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2020年5月14日更新

Q 学校の性教育は何を習う?|思春期の性教育[1]

文・百名奈保|家庭では話題にしづらいけれど、大切な性教育のこと。このコーナーでは、助産師の百名奈保さんが、思春期の性教育についてつづります。今回は、学校で習うことを紹介します。

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A 地域、学校で大きく違う

「性教育」と聞いて思い浮かべる言葉は何ですか。「恥ずかしい」「大っぴらに口にしてはいけない」「秘密めいたもの」…。
保護者をはじめ、学校の先生たちの中にもマイナスのイメージを持つ人が多いです。
「生理」「妊娠」「出産」「セックス」「避妊」「中絶」。保護者から聞こえてくる言葉の多くは女の子に関するもので、精通など男の子に関する言葉を挙げる人はほとんどいません。多くの保護者は「性教育は自分には無理だから、学校でちゃんと教えてもらいたい」と望んでいますが、実際には学校の性教育でどのようなことを教えているのでしょうか。
 

生徒の状況はさまざま

小学校から高校までの性教育は、文部科学省が出している学習指導要領に基づいて、教科書などを使用して実施されています。性教育は、体育・保健体育の授業の他に、道徳、特別活動など学校教育活動全体を通じて取り組むことが重要であるとされています。内容によって、小中学校は養護教諭(保健室の先生)と担任の先生、高校は体育教諭が行うことが多いです。
具体的な学習内容は、下表の項目とされています。しかし実際は、それぞれの地域や学校によって問題点(妊娠、性犯罪など)や児童生徒の状況(理解度、LGBTなど)が異なるので、かなり踏み込んだ話をするところとそうでないところ、外部講師を招いて内容を広げるところと、学校によって大きく違います。

学校の性教育で習うこと

小学3、4年  体の清潔、男女の体の発育・発達、プライベートゾーン、初経と精通、異性への関心
小学5、6年  命の誕生
中学1、2年  月経と射精、受精と妊娠、性衝動、異性との関わり方、性情報への対処
中学3年 性感染症(感染経路と予防)
※性交という言葉は用いず、性的接触と表現する
高校 妊娠・出産、家族計画(避妊)、人工妊娠中絶

 

沖縄は初体験が早め

性教育は、実情に合わせた内容で実施することが大切です。一方で、小中学校では「学習指導要領にないものは取り扱わない」との方針で授業を進めていて、「性交」「避妊」「中絶」「マスターベーション」「包茎」といった言葉は使用しません。そのため、生徒に必要な情報が届いていない残念な状況もあります。

性交経験率の推移 性交経験率を学校段階、性別ごとに示した図。


「第8回青少年の性交行動全国調査」(日本性教育協会・2017調査より)

性交経験のある女子高生は約20%=上図、沖縄県は初体験年齢が全国の中でいちばん早い、性交経験人数が多い、さらにコンドーム使用率がほぼ最下位、というデータもあります(相模ゴム工業、ニッポンのセックス2018)。望まない妊娠を避けるために用いられる緊急避妊薬(アフターピル)の情報など、知っているのと知らないのとでは将来が変わってくることがあり、伝えたいことはいろいろあります。
 

性教育=セックスではない

「性教育」はイコール「セックスの話」ではなく、体の仕組みを学ぶ健康教育であり、性のトラブルから身を守る安全教育でもあり、人との関わり方を考える人権教育であると思います。学校の先生の中には、性行為の話を聞くと興味を持つ生徒が出てくることを心配し、「寝た子を起こすな」という人もいますが、興味が無いふりをしている「寝たふりをしている子」はたくさんいます。性的なことに興味を持った年齢は、男子は9歳で約4%、10歳で約12%、女子は9歳で約5%、10歳で約16%というデータもあります(第8回青少年の性行動全国調査 2017調査)。
性の問題はどんな子でも起こり得ます。学習指導要領から離れて、マスターベーションや避妊といった踏み込んだ話ができる外部講師(医師や助産師など)に「お任せします」と言っていただける学校が増えることを願っています。

 


 
ひゃくな・なお/那覇市嘱託助産師・保健師として、学校で性教育について講話。子どもたちからの相談も受け付けている。那覇市首里で、「助産院*きらきら」を開業
same-moon@comet.ocn.ne.jp

毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1710号 2020年5月14日紙面から掲載」
 

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