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2025年6月19日更新

強みを生かせるタスクを与える|こんな時どうする?大人の発達凸凹(でこぼこ)㉗

文・金武育子
office育子 代表



発達凸凹の困りごとあるある
 マルチタスクが苦手 

マルチタスクとは、複数の作業を同時に進めること。例えば、電話をしながらメールを返信したり、料理をしながらテレビを見たりすることもマルチタスクの一例です。業務中はマルチタスクを求めたり、求められたりすることが多いのではないでしょうか? そんな時、あなたはどのように対応しますか?

あなたの周りに、マルチタスクが苦手な方がいるのではないでしょうか。


情報の処理が苦手
注意の切り替えが困難


マルチタスクが苦手な要因は主に「脳の情報処理の仕組み」や「注意のコントロール」に関係があるようです。短期間で情報を保持して処理する「ワーキングメモリー」の容量が限られていることが多く、そのため複数のタスク(課題)を同時に進めると情報が混乱しやすくなる、というものです。次に「注意の切り替えが難しい」ことが挙げられます。一つの作業から別の作業へスムーズに移行することが苦手な傾向があるため、どの作業に集中すべきか分からなくなり、効率の低下につながります。

また、「外部刺激の影響を受けやすい」ことから、周囲の音や視覚的な刺激に注意が向きやすいため、集中力が分散しやすくなるのです。発達凸凹の特性として、どのタスクを先に処理すべきか判断するのが難しく、重要な作業を後回しにしてしまうため、マルチタスクがさらに難しくなります。


周りに理解されず
自己評価も低迷


家事は、マルチタスクの連続です。片付け・整理整頓・収納は、特に大変な課題です。想像してみてください。ゴミ出しの朝、慌ててごみを回収して袋に入れて決まった場所に出し、すぐに朝食の準備をして、食後も食器や散らかったテーブルの上をきれいにします。さらに洗濯機を回すために、各部屋から洗濯物を集めます。途中気になる場所を片付けたり、思いついた作業に手を付けたりすることもあるでしょう。

発達凸凹の人は整理が苦手なので、必要なものがなかなか見つからず、探すためにまた散らかって、ヘトヘトになりながら洗濯機を回して、洗濯物を干すまでに「ああ、洗濯機を回してから片付ければよかった」と反省で落ち込みます。ふとわれに返ると、洗濯物を集めながら片付けて回ったはずの家の中が、朝起きた時より散らかっている。事情が分からない家族からは、「一日何してたの?」と非難めいた言葉をかけられ、行き場のないつらい気持ちが蓄積していきます。

マルチタスクが苦手な社会人は、頼まれた事ができていない自分を責めてばかりで仕事は進まず、周りには理解されず、成果が上がらぬことを指摘され、他者からの評価も、自己評価もどんどん下がっているのではないでしょうか?

 
 強みを生かせるタスクを与える 

一つの作業に集中
優先順位を明確に


それらの解決のためには、発達凸凹の人の特性を理解し、適切なコミュニケーションをとることが重要です。そのために、「シングルタスクを尊重する」「明確な指示を出す」「適切なサポートをする」「環境を整える」「その人の強みを生かす」ことが大切です(表1参照)。マルチタスクが苦手な人は、一つのことに深く集中する力を持っているのではないですか? その強みを生かせるような役割を与えることで、よりよい成果を出せるようになります。マルチタスクが苦手な方が克服するための対策としては、「シングルタスクを意識する」「タスクを細分化する」「優先順位を明確にする」「メモやリマインダーを活用する」ことが挙げられます(表2参照)
 

適切な対策をとることで、より効果的に作業を進めることができます。本人と周りの双方向的な協力と工夫で現状克服以上の発見や変化が見つかるかもしれません。



文・金武育子
office育子 代表

きん・いくこ/1970年、那覇市首里生まれ。10代の2人の息子を通して人生と向き合う中年期クライシス体感中。臨床心理士・国際交流分析士。大学講師、office育子を経て、現職。好きな言葉は「人は必ず発達する」「人間、この未知なるもの」

記事に関する問い合わせは、office.ikuko@gmail.com

これまでの記事はこちらから。
『週刊ほ〜むぷらざ』こんな時どうする?大人の発達凸凹
第1975号 2025年06月19日掲載

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