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2023年10月5日更新

10月は乳がん月間①|乳がん検診で安心を胸に

県の調べによると、2019年に新たに乳がんと診断された女性は1251人。女性のがんの中では罹患者が一番多いにもかかわらず、厚生労働省の国民生活基礎調査2022によると、乳がん検診の県内の受診率は5割以下。罹患者の特徴などを医師に聞くほか、経験者の声を紹介。FPにもしもの備えについても聞いた。


全国より高い60代以上の罹患

乳がん検診の受診率は全国47.4%、沖縄が48.8%(出典:2022年度国民生活基礎調査)。医師の中力美和さんは「早期発見し、適切な治療を受ければその後の生存率は高い。継続的な検診を」と呼びかけ、経験者のEさんは「抗がん剤の副作用がつらかった」と治療時を振り返る。
 
北部地区医師会病院健康管理センター医師。マンモグラフィー読影医


 早期発見が生存率のカギ 

国が40歳以上の女性に勧める乳がん検診。しかし、北部地区医師会病院の中力美和さんは「胸のしこりや痛みなど自覚症状が出るまで検診を受けたことがない人も多い」と話す。同院のデータでは、自覚症状がある人の約7割が、がんが進行した病期2期以上という結果がある。「無症状のうちに検診を受けてほしい。早期発見しやすくなり、適切な治療を行えばその後の生存率も高い=グラフ①。遅くても35歳からは受診を始めて」と勧める。

国立がん研究センターがん情報サービスのデータによると、全国と比較した県内の特徴は、60代以上の罹患率が高く、70代以上の罹患率が最も高いこと=グラフ②。原因の一つに肥満率の高さが考えられると言い、「県内女性の寿命が長いことを考えると、70代までは検診を受けたほうが良いと思われる」と中力さん。また、「当院のデータでは週3回以上の飲酒や、睡眠時間が5時間以下の日が多い人ほどリスクが高い傾向にあると分かった」と紹介。まずは乳がんにかからないよう、生活習慣を見直すことが大切だ。

県内の特徴はもう一つ。検診結果が「要精密検査」となった人の精密検査の受診率の低さだ。「乳がんが進行する可能性があり、とても危険」と警鐘を鳴らす。








超音波とマンモ受診を

乳がん検診は主に2種類。超音波(エコー)検査と胸を機械に挟んでレントゲン撮影するマンモグラフィー検査だ。「マンモグラフィーはがんに伴う石灰化や乳腺のゆがみの発見が得意。しかし、アジア系の人種や40代以下に多い高濃度乳房(乳腺に脂肪が少ない)の場合はしこりが見えにくい。一方、超音波検査は、がんに伴う石灰化や乳腺のゆがみの発見は苦手だが、しこりを見つけるのは得意。それぞれ特徴が異なる。当院の患者では、初期の乳がんは超音波検査の方が見つけやすい傾向があると分かったため=グラフ③=、両方の検査を受けるのが理想」と語る。

中力さんは同院患者の検診間隔と、がんの進行についても調べた。「検診間隔が空くと、がんが進行して発見されるケースが増えると分かった。年に1度の間隔を目安に、人ごとだと思わず検診に足を運んで」と呼び掛ける。


リスクを高めないために心掛ける生活習慣

①肥満にならない
②アルコールを控える(飲酒量が少なければ少ない程良い)
③日々5時間以上の睡眠時間を確保する



 乳がん検診の主な検査方法 
①超音波(エコー)検査
受診者の胸に検査技師が機器を当ててモニターに映る胸の内部の状態を見る方法

主な特徴
・高濃度乳腺の人の場合、しこりが見つけやすい
・しこりが見つかれば、生体検査が容易

主な弱点
・石灰化を伴うがんを見つけるのが苦手
・乳腺のゆがみのみの場合はマンモグラフィー
 に劣る。しかし、しこりが伴う場合は優れる



 
②マンモグラフィー検査
乳房を機械で挟み、レントゲンを撮影する方法

主な特徴
・石灰化や乳腺のゆがみを伴うがんを見つけやすい
・乳腺に脂肪が多い脂肪性乳腺の人の場合はしこりも見つけやすい

主な弱点
・微量だが放射線を使用する
・個人差はあるが、痛みがある
・高濃度乳腺の人の場合はしこりを見つけにくい




 石灰化の発見に優れた  3Dマンモグラフィー
従来のマンモグラフィーはX線を一方向から当てて撮影し、乳房を平面的に画像化する2D。一方、3Dマンモグラフィー=写真=は機械の一部が動き、多方向から撮影。乳房を薄くスライスしたような複数枚の断面画像を収集して、立体的に再構成して表示するものだ。中力さんは「2Dよりも特に石灰化の存在を探すのに優れている。超音波検査と併用すれば、個人的には2Dと比較すると3~5割増しの発見率だと感じている」という。




 胸の痛みとしこりで発見 
乳がん経験者・Eさん
56歳。抗がん剤治療などを経験。2022年に右胸を全摘した


2021年の冬、右胸の痛みとしこりに気づいたEさん。詳しく検査すると結果は乳がん。怖くて、医師には病期を聞かなかったが、右脇周辺のリンパ節に転移していると説明された。

乳がん検診は数回受けたことがあった。30代の頃しこりが見つかったが、良性だったことで安心し、以来乳がん検診を受けていなかった。「身内に罹患者はいないから、まさか私がかかるなんて思いもしなかった」と振り返る。

治療は、通院で抗がん剤からスタート。その後はピンポイントでがんにアプローチする分子標的薬がプラスされた。「一番つらかったのは、抗がん剤の副作用。全身の関節が痛く、常にだるい。家事ができず横になってばかり。下痢にも悩まされた。つら過ぎて『こんな思いをしてまで治療すべきか』と考えたこともある」という。また、全身の脱毛も経験。汗が目に入り、鼻水がぽとりと垂れた。


治療費は200万円弱

2022年7月に右胸の全摘手術を受けた。現在、右胸にはハンカチで包んだパッドを入れている。今年の検診では経過が良好だと言われた。

これまでの治療にかかった費用(自己負担分)と、副作用で受診した費用や薬代の合計は200万円弱。18回使った分子標的薬や、1本10万円の薬剤の費用が特にかさんだ。

夫が主契約者のがん保険の家族への保障(特約)が適用されるが、「20年前に入ったきり。自分が主契約者の保険に入るなど、途中で見直しておけばもう少し保険金で対応できたかも」

仕事は、乳がんが分かった時に休職。同僚はシフトを積極的に代わってくれた。家事は娘や息子がサポート。病院への送迎は夫が買って出てくれた。「私を励まそうと友人たちも気遣ってくれた。周りのみんなに感謝している」

生きるために胸の全摘は決断したが、「早期に発見できれば、胸を残せたかもしれない」という思いは今も残る。検診をためらう女性へ「ぜひ早めに受けて」と力を込める。


関連記事:10月は乳がん月間②|保険は数回見直しを

取材:比嘉知可乃
『週刊ほ〜むぷらざ』10月は乳がん月間 |乳がん検診で安心を胸に

第1887号・2023年10月5日掲載

この記事のキュレーター

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週刊タイムス住宅新聞編集部

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