[彩職賢美]ガラス作家・吉田栄美子さん|ガラスで特許|fun okinawa~ほーむぷらざ~

沖縄で暮らす・食べる
遊ぶ・キレイになる。
fun okinawa 〜ほーむぷらざ〜

彩職賢美|沖縄の輝く女性にインタビュー

わたしらしく

彩職賢美

2016年7月28日更新

[彩職賢美]ガラス作家・吉田栄美子さん|ガラスで特許

才色兼備『沖縄で働く女性は、強く、美しい』

「面白い」が源 コツコツ20年



きらきら光るガラスに埋め込まれた草花やチョウ。植物や昆虫を焼き付けたガラス「つづるガラスアート」の技術で、昨年特許を取得したグラスワークスちゅきの吉田栄美子さん(47)。「面白い」を原動力に一人で約20年研究を続け、特殊な釉薬を作り上げた。思い出の植物を焼き付けるオーダーガラスは好評で、県外からも注文がある。新たな技術で、ガラスの可能性を広げている。


福島県出身の吉田さん。高校生のころ、テレビの特集番組を見て、ガラス工房に引かれた。短大、ガラス工芸所で学びを深め「変化が大きい」ガラスの素材に魅了されながらも、卒業後は働く場がなく、いったんガラスから離れた。

再びガラス作りに携わるようになったのは、28歳。旅先で訪れた沖縄だった。旅行中に費用がなくなり、ガラス工房でバイトを始めた。「仕事はハードだったけどガラスに触れるのが面白くて、2週間のつもりが3年になった」と屈託なく笑う。

その後、体調を崩して工房を辞め、できる範囲で仕事をしようとアパートの一室に釜を一つ持ち込んで独立。1999年に店舗を借りて、工房を立ち上げた。

仕事の傍ら、ライフワークとして続けてきたのがガラスに物を焼き付ける研究だった。原点は、工芸所での卒業制作の作品だ。「透明なガラスに何かを入れたい」と、ガラスに魚の骨を焼き付けようとするも失敗。骨の形のシールを貼って彫った。

「卒業制作より先を目指したい」と、ガラスを仕事にして以来、一人でコツコツ試作を続けた。貝がら、骨、草花、昆虫、とさまざまなものを試し、釉薬の配合を変えてチャレンジするも、焦げたり、形が残らなかったりと、失敗が続く。試作はすべてのデータを書き残して、釉薬の成分を足したり引いたり。パターンを変えて試し続けた。「しつこいですよね。ほとんど病気」と笑いながらも、「うまくいかなくても、この配合はダメというデータが増えるだけ。諦められなかった」。



研究を積み重ねて約20年。昨年、植物を焼き付けることに成功した。「最初は半信半疑。10回成功して、ようやく『できたかも』と思えた」。県の補助を利用し「つづるガラスアート」として特許を取得した。

チャレンジの原動力は「うまくいったら面白いんちゃうか」という純粋な好奇心だ。子どものころ、アリの巣や石にワクワクした感覚に近い、という。「研究をしたい」という思いは、ハードな仕事を続ける支えにもなった。

ガラスに焼き付ける植物を探し、散歩をしながら立ち止まる。「こんな植物や花があるから昆虫がいて、それを食べる鳥がいて、木があって、と観察すると生態系が見えてくる」と、深く自然を見つめる。作品は、色を抑えたものが多く、はかなく美しい。「移りゆく途中、終わりかけのものに引かれる。頑張って一仕事終えたんだな、と感じられるから」。

自身の作品作りのほかに、この植物を焼き付けたい、というオーダーガラスや、客がデザインから行うガラス作り体験も好評だ。「お客さまそれぞれにストーリーがあって、人生の一部を共有できるのがうれしい。一緒に作っていて、にや~っとしちゃうんですよね」。

植物の種類により釉薬の配合は変わるので、今も研究を続けていて、毎回がチャレンジだという。今後の課題は人材育成だ。「技術を継承して、普及したい。後継者募集中です」と未来を見据える。
 
 


料理を彩る器

ガラスは陶器とは違った味わいで、料理に涼を演出する。白を基調とした器に、カルパッチョやサラダが映える(吉田さん提供)



植物や昆虫を器に

トンボ(写真)と、イブキボウフウ(下写真)を閉じ込めたガラス。
製作は、植物は摘み、虫は死骸に溶剤を塗って干す。その後、ガラスをカットし、植物や虫を付けて焼く。焼き上がったガラスを磨き、再度焼き、仕上げに磨いて完成だ。「一番時間がかかるのは、いい感じの植物を探すこと。常にハサミを持ち歩いています。虫は、いろんな人が持ってきてくれます」。




愛読書は植物の本

「植物が大好き」という吉田さん。「動かないのに、生き延びるためにデータを蓄えて仲間と共有して、戦略を練っている。次に種を残すために、自分は枯れてもデータを残すんです。ものすごく面白いですよ~」と目を輝かせる。

 

吉田さんのハッピーの種

Q.幸せを感じる時はどんなときですか?

息子と散歩をしたり、テレビを見ているときが楽しいですね。

ほかに、息子と一緒に合気道に通っています。体調を崩して以降、リハビリを兼ねて6年ほど続けています。体の中心に筋肉が付いて、大きなダメージがなくなり、歩く姿勢が変わりました。

9月30日まで「おきなわでうまれた硝子展」

吉田さんのほかに、計五つのガラス工房が参加するガラス展が9月30日までザ・ナハテラスで開催中。入場無料。
<問い合わせ>ザ・ナハテラス 098-864-1111

<問い合わせ先>
GlassWorksちゅき
098-989-0233
沖縄県恩納村山田363-1
営 業:午前8時~午後5時日曜
休 み:木曜
メール:info@glasstyuki.com
H P:http://glasstyuki.com/




PROFILE
吉田栄美子(よしだ・えみこ)1968年福島県出身。1988年京都造形短期大学(現・京都造形大学)卒業。1990年東京ガラス工芸研究所卒業。1996年に来沖。1999年読谷村に「ちゅき工房」を構える。2002年「日本のガラス作家55人」入選。2001年から沖展に5度入選。2014年沖展浦添市長賞受賞。2013年、恩納村に工房を移転。2015年特許取得。私生活では、一児の母。



週刊ほーむぷらざ「彩職賢美」|輝く女性を応援!
今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明
編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1222>
第1515号 2016年7月28日掲載

彩職賢美

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
栄野川里奈子

これまでに書いた記事:205

編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

funokinawacolumswitch2016

TOPへ戻る