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2018年2月8日更新

[彩職賢美]新垣通商代表取締役の新垣旬子さん|貿易も社会活動も

貿易会社代表の新垣旬子さん(68)は、沖縄の伝統文化の保存と継承にかかわりながら沖縄と台湾、そして他の国々との友好親善交流に力を注ぐ。「貿易は自国と相手国の文化を理解し尊重することから始まる」。台湾に生まれ沖縄に根を下ろし、活動の幅を世界に広げる新垣さんならではの発想だ。新垣さんは協調の精神を大切にしながら、地域社会の発展に尽くしている。

国際交流と文化継承に注力|彩職賢美
 

国際交流と文化継承に注力

新垣通商代表取締役
沖縄県貿易協会会長
那覇大綱挽保存会相談役
新垣旬子 
さん

「華冠奬」を2013年に受賞した。同賞は台湾総統が授与する。世界で活躍する台湾出身女性企業家の中から最も傑出した10人を3年に1度選出する。審査基準がビジネスネットワークの拡大や女性の地位向上、国際交流、次世代育成、ボランティア活動などいくつもあり厳格だ。

受賞者は第1次、2次審査を経て最終審査で決まる。新垣さんは「なかなかもらえない賞。事業の成功だけでなく、社会貢献、ボランティア活動などをやってきたことが評価された。支えてくださったみなさんのおかげ。これからも社会の役に立てるよう日々努力を重ねていきたい」と話し、今後の経済、社会活動の弾みになるととらえている。

夫勇さんとともに1980年に創業した新垣通商は、アジアを拠点に沖縄や日本の商品を世界に向けて輸出する総合商社だ。夫は華冠奬受賞の年、知らせが届く直前に亡くなった。享年71歳だった。

夫が那覇大綱挽保存会の理事長、会長を歴任したほど、沖縄の伝統文化を愛していた関係もあり、3人の子どもたちともども大綱挽にのめり込んでいる。長男昌人さんは同会執行役員、次男龍太さんは行列委員長、長女美佳さんもムムヌチハンター(綱挽に着る衣装)姿で参加している。

会社の代表としての新垣さんの活躍は目覚ましい。「チャンスが多い分、危険も多かった時代」(新垣さん)に、私立高校の英語教諭だった夫とともに創業した会社は夫亡き後、社員と共にさらに飛躍、発展させた。昨年12月には経済産業省が全国の企業から選ぶ、地域未来牽引企業2148社に選定された。沖縄からは45社が選ばれた。

決断力には定評がある。温和な顔立ちながら時代の荒波を泳いできた自信からなのだろう、海ブドウの生産力が追いつかないと聞くと、離島に生産設備を建てた。台湾進出を目指す県内・国内の企業が輸入規制の壁にぶつかっていると聞くと、台北市内にアンテナショップ「日本物産情報発信館(E∞JAPAN)」を昨年オープンさせ、同社が38年にわたって蓄積したノウハウで支えている。

昨年、伊是名漁業組合から「伊是名島モズク大使」に任命された新垣さん。海ブドウの養殖施設は一昨年、同島につくった。今後の消費拡大を見込んでの思い切った投資だ。アンテナショップは台北駅近くの台北地下街にある。日本のいいものを台湾の人たちに紹介する。それが新垣さんの立ち位置だ。

出展企業はいわばライバルだが、台湾政府が食品の輸入規制を強化する中、同館が進出企業の背中を押した。新垣さんは「同業者は競争相手ではない。お互いの経済資源を共有できる仲間。沖縄はそういう協力関係が保てる、素晴らしい場所です」ときっぱり。

いいものを持ち寄って共に発展しようという新垣さんの相互扶助の姿勢は、ボランティア活動、国際交流活動にも現れている。

「文化って、人の心に残る。物の売り買いと違って、まずは相手を知ることが要求される。手と手をつないで一緒に歩むところに摩擦は起きない」。新垣さんは「喜ばれることに喜びを」の精神で、地域と共に成長する。


「華冠奬」のトロフィー
「華冠奬」のトロフィー
「華冠奬」のトロフィーと長男昌人さんと出席した授賞式の写真。日頃の地道な活動が認められ、喜びもひとしおだ。


ムムヌチハンター姿で勢ぞろい

ムムヌチハンター姿で勢ぞろい
那覇大綱挽に家族そろって参加する、ムムヌチハンター姿の(左から)次男龍太さん、長女美佳さん、新垣さん、長男昌人さん=写真。新垣さんが代表を務める新垣通商も同綱挽に全面協力している。
夫の勇さん(故人)は、那覇大綱挽を復活し初代会長だった比嘉佑直さん(故人)の空手の弟子だった。自然と新垣さんも大綱に魅せられた。
新垣さんの子どもたちの遺伝子の中にも、父母の大綱挽好きが引き継がれている。


日本情報発信館オープン|沖縄や日本国内の台湾向け輸出を支援するアンテナショップ「日本物産情報発信館」が台北市内に開店した。写真手前中央が新垣さん。(写真は上3枚とも新垣通商提供)

日本情報発信館オープン
沖縄や日本国内の台湾向け輸出を支援するアンテナショップ「日本物産情報発信館」が台北市内に開店した。写真手前中央が新垣さん。(写真は上3枚とも新垣通商提供)


新垣さんのハッピーの種
Q.幸せと思うときは?
誰かの役に立っていることに喜びを感じます。人が喜ぶのを見て、人の笑顔を見て、自分が笑顔になっています。
20代のころ、大綱を挽く男性が格好良く見えました。燃える力を感じました。大綱挽は、イコール夫です。子どもたちもおなかに居るときから綱挽を実感しています。那覇大綱挽は沖縄の心です。
宮古の下地中学校と台湾の漢口中学校がホームステイ20周年。続いていることがとてもうれしい。


新垣通商代表取締役、沖縄県貿易協会会長、那覇大綱挽保存会相談役の新垣旬子さん
PROFILE
あらかき・じゅんこ
1949年台北市生まれ。60年、家族と共に沖縄へ。沖縄の小中高校から国立台湾大学へ進学。70年に結婚。80年、夫と新垣通商を開業。2002年から琉球華僑総会の会長を2期務め、13年、「華冠奬」を受賞。現在、サンテック開発社長、那覇大綱挽保存会相談役、沖縄県貿易協会会長、日本中華聯合聰會會長ほか、華僑華人関連団体の役員を多く担う。



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撮影/比嘉秀明・編集/上間昭一
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1287>
第1594号 2018年2月8日掲載

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