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2023年6月1日更新

歯周病 なぜ怖い?|そろそろ本気で! 生活習慣病予防③

歯周病は歯肉を痛めたり歯が抜けるだけでなく、重篤な疾患を招いたり日常生活にも影響を及ぼしかねないこと、知っていましたか? 6月の「歯と口の健康週間」にちなみ、歯周病のリスクや予防について専門家に聞きました。


歯が健康で体も健康に

赤崎歯科(那覇市)の赤崎栄院長は「歯周病によって歯が抜けると、食べ物がかみづらくなったり、発音がしづらくなったりと日常生活に支障をきたす。さらに口内にとどまらず糖尿病など体の疾患にも悪影響を及ぼす。予防には食後の適切な歯磨きと規則正しい生活習慣が大事」と呼び掛ける。
 


ドクターから

赤崎栄さん|赤崎歯科院長
あかさき・さかえ 1979年に那覇市で赤崎歯科を開院。日本歯周病学会専門医、日本臨床歯周病学会認定医、日本口腔インプラント学会専門医

歯は、一般には歯茎と呼ばれる粘膜「歯肉」や、歯の周囲の骨「歯槽骨」によって支えられている。歯周病は、そうした歯の周辺組織に発症する病気

歯周病とは歯の周囲の組織に発症する病気で、歯肉=下図参照=のみが炎症を起こしている状態である「歯肉炎」と、それが歯の周囲の骨にまで波及した「歯周炎」の二つに大きく分けられる。赤崎院長は「歯周病は遺伝的な要素もあるが、基本的には約10種類の歯周病菌による感染症。口内の歯周病菌によって歯肉が炎症を起こすのが歯肉炎。それが進行して歯周炎になると歯肉から血やうみが出て、口臭の原因になる。また、炎症によって歯を支えている周囲の骨が溶けていき、やがて歯がぐらつき始め、ついには抜けてしまう」と説明する。



歯周炎によって歯がぐらついたり抜けたりすると生活にどのような影響を及ぼすのか。赤崎院長は「食べ物がかみづらくなって軟らかいものに食事が偏り、栄養失調になるおそれがある。歯が抜けるとサ行などが発音がしづらくなり、顔の印象など見た目にも影響を与えるので、人とのコミュニケーションにも支障をきたす」と話す。

近年は、認知症との関係も指摘されているという。「歯周病になるとできる毒素(ジンジパイン)が血液を通して脳にいき、アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβを増加させる。よくかむことでアミロイドβは減少することも分かっているので、かみづらくなる歯周病は一層予防が重要になる」


糖尿病などにも影響

歯周病は口内にとどまらず、体にも影響を与えるという。赤崎院長は「歯周病によってできる毒性物質が歯肉に侵入し、血液を介して体のいろいろな部位に悪影響を及ぼす。現在では糖尿病をはじめ、心臓血管疾患、呼吸器疾患、早産・低体重児出産、骨粗しょう症などの疾患と歯周病との関係が分かってきた=下参照。歯の健康は、体全体の健康にもつながる」と話す。


自覚症状なく進行

歯周病は抵抗力が衰える40歳以上の人が多く発症するという。赤崎院長は「日本では40歳以上の人の8割が罹患していると言われている。こわいのは痛みなどの自覚症状がないこと。症状が出るころには歯周病はかなり進行している。早期発見のためにも、かかりつけの歯科で定期的に歯科検診を受けて、歯肉をチェックした方がいい」とアドバイス。

また、歯周病は再発しやすい病気なので、治療をした後も定期検診は大事と赤崎院長は指摘する。「治療によって歯肉の炎症自体は治るが、溶けた骨や小さくなった歯肉は元の状態にはもどらない。いったん炎症を治しても、ほかの歯に歯周病菌がいると2、3週間もすると感染し、2、3カ月後には以前のような歯周病の状態に戻る。再発を防ぐためにも定期検診と日頃の適切な歯のケアが大事」



