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2022年10月20日更新

[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美|学生服のリユース・リサイクルショップ 「ゆいまぁる」代表 與那城 寿恵子さん|中古学生服で 進学の助けに

「沖縄の子育てをしている人たちに喜んでほしい」。その一心で、学生服のリユース・リサイクルショップをオープンしました。専業主婦で、経営経験はゼロ。友人の協力で集めた10着の中古学生服から始めて5年。たくさんの人に支えられ、今では県内各地の中学・高校の制服3万着を扱っています。1人でも多くの子どもたちの進学を支えたい。


撮影/比嘉 秀明

沖縄のお母さんを喜ばせる

学生服のリユース・リサイクルショップ 「ゆいまぁる」代表
與那城寿恵子さん



思いやりと感謝が生む連鎖
続けることが一番の助けに


浦添市にある「ゆいまぁる」の店内には、ブレザーにシャツ、学ランやセーラー服など、沖縄本島各地域の中学・高校の制服がぎっしりと並ぶ。学生服は新品で購入すると1セット5万円ほど。「何枚もそろえるとなると、家計への負担はかなり大きい。中古の制服を活用することで、家計や進学のお役に立てれば」

開業から5年。制服のリユース・リサイクルを通して、子どもの貧困やさまざまな困りごとに触れてきた。「ずっとお下がりを着せていた。やっとサイズの合う制服を着せてあげられる」と涙ぐんだ母親。祖父母の家で暮らし、「お金の負担を掛けさせたくない」と、相談に来た男子高校生。「いじめにあって学校を辞めた。制服を見たくない」と買い取りを望んだ女子高生。「気持ちが苦しくなることもある」というが、「すごくありがたい商売」「高校に進学する3年後まで、続けてください」という利用者の声が力になっている。

譲る方にも喜んでほしいと、制服の買い取りを行っているが、「子どもの思い出があって処分できずにいた。誰かの役に立てるならありがたい」と、寄付が増えている。県外から郵送で届いたことも。「リユースの意識も高まっている。制服を持ってきてくださる方には、本当に感謝」

現在、3万点の在庫があるが、「オーダーメードの制服も多く、購入希望者に合うサイズが見つからないことも。数があるほど、たくさんの子どもたちの力になれる」。希望のサイズがない場合は、同じように中古学生服を扱う他の店舗と連絡を取り合い、見つかるように心を砕く。商業施設と中古学生服を扱う4店舗が連携し、学生服を集めるプロジェクトも展開中。譲る人、購入する人、支える人の縁をつなぎ、思いやりと感謝の連鎖が生まれている。

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結婚後、専業主婦として二児の子育てに力を注いでいた。「友人たちから、『手が掛からなくなってきたら、お金が掛かるようになる』と聞いていたので、パートで働こうと思っていました。自分で起業するなんて考えたこともありませんでした」

そんな考えを一変させたのが、県外での制服のリサイクル活動を取り上げたテレビ番組だった。「沖縄にもこんなお店があれば、子育て中のお母さんたちに喜んでもらえるのでは。人の役に立てる仕事がしたい!」。湧き上がった思いを即行動に。1カ月後にはアパートの一室を借り、手書きで制服買い取りのチラシを作成して活動を始めた。

「クチコミでママ友を紹介してくださったり、お店のチラシを大量に配布してくださったり、お客さまがいい循環を与えてくださいました」

1年後には県内各地から中古学生服が集まるようになり、2年目には同じ思いを抱く主婦2人も、スタッフとして加わった。扱う学生服の地域を絞れば利益は出るが、「沖縄のためになることがしたい」と、県全域の学生服を扱うことにこだわる。

コロナ禍で売り上げが落ち、経営が厳しくなったときに抱いたのは、「絶対に店を閉めたくない!」という強い思い。「困っている人はこれから先、何年も居続ける。待っている人たちの存在が私のエネルギー」

経営を学ぶため、ビジネス団体にも参加。新たな知識と人脈を生かし、子育て中の人に喜んでもらえる新しい事業にも取り組む。「パートで働くことしか頭になかった私が、人のお役に立てる仕事に携わることができたように、子育て中でも、たくさんの可能性がある。お母さんたちが自信を持ち、やりたいことができるきっかけづくりができれば」。沖縄の人たちの笑顔を胸に、歩みを進める。

 家族の応援が力に 感謝と笑顔を忘れず 

長女の希望で、3年前のクリスマスに與那城家の一員となった、愛犬のレアちゃん。息子さんとも大の仲良し。おなかを触られるとリラックスモードに(與那城さん提供)


専業主婦からの転身。子育て中心の生活スタイルから、仕事との両立へと変化する中で、「家族のサポートが、楽しく仕事が続けられている要因の一つ」と感謝する。

「子どもたちの送迎など、夫も家事・子育てをサポート。子どもたちもそれぞれ、できることを手伝ってくれるように。父と子で触れ合う時間が長くなり、コミュニケーションが生まれ、いいバランスになっている」

朝、與那城さんを起こすのは、小学3年生の長男の役目。「夜は早く寝て、朝6時に起きてゲームをするのが息子の日課。やりたいことがあるから自分でしっかり起きて、私まで起こしてくれる。いつもは怒られる対象のゲームが、役に立った。時には子どもに頼ることも大事ですね」と笑う。

日曜日は晩ごはんを作らないと決め、家族で外食を楽しむ。3年前に迎え入れた保護犬のレアちゃんも、家族をつなぐ架け橋になっている。

「仕事を始めていなかったら、全部自分がやらなきゃと抱え込んで、苦しくなっていたかも。子どもたちが『ママすごいね』と言ってくれて、本当にありがたい。私が笑顔で、楽しく過ごしていたら、周りもみんな楽しくなる。感謝と笑顔は最強です」

 與那城さんのパワーの種 

Q.一番の楽しみは?

娘と一緒にやりたい! と始めて、10年続けているフラです。ハワイと沖縄って似ているところがあるので、興味を持ちました。

教わっている先生も若々しくて、社会活動にも積極的で、私も「ああなりたい!」と思いながらレッスンを受けています。娘は今、中学2年生。イベントなどで一緒に踊ることが私の一番の楽しみであり、うれしいことです。


プロフィル/よなしろ・すえこ
1979年、豊見城市生まれ。小禄高校卒業。サービス業などに携わった後、結婚。専業主婦から起業し、2017年に浦添市に学生服専門リユース・リサイクルショップ「ゆいまぁる」をオープン。今年2月、北那覇税務署通りに移転開業した。

■問い合わせ先/「ゆいまぁる」 電話080・2790・4982(木曜・日曜定休)


今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明 文・比嘉千賀子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1412>
第1837号 2022年10月20日掲載

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