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2023年1月12日更新

[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美|(一社)グッジョブおきなわプロジェクト 代表理事 喜屋武 裕江さん|人と地域が輝く仕掛けをつくる

病弱で自信のない子ども時代を支えてくれたのは、地域の人たちでした。地域でグローバルに活躍できる人を育てるには、早い時期からの教育・育成が必要です。人と地域、企業をつなぎ、貧困や失業、学力など、沖縄が抱える社会課題を解決。みんながグッジョブ!(いいね)と感じ、人も企業も元気になる仕掛けを、沖縄から世界へ発信していきたい。


撮影/比嘉秀明
 

幸せな未来つくる種まき

(一社)グッジョブおきなわプロジェクト
代表理事 喜屋武 裕江さん



「誰かのために」が原動力
沖縄独自のキャリア教育を


「私はたくさんの仕事をしてきましたが、周りに声を掛けてもらい、『できるかも』とやってみたことがほとんど。今でも、自分の居場所と本当に自信を持って『できる』と言えることを探し続けているんです」

小中高生へのキャリア教育講演では、自身の職業体験と仕事に対する考え方をギュッと凝縮し、スライドを使って楽しく伝える。「こんな大人がいることを知ってもらうのも、励みになるかなと思って」と笑う。

通訳・翻訳の会社では、国際会議(MICE(マイス))の企画運営に携わった。地域や企業のブランディングを手掛け、沖縄県の産業・雇用拡大運動「みんなでグッジョブ運動」に参画。産学官が密に連携した「沖縄型ジョブシャドウイング」の仕組みを構築した。全ての仕事に共通するのは「人」の力を生かし、応援すること。

現在、代表を務めるグッジョブおきなわプロジェクトでは、地域振興とキャリア教育・人材育成の支援を柱に、講演活動や研修会の開催、学習用教材の開発などを手掛ける。「人を幸せにするためには、地域が必要。地域が発展するには、人が必要。人も企業も地域も、全てが元気になる仕掛けをつくり、次世代を育てることが、輝く未来につながる」

学校や企業、自治体へ足を運び、それぞれの思いや考え、実情に寄り添いながら、若い世代が地域や仕事、産業に目を向ける仕組みを提案し、実行をサポート。キャリア教育を通して、貧困や雇用、学力など、沖縄が抱える社会課題の解決に力を注ぐ。

「子どもの頃、地域の人たちに支えてもらった恩を、今できることで返していきたい」
 

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幼い頃から病弱で、学校は保健室登校の常連。母子家庭で育ち、母親が仕事で留守の時は、地域の人が弁当を届けるなど支えてくれた。「足りないものを補い合える地域力があれば、子どもは安心して育つことができる。そんな社会を実現したいと、子どもながらに考えていました」

「学校に居場所がなく、自分に自信もない」喜屋武さんに人生の道しるべを示してくれたのは、かかりつけの小児科医、故・宮城英雅氏。学会資料の文字打ちから始め、看護師に。「自分ができることで人の役に立て、『ありがとう』と給料がもらえる。それが驚きでもあり、うれしかった」

21歳で、徐々に視野が狭くなっていく進行性の眼病を患うも、「できることに目を向けよう」という宮城先生の言葉で、気持ちが晴れた。「今を大切に生きること。そして誰かのために行動する。それが、自分自身を育んでいく。これが私の原点」

10年ほど看護師を務め、翻訳・通訳会社に転職。退職後、沖縄県産ラム酒の製造プロジェクトへの誘いを受け、ブランディングを担った。仕事で頻繁に通ったのは、南大東島。「中学卒業と同時に、進学のため親元を離れる子どもたちの状況と、離島の課題を知る機会になりました」

40歳を前に、ラム酒製造プロジェクトが終了。就職先を探すため訪れた事業所の相談員に、「今までの経験を生かして、人の可能性を引き上げ、支援するのがあなたの役目」と背中を押され、キャリアカウンセラーの資格を取得。人材育成を「やろう」と決めて、チャレンジしたことが、県のグッジョブ運動の推進に携わる足掛かりになった。

近年は、県外の企業や団体からの研修、講演の依頼も増えた。「沖縄と同じ課題を抱える地域は、他にも多い。みんながグッジョブ!(いいね)と感じる仕組みやアイデアを考え、幸せの種として国内外にまいていきたい」。みんなが一人のために、一人がみんなのために動く幸せな循環型社会を目指し、精力的に飛び回る。


 みんなが子どもの応援団 働く大人の後ろ姿を見せる 
大人向けの講演会では、子どもに何かを考えさせる前に「いくつになっても学び、挑戦し、社会と関わる姿を見せることが大事」とメッセージを送る
大人向けの講演会では、子どもに何かを考えさせる前に「いくつになっても学び、挑戦し、社会と関わる姿を見せることが大事」とメッセージを送る

喜屋武さんが構築した「沖縄型ジョブシャドウイング」は、アメリカ発祥の職業教育の一つ「ジョブシャドウイング」がモデル。学生が企業を訪れ、仕事をしている人たちに影のように密着。仕事内容や職場の様子を観察する手法だ。「地域を支える、身近でかっこいい大人を見せることで、子どもたちの仕事への認識の幅を広げ、自身の将来や夢や進路について考えるきっかけづくりになります」と喜屋武さん。

家庭・学校・地域・企業・行政が密に連携して関わる沖縄型ジョブシャドウイングのアイデアは、宮古島の高校受験がヒント。「家族・親戚が昼食時に集まり、一緒に弁当を食べて受験生を励ます様子に、これだ! と思いました」。沖縄型ジョブシャドウイングを軸にした地域連携型キャリア教育は、2015年に文科省と経産省の共同表彰制度「キャリア教育推進連携表彰」で優秀賞を受賞。導入を検討する自治体へ積極的に仕組みと効果を説明している。

小中高校や教職員、保護者、企業・団体などから依頼を受け、学校教育や家庭教育の重要性を主題にした講演も行う=写真。その数は、15年から延べ300カ所、聴衆は4万人に及ぶ。講演会で伝えるのは「今、できること」。家庭や学校、子どもたち一人一人が、生涯にわたって果たす自身の役割や経験の積み重ねを大切に、幸せな人生を送れるように、との狙いからだ。「子どもから高齢者まで、たくさんの人に聞いてもらうことで、地域力のアップにつながれば」と話す。


喜屋武さんのハッピーの種

Q 日々の癒やしは?
 愛猫のいおり(オス)と一緒にゴロゴロしながら寝ること。講演会で使うスライドでも、自己紹介のときにお話ししています。いおりは16年前に、北谷町で運命的に出合い、飼い始めました。自他ともに認めるワーカホリックですが、時間があればすぐにいおりとゴロゴロしちゃいます。

問い合わせ先/同社 http://goodjoboki.com/



プロフィル/きゃん・ひろえ 1968年、大阪府生まれ、那覇育ち。約10年看護師を務めた後、通訳・翻訳会社に転職。県産ラム酒製造プロジェクトでのマネジメントなどを経て、沖縄県のグッジョブ運動に携わる。2015年、一般社団法人グッジョブおきなわプロジェクトを設立し、代表理事に。


今までの彩職賢美 一覧


文・比嘉千賀子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1418>
第1849号 2023年1月12日掲載

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