教育
2022年1月6日更新
教えて!百名さん|思春期の性教育⑨
「思春期」の子どもたちや大人から寄せられた「性」に関する質問に、助産師の百名奈保さんが答えます。今月は15~18歳の子どもを持つ大人からの質問と、妊娠の可能性を確認するタイミングについて。
15~18歳編
大人からの質問
Q 娘に彼氏ができて妊娠が心配。娘に気を付けてもらうには?
A 交際を否定せずに、妊娠が心配であることや、学生の間は性行為に賛成できない旨を伝える
学生の娘さんに彼氏ができたとき、親は「もし妊娠したら大変」と、心配な気持ちになるのはよく分かります。人とお付き合いするのはステキなことなので、親は一方的に交際を否定せず、心配な気持ちでいること伝えればいいと思います。
「性行為にはお互いの同意が大切で、避妊の正しい知識が必要」「学生の間の性行為は、まだ早いので賛成できない。妊娠が心配」「もし、妊娠した時にどうするかを決めているのか」「性行為は、親になる覚悟ができている時にするもの」と、娘さんに伝えてみてはどうでしょうか。
性に関することは伝えにくいけれど、子どもたちの間では誤った「トンデモ情報」が飛び交っています。親はめげずに、話をする機会を見つけてほしいです。
何か困ったとき、親に相談してもらえるのがベストですが、できない子もいます。緊急避妊ピルの情報や相談先は、ぜひ伝えておいてほしいことです。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
大人からの質問
Q 月経痛緩和のために娘が低用量ピルを飲みたがる。副作用が心配。
A 低用量ピルは生理痛や過多月経を軽くすることが できる。医師と相談して娘さんと検討を
80%以上の女性が生理痛を経験しているというデータ※がありますが、痛みには個人差があります。腰を温めることや、軽い運動、市販の痛み止めを飲んで痛みが軽くなる人が多いのですが、「痛みがひどくて学校に行けない」、「日常生活が困難」という人もいます。寝込むほどの月経痛は、子宮内膜症など他の病気の可能性があるので、受診することがおすすめです。
低用量ピルは排卵が抑えられることにより、生理痛や過多月経を軽くすることができます。中学2年生の女子に低用量ピルの話をしたら「テストと生理が重なり、勉強に集中できずイライラした。受験の時に使ってみたい」と言っていました。「ピル」と聞くと「怖い」「避妊」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、娘さんが有益と思っている方法は、一緒に検討してみては。どの薬にも副作用があるので医師とよく相談して使ってくださいね。
※2018 TENGAヘルスケア月経痛実態把握調査
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
「妊娠したかも」いつ確認する?
妊娠をすると月経は止まります。赤ちゃんが欲しいときならうれしくなりますが、産んで育てる準備ができていない時には「妊娠したかも。どうしよう」と不安な気持ちになると思います。
市販の妊娠検査薬でチェックするタイミングは、月経予定日から1週間以降です。前の月経を覚えていないときは「妊娠したかも」という性行為から3週間後に、市販薬で判定することができます。それより早い時期にチェックしても、判定できない場合も。
妊娠していることが分かったら「1日でも早く」病院を受診し、赤ちゃんが子宮の中にいることを確認する必要があります。万が一、子宮外妊娠をしていた場合、卵管が破裂し、急激な下腹部痛が起こり大量の出血により女性が死亡してしまうこともあるからです。
子宮内に赤ちゃんがいることを確認して、それから「産む」「産めない」をなるべく早く決めます。学生が妊娠をした場合、大人の助けが必要になります。親や「若年にんしんSOSおきなわ」に相談をして、これからのことを一緒に考えてみてください。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
★百名さんに聞いてみたい、読者の皆さんからの質問を受け付けています。些細な事でも、上手に伝えられなくてもOKです!下記のURL から気軽にお寄せください。
http://mail-to.link/m7/4sv7d8
ひゃくな・なお/那覇市嘱託助産師・保健師として、学校で性教育について講話。子どもたちからの相談も受け付けている。那覇市首里で、「助産院*きらきら」を開業
same-moon@comet.ocn.ne.jp
「思春期の性教育」2021年12月までの記事はコチラから
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1796号 2022年1月6日紙面から掲載」