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2023年2月23日更新

「沖縄で和そばの文化を広めたい」 定年退職後からそば打ちで地域おこしに励む、69歳の女性[彩職賢美]

「楽しく、おいしく、健康に」をモットーに手打ちそばを通した仲間づくりと地域づくりを目的に活動しています。手打ちそばには段位認定があり、それを目標に練習に励んでいます。練習成果を生かして地域の公民館などでそば打ち体験のボランティアもしています。


撮影/比嘉秀明

そば打ち通し生きがいづくり

やんばる手打ちそば倶楽部代表
宮城 久美子さん


段位認定目指し技磨く
地域で体験やデモも披露


やんばる手打ちそば倶楽部の会員は現在35人。年齢は30代から70代。本島北部を中心に中南部や周辺離島にも会員がいる。会の結成は2018年。大宜味村で開催された村の特産品である和そばのイベントでそば打ちのデモンストレーションを見て感銘を受けた村出身の宮城久美子さんらが「自分たちもやってみたい」と地元の有志13人で結成。そばによる地域振興を目的に活動している「全国麺類文化地域間交流推進協議会(全麺協)」と連携し、「大宜味手打ちそば倶楽部」としてスタートした。「活動を始めた当初は、本土から全麺協に所属するそば打ちの指導者が毎月来県し、そば打ちを教えてくれて、ありがたかった」

宮城さんは大宜味村役場を定年退職後、名護市で喫茶店を営んでおり、そこがそば打ちの練習場所として会の活動拠点になっている。会員は和気あいあいとした雰囲気で練習に励み、休憩ではゆんたくに花が咲き、場は笑い声が絶えない。

長年役場で福祉関係の部署などに携わりながら、人口が減り高齢化が進む村の現状をみてきた宮城さん。これからは高齢者がなるべく周りの助けを借りずに、健康で生きがいを持って生活することが大事だと考えていた。「そば打ちは高齢者の体力でも無理なくでき、程よい運動や頭の体操にもなる。打ったそばもおいしいし、ルチンなど体にいい栄養素もあって食の改善につながる。何より、そば打ちを通した仲間たちとの交流が楽しい」。宮城さんは、高齢者の居場所づくりとしてこうした場はこれからの社会に必要になる、と会の活動を通してその思いを強くし、そば打ちを指導する人材育成に力を入れたいと考えた。徐々に村外の会員も増え、2020年に本島北部を中心とした仲間づくり・地域づくりを目的に掲げた「やんばる手打ちそば倶楽部」に名称を変更した。「ここでそば打ちを学んだ人たちがそれぞれの地域でそば打ちを指導して交流の輪を広げてほしい」

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全麺協はそば打ちを通した地域貢献を担う人材育成を目的に、初段から八段までの「そば道段位」を制定していて、会員は段位取得を目標に練習に励んでいる。現在、会の有段者は初段7人、二段3人、三段6人、四段1人(同会外で取得)。宮城さんは二段の腕前で、ほかの有段者たちと会員にそば打ちの指導をしている。「具体的な目標があると練習にも身が入る。私は店で会員の練習をずっとみているのでそばは打つより教えるほうが得意かも」とほほ笑む。

会員が初めて段位を取ったのは2020年2月。全麺協の審査員を招いて沖縄で初となる段位認定会が大宜味村で行われ、認定会に参加した会員13人全員が認定された。しかし、その後はコロナ禍でなかなか思うように活動ができない状況が続いた。「ネットで連絡を取り合い、密を避けて数人で時間を分けて練習を続けた」。そうして地道に練習を重ね、22年に再び同村で開催した認定会では、初段に5人、二段に8人の会員が認定され、さらに同年大阪で開催された認定会に二段の会員5人が参加し、全員見事三段に認定された。ことしも2月26日(日)に大宜味村で認定会を開催する=上の囲み参照。

会では、公民館などで地域の人たちにそば打ちの体験やデモンストレーションを行い、練習の成果を披露している。宮城さんの喫茶店でもそば打ち体験を受け付けており、それをきっかけに会員になった人も多い。「打ったそばをおいしそうに食べる顔を見るのがやりがい。現在、もっと多くの人にそば打ちの練習や体験をしてもらいたいと、お店の近くに『日本そば手打ち道場』を建築中。これからも県内の和そば文化の普及に努めていきたい」

 大宜味村のソバ栽培にも関わる 

宮城久美子さんは、大宜味村の特産の一つ「大宜味産和そば」にも関わりがある。宮城さんは村役場在職中、2009年から村農業委員会で、赤土流出対策の一環として畑の周りにイネ科の植物「ベチバー」を植え、耕作していない畑にヒマワリやソバを植える取り組みに関わった。それをきっかけに、ソバは大宜味村の特産として栽培されることになった。宮城さんは、ソバの生産拡大に取り組む「大宜味村蕎麦(雑穀類)生産組合」で事務局も務めていた。「沖縄でそば打ちが普及し、村産のソバ粉を使って手打ちの和そばを提供するお店が出てきたら、観光資源にもなる。そのためにも人材育成に努めたい」

 そば打ちの技術や姿勢を審査 
そば道段位認定会では、40分の間に規定の人数分のそばを打つのが課題。初段位では700g、二段位では1kgのそば粉で10人前のそばを打つ。時間内にそばを打つことのほかにも、そばを打つ姿勢や、道具の後片付け、衛生面など各審査項目について全麺協の審査員がチェックする。大宜味村で行われた過去2回の認定会では、打ったそばは地元の人に振る舞われ、地域交流にも一役買っている。

第3回そば道段位認定会・沖縄大会は、2月26日(日)9時から大宜味村塩屋公民館で開催される。宮城さんは「会場には入れませんが、建物の外から見学できます。打ったそばは、ことしも地域の方に振る舞うので、試食したい方は、箸とおわんを持参して来てくださいね」と呼び掛ける。

昨年大宜味村で行われた認定会の様子

 全国のそば打ち仲間と交流 
やんばる手打ちそば倶楽部は、昨年の5月、宮城県で行われた全麺協主催の「そば大学」に参加。全国各地の手打ちそば倶楽部が集い、そばによる地域振興に関する講演・パネル展示などが行われた=写真。宮城さんは、沖縄で開催したそば道段位認定会のことなど会の取り組みについて発表した。「全国のそば打ち仲間と交流し、会の取り組みについても知ってもらえた。コロナが落ち着いたら全国の仲間たちと沖縄で交流を図り、やんばるの観光も楽しんもらいたい」

会では九州や関東の手打ちそば倶楽部とも交流があり、そば打ちを通して全国とも交流の輪が広がっている。


やんばる手打ちそば倶楽部 電話=090(3070)5206




プロフィル/みやぎ・くみこ
1954年、大宜味村生まれ。辺土名高校、沖縄女子短期大学卒。東京や大宜味村の保育所勤務をへて同村役場に勤務。2012年、村農業委員会事務局長に就任。15年に退職。村蕎麦(雑穀類)生産組合の事務局を務める。16年、喫茶店「かん缶」を開店。18年、大宜味手打ちそば倶楽部を立ちあげ、20年にやんばる手打ちそば倶楽部に名称変更。会員数35人、地域へそば打ち指導の活動を行っている。全麺協そば道二段位。

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文・池原拓
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1421>
第1854号 2023年2月23日掲載

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