歯周病と関係のある疾患

糖尿病になると高血糖状態による免疫力の低下で歯周病にかかりやすくなり、一方で歯周病をある程度治すと糖尿病が改善しやすくなることが分かっているという。赤崎院長は「歯周病によってできる毒性物質は、動脈硬化を引き起こす要因の一つで、心筋梗塞になるリスクを高めます。また、歯周病になると、歯周病菌が混じった唾液が誤って気道に入ることで、高齢者の死亡原因の上位である誤嚥性肺炎も発症しやすくなります」と説明する。

また、妊娠中に歯周病になると早産や低体重児出産になるリスクが高まるという。「歯周病によってできる毒性物質が子宮までいくと、胎児が胎盤から外れやすくなる働きをするためです。ほかにも、骨粗しょう症の一因にもなります。歯周病によって炎症反応を促進する物質(炎症性サイトカイン)ができることで、骨に炎症が起こり、骨が破壊されます」と赤崎院長。




Q1 どんな人がなりやすい?
A  食後の歯磨きを怠りがち 不規則な生活をしている人

歯周病になりやすいのは、食後の歯磨きを怠りがちな人。歯周病菌は、歯の表面についた歯垢(口内に残った食べ物の残りカスをエサとして集まった細菌のかたまり)をすみかとして繁殖するからです。

食後4~8時間で歯垢はできて、24時間後にはそれが硬くなって歯石になり始めます。歯石になると歯磨きでは取り除きにくくなるし、軟らかい歯垢の段階の方が歯周病菌は活発に働くので、食後の適切な歯磨きによって歯垢をしっかり落とすことが大事。健康な歯肉でも2、3日歯磨きをしなかったり、普段より歯磨きの仕方が悪かったりすると、2週間もすると歯肉炎が発症するおそれがあります。

また、糖尿病や肥満の人は、高血糖状態による免疫力の低下で歯周病になりやすいです。喫煙も、体の抵抗力が落ちることから歯周病のリスクを高めます。夜遅い時間までお酒を飲むなど不摂生な生活は、生活リズムが崩れることから体の免疫力が低下して歯周病の原因になります。適切な歯磨き習慣をはじめとする規則正しい生活習慣を心掛けましょう。

Q2 適切な歯磨きのポイントは?
A 軽い力で1~2歯ずつ磨く

歯の外側を磨く際に歯ブラシの毛先を歯に直角にあて、歯の内側を磨く際は45度の角度にあてる「スクラビング法」と、毛先を歯と歯肉の境目に向けて45度の角度にあてる「バス法」の2種類の磨き方がおすすめ。いずれも、毛先が広がらない程度の軽い力で、小刻みに歯ブラシを動かして1~2歯ずつ磨きます。前歯の内側は、歯ブラシを縦にして先端部の毛先を使って磨きましょう。奥歯の内側は口を大きく開き、歯ブラシを斜めに入れて磨くのがポイント。歯磨き粉の量は、ヘッドの半分ほどが適量です。

歯ブラシでちゃんと磨くのが難しいところは、歯間ブラシやフロスなどの補助的清掃用具を使うのも手です。ただし、使い方を誤ると歯肉を傷めることもあるので、かかりつけの歯科に相談した方がいいでしょう。近年は電動歯ブラシも性能がいいものが出てきています。毛先が自動で動くので、力を入れずに軽く当てるだけで磨くことができます。




Q3 きちんと磨けているかどうチェックする?
A 染め出しで磨き残しを見つける

歯並びが人それぞれ違うように、歯の汚れが残りやすくて、磨きにくい箇所も個人個人で違いがあります。そうした箇所を把握することが効率的に歯磨きをするためにも大事。歯に付着している歯垢を色で染めて、肉眼で確認できるようにする『染め出し』でチェックするのもおすすめです。磨き残しが多い箇所が見つかったら、そこを意識してしっかり磨きましょう。染め出しはブラッシング指導のために行っている歯科もあり、市販の染め出し剤を使って自宅でもできます。
 

鉛筆を持つように歯ブラシを軽く握る「ペングリップ」=右=と、手のひらで軽く握る「パームグリップ」のうち、どちらか自分がやりやすい方を選ぶといい
 


毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
そろそろ本気で!生活習慣病予防③
「第1869号 2023年6月1日紙面から掲載」

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