企業紹介
2021年12月30日更新
【年末年始特別号】幸せに働く楽しく生きる|金秀グループ
「新年こそ、仕事もプライベートも諦めることなくハッピーに」との思いを込め、沖縄県内でいち早く女性活躍を推進する企業の取り組みを紹介。現場の女性キーパーソンらの声には参考にしたい工夫が満載だ。
金秀グループ
女性の登用 当たり前に
今や「女性登用は当たり前」となった金秀グループ。建設業から小売り、観光サービスまで、グループ全社にその考えを根付かせたのが、2013年に始動した「W20」だ=下囲み参照。「女性社員が20%なら、女性管理職も20%いて当然」との経営トップの信念の下、それは始まった。
任されたのは、当時、本社役員室の総務部長から、グループ一の大所帯、金秀商事の執行役員常務に就任したばかりの砂川久美子さん。ワーキングチームのメンバーには、「ロールモデルを担う力を付けてほしい」と、あえてグループ各社の女性管理職を選んだ。
初めに各社の取締役、管理職、女性社員に、現状を4段階で評価してもらうアンケートを無記名で実施。「評価に差がある項目ほど課題が隠れている」と分析したところ、(1)女性社員、男性管理職の意識改革 (2)男女の役割分担への意識改革 (3)仕事と家庭の両立支援-の三つが見えてきた。
「女性が昇進に尻込みするのは、残業や飲ミュニケーションが当たり前の男性上司しかおらず、女性管理職の姿をイメージできないから。また女性本人に確認もせず、『子育て中だから』『荷が重そう』と男性に仕事を振るのは、優しさの勘違い。女性もそこに甘んじていては、成長の機会を失ってしまう」と振り返る砂川さん。一方で、「能力ある女性は育っているものの、引き上げる仕組みが不十分」な現況も浮き彫りに。
まずは「リーダーシップなど女性の不安要素を取り除く」研修を実施。育児と介護支援ガイドブックを作り制度の周知を図った。
カギは対話と開示
改革の「肝になる」と感じたのは「男性管理職の意識改革」。考えた末、行ったのが「部門長ヒアリング」だ。メンバーがグループ各社へ足を運び、42人の部門長一人一人と膝を交え、聞き取りを重ねた。地道な対話は、改革への戸惑いや女性社員の仕事ぶりに対する本音を引き出しただけでなく、「何が女性の強みで、どうすれば女性活躍を推進できるかを本気で考え、行動してもらう良いきっかけになったと思う」と砂川さん。次第に、「出来ないことは一つずつつぶしていけばいい」と各社で女性社員・管理職を育てる体制が生まれ、男性社員らの意欲も刺激。3年後には目標を達成した。
心掛けたのは「開示と感謝」。取り組みの内容は「数値化し、写真を交えながら分かりやすく」幹部会議で伝え、社内報にも掲載。各社の社長を個別に訪問しては理解を求めるなど、自らも常に発信し続けた。「苦労と感じたことはない」と笑い、迷いや不安を抱いた時は「社訓の『誠実』と照らし合わせ、省みる」のは、今も変わらぬ習慣だ。
女性活躍の社風が当たり前となった今、次なる目標は女性の役員比率30%。砂川さんは「互いに支え合い、影響し合いながら個性ある森を作る『雑木林経営』と呉屋守將会長が提唱するように、多様性がカギになる。当社の取り組みから県内の女性活躍を推進する流れを作りたい」と力を込めた。
「仕事の幅広げたい」
「タウンプラザかねひで」の店長を経て、バイヤーとして活躍中の金秀商事(株)サブマネージャー、国吉留美さん。「店長に推薦された時は『まさか!』と不安でしたが、社のサポートや同僚に励まされました。今後も地に足を付け、仕事の幅を広げたい」と意欲を燃やす。
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「W20(ダブル・トゥエンティ)」
女性管理職比率20%を目指す取り組み。「100年企業の体制構築には女性の力の顕在化が重要」との経営方針の下、女性管理職比率10%を達成した2013年に始動。21人のメンバーが「キャリア形成」「風土改革」「働き方改革」に分かれ、各社の女性活躍推進をサポートした。14年、グループ初の女性社長として山城敦子氏が金秀興産社長に就任、金秀建設では女性現場代理人が誕生。金秀アルミ工業では女性社員中心に玄関ドアをデザインするなど女性活躍推進をけん引。現在は常設委員会へ統合。
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すながわ・くみこ
1968年、大阪府生まれ。大学卒業後、沖縄へ。88年、(株)金秀本社(現:金秀ホールディングス(株))へ入社。役員秘書、総務部長等を経て、2013年、金秀商事に転籍。21年7月より現職。金秀グループの女性活躍推進の取り組みに中心的に関わっている。
【 幸せに働く楽しく生きる 関連ページ】
・おきなわフィナンシャルグループ (株)沖縄銀行
・社会福祉法人 さくら会 さくら保育園
・有限会社 スタプランニング
『週刊ほ〜むぷらざ』年末年始特別号 「幸せに働く楽しく生きる」
文/徳 正美
第1795号 2021年12月30日掲載