under30
2019年5月16日更新
[翔べ!わかむんちゃー under30]琉球フロッグスオーガナイザー・畑中ひらりさん|私たちは大海を知っている!
若者の可能性は想像を超える! 次世代リーダー育成プロジェクト「Ryukyufrogs(琉球フロッグス)」のオーガナイザー、畑中ひらりさん(25)は「大海を知る蛙(かわず)になろう!」と話す。プロジェクトを卒業し、ITサービスを開発したり、海外で学びを深めたり、夢を追いかける若者たちを紹介する。
社会を変える! 世界へ飛び出す
畑中ひらりさんが思い描くのは、子どもたちがもっと自由に進路を選べる未来だ。嘉数涼夏さん(22)は、障がい者がチャレンジできる社会にしたい、と意気込む。「考える前に動く」「失敗したら次!」。チャレンジし続ける彼女たちの言葉には、パワーが満ちている!
A 次世代のリーダーを育成。
畑中 琉球フロッグスは、(株)フロッグスが運営する10日間のアメリカ・シリコンバレー研修を含む約半年の次世代リーダー育成プロジェクトです。自分が解決したい社会課題とその解決策を考え、最後はイベントで観客を前に英語でプレゼンします。人財育成を通して、沖縄のビジネスを盛り上げたい!と考えています。
「井の中の蛙(かわず)大海を知らず」という言葉がありますが、枠にとらわれず、世界という大海を知る蛙(フロッグ)になろう、がコンセプト。選抜された中学生以上の学生が無料で参加できます。
今年11年目で、卒業生は起業家や技術者、海外で働く人など、さまざまです。
Q 周囲をどう巻き込む?
A ビジョンを語り思いを伝える。
畑中 琉球フロッグスの運営は企業の協賛金でまかなわれていて、ビジョンを伝えて共感してもらうことを大切にしています。
琉球フロッグスはもともとは(株)レキサスの代表比屋根隆さんが発起人としてスタートしたプロジェクト。人財育成の理念に共感いただく協力企業が増え、2017年に(株)フロッグスを設立しました。茨城の民間企業からオファーがあり、今年から茨城でも「常陸フロッグス」が始まっています。
Q どんな未来にしたい?
A 子どもが自由に道を選べるように。
畑中 大学時代、塾で中学生を教えていて、学生が偏差値だけで高校を選ぶことに違和感を感じていました。
子どもたちに、いろいろな選択肢を知った上で道を選べるようにキャリア教育をしていきたい。
自分の可能性を知らず、固定観念に縛られている学生が多い。進学だけが道じゃない。海外に行く、働く、いろんな選択肢を知った上で自分で道を選んで、自由に人生を楽しんでほしい。
Q シリコンバレーで学んだことは?
A 一歩踏み出すと、世界が変わる!
畑中 とにかく行動すること。シリコンバレーの人たちは「考えている間にやればいい。失敗したら次!」というスタンス。以前はやりたいことがあっても、費用や時間を考えて動き出せなかったのですが、変わりました。すごいと思った人には電話する、会いに行く。分からないことは調べる。そうやっていい結果が得られたら、ハッピーになってもっと動こう、となる。最初の一歩がすごく難しいと思うけど、踏み出すと世界は広がる。どんどん変わります!
親心で傷つかないようにやめときなさい、という大人もいるけれど、失敗していい。人生100年とも言われているし、いくらでも取り返せる!
畑中ひらりさん(25)。(株)FROGS取締役。兵庫県の長田高校出身。琉球大学理学部海洋自然科学科生物系を卒業。3年前に琉球フロッグスを卒業。
Q 参加してどう変化?
A 自分で考えるようになった。
嘉数 以前は周囲に流されていたけれど、琉球フロッグスを経験して自分が本当にしたいことや、そのために何をすべきかを考えるようになりました。
もともと文系で技術の知識が無かったのでフィリピンに留学しプログラミングと英語を学びました。大学は辞めて、もっと学問的にテクノロジーを学びたいとIT先進国のエストニアの大学に入学するために、準備を進めています。
Q 夢をかなえるには?
A とにかく発信すること!
嘉数 夢を実現させるには、やりたいことを恐れずに発言したりSNSで発信することが大事! 言わないと何も始まらないし、発言することで応援する人も増える。エストニアに行くと決めた後、東京のイベントに参加して人とつながり、エストニアで起業した日本人の会社でインターンができました。
Q 今の社会の課題は?
A 障がい者ももっと自由に。
嘉数 ダウン症のあるいとこがいるのですが、いとこが大人になったときに、選択の幅を広げたい。障がい者は施設へ、というイメージをなくしたいんです。障がいの有無に関わらず、みんながやりたいことにチャレンジできる世界にしたい。
将来的には障がいのある人が社会に貢献できて自立できる仕組みを作りたいです。
嘉数涼夏さん(22)。那覇高校出身。3年前に琉球フロッグスを卒業。フィリピンに留学後、エストニアの大学入学に向けて準備中。
子どもに挑戦、失敗させて
琉球フロッグスで多くの子どもたちに関わってきた(株)フロッグスの山崎暁さん(代表取締役・CEO)。子どもの可能性や親へのアドバイスを聞いた。
親は子どもを守りたくて、失敗しないように手を差し伸べがちですが、親の常識で可能性を狭めないでほしいです。多くの子どもたちを見てきましたが、「なぜ失敗したのか」「もっとこうすればよかった」という内発的な気づきがあった時に、変化、成長します。スイッチが入れば、子どもの目つきや姿勢がガラリと変わる。気づきを促すにはチャレンジを止めずにたくさん失敗させたほうがいいですし、親にできることは過干渉せず、さまざまな情報や選択肢を子どもに提供することだと思います。
現代の子どもたちはデジタル、SNSに小さな頃から親しんでいて、情報を取捨選択するセンスは大人を超えています。また、子どもたちは発想が自由で大きな可能性を持っています。
琉球フロッグスでは、自分が本気で解決したい社会課題をテクノロジーをツールに解決しようと取り組みます。その過程で社会や自分自身と向き合い、世界で活躍している大人に出会う。その中で、変化が生まれます。
社会に出たときに過去の常識に飲み込まれず、良いと思ったことに勇気を持って突き進む人財をさまざまな業界や分野に輩出したい。それは、世の中を良くすることにつながりますから。
山崎暁さん
琉球フロッグスは、2019年5月19日(日)に宮古島、26日(日)に沖縄本島で説明会を開催。5月25日(土)まで、シリコンバレーの滞在費をクラウドファンディングで募っている。
050‐3757‐3915
撮影協力/TOYOPLA
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撮影/比嘉秀明 編集/栄野川里奈子
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第1659号 2019年5月16日掲載