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2023年3月23日更新

在宅でも楽しく「機能訓練」|介護の楽ワザ⑫

介護の経験から得たこつや便利な道具、シェアしたい情報を紹介。今回は、身近な材料を使って、自宅でも機能訓練ができる方法を、作業療法士の金城知子さんが紹介します。

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 Aさんの体験談  単純作業も手指や脳の訓練に

半身不随の義母が、しばらく通所リハビリを休んだだけで、簡単な作業が困難になり、驚きました。
 
 
母は左半身不随で車いす生活。毎週、施設でリハビリを受けています。椅子から立ち上がる動作や足を一歩前に出したり、手すりを使って歩行する訓練などの他、テーブルで道具を使った簡単な作業による訓練もしています。

ある時期、体調を崩してリハビリを休んだのですが、再び施設に通うようになったとき、積み木のようなピースを穴の開いた板に差し込んでいく簡単な作業が難しくなっていたのです。それまで単純な訓練に見えて、軽く考えていたのですが、実は手指や認知機能、集中力の訓練になっていたことを改めて実感しました。

母もできなくなっていたことにショックを受けていましたが、訓練を繰り返し続け、またできるようになると、安心したのと同時に以前にも増してやる気も出たようです。
 


 専門家からひとこと!  心が動けば体も動く

「楽しみながら」が大切

高齢になると、感覚が鈍くなり、力も弱くなります。作業療法士などの指導の下、道具なども使いながら、さまざまな方法で行われる機能訓練のリハビリは、単純な作業に見えても、手、指、体幹などを鍛え、認知機能、集中力の向上にもつながります。

施設で使うような立派な道具でなくても、身近なもので手作りし、工夫すれば、自宅でもリハビリができます=左囲み参照。Aさんのように、理由があって施設に行けないときや、施設に通う日以外にも、日常的に取り入れると機能維持や向上に役立ちます。

ただし、自宅で行うときは、無理強いしないこと、安全第一で行うことに注意しましょう。夕方は疲れてくるので、午前中など、本人の調子の良い時間帯に行うようにするといいでしょう。

機能訓練のリハビリを行う本人は、以前できたことができなくなっていることを目の当たりにし、いい気持ちはしません。できないことを突きつけられて強制的に作業をさせられるのは本人にとって、とてもつらいものです。

「楽しみながらやること」が最大のポイントです。ゲーム感覚で本人に合わせたルールを作り、勝負をあおり立てないようにしましょう。楽しいと、脳が活性化することが研究でわかっています。心が動いたら、体も動きます。それが良い機能訓練になります。

本人に役割を与えるのもおすすめです。植木鉢への水やりは、花が咲くことで成果が見え、やりがいを感じられます。他にも、旧暦の1日、15日に火の神様やご先祖様を拝む沖縄の習慣も、認知機能、集中力を高める、とてもすばらしいリハビリになります。

日常生活の中で、心を動かす時間を作ってみてください。
 
金城知子さん
きんじょう・ともこ/社会福祉法人おもと会本部結ま~るケアプロジェクト、作業療法士



手作り道具で自宅でもちょこっと訓練
 
運動不足の解消、認知能力への刺激、気分のリフレッシュなどにも効果的。楽しみながら取り組んでみよう。

①ペットボトルのふたを開け閉め

作り方 飲み物や洗剤など、ふたがさまざまな形状になるようプラスチック容器を集め、上部を板などの土台に固定する。
やり方 さまざまなふたを開け閉めする。手や指先を使う運動になり、視覚と動きを連動させた脳の刺激にもなる。両手でやれば右手と左手の協調訓練になる。


②牛乳パックでジェンガ

 
作り方 牛乳パックの空き箱の注ぎ口をテープなどでとじ、元の形にする。15個以上あると良い。
やり方 牛乳パックを横に倒して3本ずつ5段以上で積み上げる。順番に牛乳パックを1本ずつ抜いていき、倒した人が負け。自然と体が動き、座位姿勢保持能力、集中力の向上、腕の可動域を広げる訓練になる。


③新聞紙ボールで玉入れ

 
作り方 新聞紙は広げて1/4の大きさに切り、丸めてボール状にする。可能なら本人にも作らせる。
やり方 本人から少し離れた場所にかごを置くか家族が持ち、玉入れをする。時間や個数を計り、孫など家族と対戦しても楽しい。指先の力や握力の強化、狙った場所に投げる動作が、腕や肩など上半身をきたえる。

「介護の楽ワザ」記事一覧

取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1859号 2023年3月23日紙面から掲載」

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