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2025年10月16日更新

55歳で早期退職→2800坪の畑を購入 農薬や化学肥料使わない「自然栽培」で米を作る男性、モチベーションは|人生ブラボー!⑯

恩納村出身の嘉納宗順さん(72)は、10代で食生活の乱れから体を壊した経験を持つ。食の大切さを知り、55歳で早期退職した後は、名護市の農場で自然栽培による米作りを実践。自身の経験や方法を若い世代にも伝えている。

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嘉納宗順さん(名護市)
早期退職後、畑を購入。自然栽培で3種類の米と野菜作りに取り組む嘉納宗順さん。「稲は刈り取った後から、ヒコバエと呼ばれる新芽が自然と出て、またお米が採れるんです。すごく珍しがられますよ」と顔をほころばせる=名護市の畑

 退職後、自然栽培で米作り 

嘉納さんは、名護市にある2800坪の農場で農薬や化学肥料を一切使わない「自然栽培」に取り組み、自分で作った米や野菜を中心とした食生活を送っている。

「10代のころはインスタントラーメンやコーラなど清涼飲料水が大好きで、ほとんど依存症だった」と嘉納さん。それが原因で重い健康障がいを患った。「目もつぶれそうになり、頻繁な通院で高校は卒業単位が足りなくなるほどだった」と話す。

高校生のころ転機が訪れた。眼科に通うバスで、見知らぬ男性から小冊子をもらった。「『永遠の少年』というベンジャミン・フランクリンの伝記で、著者はマクロビオティックの創始者。シンプルな食生活の大切さが書かれていました」。その本をきっかけに、玄米食に興味を持ち、自炊するようになった。

「それまで玄米というのを知らなかったんですよ。お米は白いものだと思っていたから。当時は玄米がなかなか手に入らず、炊き方も分からなくて苦労したけど、食生活を変えてから、僕の人生は劇的に変わりました。病気やけがも自分で対応できるようになり、病院に行くことはほとんどなくなったんです」

医師に「40代くらいまでしか生きられない」と言われたこともあり、「人生真っ暗で生きるのがつらかった。マクロビオティックに出合えなければ、挫折していたかもしれない」と語る。

食生活を変えたことで体力も自信もつき、20代からは県外の季節労働、30代は県内企業で働いて資金をため、55歳で早期退職。畑を買い、田んぼにして、念願の米作りを始めた。


刈り取った稲は写真のように「はざかけ」し、太陽光と風の力で天日乾燥させる。甘みや旨味が増す

自然の恵み生きる力に

「食生活を根本的に見直せば、その人だけでなく社会にも大きな変化をもたらす」と嘉納さん。「食生活がシンプルになれば、地産地消が進み、動物性食品や加工食品の過剰消費、環境負荷、食品廃棄の減少につながり、社会問題の多くが解消されるはず。自分の食事から見直していけば、食料や資源を奪い合うことがなくなり、世界も平和になると思うんです」と力強い。

今後についても「自然栽培について聞きたいと訪ねてくる人がたくさんいる。この人たちにアドバイスしながら、いつかは自然栽培の拠点を作りたい」と熱い思いを語る。

「玄米と野菜中心のシンプルな食事で健康に生きていくことができることを伝えていきたい」。「100歳まで現役でいきたいね」。日に焼けた笑顔がとびきり輝く。


玄米の生米からお菓子

農場では、「美ら光」、「瑞穂の力」、もち米の3種類のお米と、山イモ、島ダイコン、島ニンジンなども栽培。収穫物のほとんどは家庭内で消費。妻のあけみさんがおいしく料理している。玄米の生米からつくるお菓子=写真=は、宗順さんもお気に入りで、「ちょっとした手土産にも喜ばれる」と夫人。作り方は、半日ほど水に浸した玄米に、てんさい糖、オリーブオイルなど好きな油、アルミニウムフリーのベーキングパウダー、塩を適量入れ、ミキサーでかき混ぜ、ケーキ型に流して180度のオーブンで約40分焼く。

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取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1992号 2025年10月16日紙面から掲載」

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