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2023年12月28日更新
【増やす】疑問スッキリ!Q&A|使い勝手アップ!新NISAを知る
運用利益が非課税になる「NISA」は、2024年から「新NISA」になり使い勝手がアップ! 「よく分からない」「今さら始めても…」という人も、知ることからはじめませんか。ファイナンシャルプランナーの慶田城裕さんに、気になることを聞きました。
けだしろ・ゆたか。(有)ライブアップ取締役。CFPRファイナンシャルプランナー。電話=098(874)6339
Q そもそも「NISA」って?
A 運用して得た利益が非課税になります。
運用して得た利益の税金が非課税になる制度です。基本的に金融商品は、増えたら増えた分に約20%税金を支払わなければならず、銀行の利息からも引かれています。
NISAは個人の資産形成を支援する国の制度として、2014年1月にスタートしました。
Q 新NISA、何が変わる?
A 投資額が大きく、無期限になりました。
これまでの一般NISAは年120万円×5年間、つみたてNISAが年40万円×20年で、どちらか一方のみ使用可能でした。
新NISAの年間投資枠は最大360万円。つみたて投資枠(120万円)と成長投資枠(240万円)が併用可能です。非課税で保有できる限度額は1800万円(そのうち成長投資枠は1200万円まで)と、投資できる額が大きくなりました。非課税で保有できる期間は無期限です。
また、非課税枠の復活も特徴です。限度額を使い切っても、売却した分は非課税枠として翌年に復活します。
かなり大きな改正で、使い勝手が良くなっています。
Q 投資って必要なの?
A 預金には物価上昇のリスクがあります。
リスクを取りたくないので預金、という人は多いのですが、預金にはインフレ(物価上昇)のリスクがあります。例えば、月28万円で生活している場合、インフレが2%で進むと30年後には51万円が必要になります。日本ではずっとデフレ(物価下落)だったのでピンと来ないと思いますが、最近インフレが進んできていますね。
また、日本とアメリカの国民の金融資産を比較すると、2000年を1としたら、20年間でアメリカは3.4倍、日本は1.4倍です。それはアメリカ人が金融資産の半分を投資に回して増やしたから。国は国民の投資を後押しすることで、資産を増やすこと、株式などへの投資による経済成長を目指しています。
Q 商品選びに迷う…。
A 王道は全世界株のインデックスファンドです。 「経済が成長すれば、株式が上がる」が、株式の基本です。シンプルに考えると、将来成長するかの目安の一つが人口です。人が増えると必要な食べ物もサービスも増える。今後、世界の人口は増えていくと予測されていて、経済も成長すると考えると、全世界へ分散投資する全世界株のインデックスファンドが王道です。
ちなみにインデックスファンドとは、市場の値動きを示す指数(=インデックス)の値動きに連動した成果をめざす投資手法で、手数料も安いです。もう少し利益を目指したい場合は、指数を上回る運用成績を目指す「アクティブファンド」や個別株を加えるのも一つの方法だと思います。
Q 資産の何割を運用に当てるといい?
A いつ何に使うか、を考えましょう。
使う時期、目的によって変わります。まずは「5年後の旅行」「10年後の子どもの大学資金」「20年後の老後」など目的を決めること。目的が決まると時間軸と、どのくらい運用に回すかが見えてきます。
理想は、財布を大きく三つに分けること=下図。一つ目は、短期で使うお金。生活費や病気、災害用として、生活費3カ月分くらいが目安です。二つ目は、中期の貯めるお金。近いうち(5年以内)に使うことが決まっている結婚・住宅・教育資金などは、安全性重視の定期預金や債券が良いでしょう。三つ目が、長期的に増やしたいお金。株式や投資信託になります。
Q 運用のリスクを減らすには?
A 長期・積み立て・分散、が基本です。
運用すると資産の増減があるのですが、過去のデータでは投資信託を長期(10年以上)保有するとマイナスにならない、という統計が出ています。将来もそうだとは言い切れないのですが、一つの目安になると思います。
積み立てには、「ドルコスト平均法」という一定金額を定期的に(例えば毎月1万円)購入する方法があります。金融商品が安いときに多く、高いときに少なく買うことで、同じ額で多くを買うことができます。
また、さまざまな商品に分散して投資することでリスクが分散され、安定性が増します。
とは言え、リスクはゼロではないので、少額から始めるといいでしょう。始めると関心が出てきて知識が増えていきます。
Q いくつまで運用ができる?
A 10年先に使いたいか、が一つの目安です。
人生100年時代、老後のために資産を増やしたい、と考える方は多いです。リスクを抑えるには運用期間を10年ほどは考えておいたほうがいいので、10年先にお金を使いたいかが一つの目安です。将来的なリスクに備えるために、60代以上の方はお子さんなどに最低限の情報(どの金融機関にどんな商品を持っているか)を共有しておくといいでしょう。
Q NISAとiDeCo、どれがいい?
A 老後資金ならiDeCoを優先、併用もオススメです。
税制の優遇が大きいのは、圧倒的にiDeCo(個人型確定拠出年金)です。ただし原則的に60歳まではおろせないので、老後資金ならiDeCoを優先するといいと思います。最近増えている単身世帯も老後の備えが必要なので、iDeCoをオススメします。教育資金がかかる子育て世帯は、NISAの方が使い勝手がいいでしょう。
運用期間が長い若い人の場合、理想は併用すること。例えば月5万円貯金するなら、1万円をiDeCo、2万円をNISA、2万円を財形貯蓄、というイメージです。ある程度財形貯蓄が増えたら、その割合を変えていく方法もあります。
「お金を増やしたい」という目的の方がいるのですが、使わなければ意味がありません。後の生活をどう良くしたいかを、イメージするといいと思います。
※投資は元本や利回りが保証されるものではありません。資産運用や投資の判断は自己責任で行ってください。
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第1899号 2023年12月28日掲載