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2022年12月1日更新
[沖縄]財産を誰にどう残したいか|後悔しない終活⑥【家族編】
「財産を誰にどう残したいか、自分の意思を伝えるのが遺言書。手軽に作れる『自筆証書遺言』が2020年から法務局に保管できるようになりました」と司法書士の藤井浩史さん。そもそも遺言書が必要なのはどんな時か。遺言書にはどんな種類があるのか。教えてもらった。
後悔しない「終活」
本人の意思伝える「遺言書」
財産を誰にどう残したいか
「財産を誰にどう残したいか、自分の意思を伝えるのが遺言書。手軽に作れる『自筆証書遺言』が2020年から法務局に保管できるようになりました」と司法書士の藤井浩史さん。そもそも遺言書が必要なのはどんな時か。遺言書にはどんな種類があるのか。教えてもらった。
そもそも遺言書が必要なのは、どんな時なのか。「財産を誰にどう分けたいか、自分の意思を反映させたい時に遺言書が有効です」と藤井さん。
基本的には、被相続人(財産を残して亡くなった人)の財産を相続する場合、各相続人の取り分として法律上で割合(法定相続分)が決められている。遺言書が必要なのは、法定相続分とは異なる分割を行うケース。例えば、財産は家のみだが相続人が複数いて均等に分けることは難しい、相続人以外に財産を残したい、それぞれに残す財産の割合を変えたい、寄付をしたい、といったケースがあるという。
大きく2種類
遺言書には、大きく「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類がある=下の表参照。それぞれの特徴を教えてもらった。
「公正証書遺言」とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書。公証人という法律の専門家のチェックが入るため、遺言が無効になりにくく、紛失や隠蔽、偽造の恐れがないのがメリット。ただし、作成するのに手間や時間、手数料などの費用がかかり、証人も必要となる。
一方で「自筆証書遺言」は、自分で書く必要があるが、手軽に作成でき費用もかからない。ただし自宅で保管する場合は紛失、隠蔽、偽造の恐れがある。また、相続発生後に、遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人などの立ち会いのもとで内容を確認する「検認」が必要となる。
それが2020年に法務局で保管できる制度ができ、自筆証書遺言の使い勝手が良くなった(申請手数料3900
円)。法務局に預けることで、紛失や相続人による改ざんの恐れがなくなる。さらに検認手続きが不要になるため、相続発生後の相続人の手続きの負担も軽くなる。ただし、預ける時に遺言書の内容のチェックはなく、不備があると遺言書が無効になるため、注意が必要だという。
「せっかく書いた遺言書が無効になる可能性がある、というリスクは大きい。また、書き方に問題はなくても、相続の分配のバランスが悪いと相続人の間にしこりが残ることがある。最低限の形式を満たしているか、内容が十分か、専門家へ一度は相談をしてほしい」とアドバイスした。
Q どんな時にトラブルが起きやすい?
A 遺言書がなく法定相続分とは異なる分割を行う場合、すべての相続人で協議をする必要があります。その際、協議人の中に認知症の人がいたり、行方が分からない人がいると、手続きが複雑に。沖縄は本土や海外に移住している人も多く、そうしたケースは少なくはありません。
また、相続人同士が不仲なケースも注意が必要。例えば、被相続人が再婚したため子どもが複数いて相続人同士面識がない、といったケースはトラブルになりやすいです。
教えてくれた人
司法書士法人ロアックの藤井浩史さん。電話=098(874)2680
編集/栄野川里奈子
『週刊ほ〜むぷらざ』後悔しない「終活」
第1842号 2022年12月1日掲載