊旅行をしたんです。父は寝たきりで胃ろうもしていたので準備は大変でしたが、父を中心に家族一緒の楽しい思い出が作れました。

新城 良かったですね。介護タクシーは、介護が目的でないと使えないと思われがち。公的介護保険では通院など目的が限られていたり、家族が同乗できないなど制限がいろいろありますが、保険外だと活用の自由度が広がります。

沖縄では、シーミーや旧盆でお墓やお仏壇に手を合わせたいからとの利用依頼がよくあります。ある時は伊江島で生年祝いに参加したいという利用者が、ドライバーの私と介護タクシーに乗ったまま一緒に船で島に渡り、会場の公民館まで送ったことがありました。また、県外から沖縄観光のための依頼もよくあります。

ディロング 「車いすだから」と諦めるのではなく、本人が行きたいと希望するのであれば、まず相談、発信することです。わが家の場合、経費の面で福祉車両のレンタル案も出ましたが、安心安全を第一に考え、介護タクシーをお願いしました。その結果、父と一緒に車窓の景色を楽しめたし、途中休憩タイムを取り、マイペースで移動できたことやドライバーさんの声掛けでとても安心感がありました。父の旅費だけで5万円ほどかかりましたが、子どもたちも「おじいちゃんのために」と1万円ずつカンパしてくれ、家族の結束力も強まりました。今でも写真に写る父の笑顔を見ながら家族で話すことがあります。周りの力を借りれば介護が楽しくなる。少なくとも、つらくない介護につながると思います。

新城 同感です。私はよく女性のドライバーで良かったと言われることが多いんです。どうやら愚痴を言いやすいというのがあるようです(笑)。介護の悩みは話すだけでも気持ちが楽になるし、必要なサポートにつながることもある。実際に、買い物代行やゴミ出しなどのサービスを提供した事例もあります。私がフットケアのサービスを提供するようになったのも、利用者が困りごとを話してくれたのがきっかけでした。介護サービスの隙間を保険外サービスで埋めることができます。

ディロング 新城さんのように介護を支える人たちが私たちの周りにたくさんいることを知ってほしい。その活用が介護と仕事を両立するためにも大切です。介護の情報は、知っているのと知らないのとでは大違い。私は今年「家族介護のwa」という会を立ち上げたんです。介護の経験をシェアし、寄り添うことができたらと思っています。
 

ディロングさん(前列左)の父親(同右)は、寝たきりで胃ろうもあったが、介護タクシーを活用し、両親、娘3人の6人家族でヤンバル1泊旅行に出掛けることができた。「旅行やイベントが好きだった父の笑顔に家族みんなが喜ぶ楽しい思い出になった」と振り返る。写真はディロングさん提供




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「介護の楽ワザ」記事一覧

取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1892号 2023年11月9日紙面から掲載」

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