美しく
2022年5月5日更新
[沖縄]Smileエイジング(2)|分子栄養医学 (オーソモレキュラー)
加齢とともに増えるトラブルや病気と上手に付き合い、健康管理しながら、笑顔で年齢を重ねたい方へ。
続く不調 亜鉛・ビタミンD不足?
加齢とともに増えるトラブルや病気と上手に付き合い、健康管理しながら、笑顔で年齢を重ねたい方へ。最新医学に基づく統合医療、体調を整えるエクササイズやスポーツなどの専門家が堀基子さんと対談。毎回のテーマに合わせた簡単ヘルシーレシピも紹介します。今回は「ビタミン・ミネラル不足で起こる現代型の栄養不良」について、新健幸クリニックの潮平先生とお話しします。
先進統合医療 潮平 芳樹 さん (新健幸クリニック院長)(左)
しおひら・よしき/千葉大学医学部卒業後、県立中部病院をはじめ各地の県立病院内科で勤務、豊見城中央病院院長などを経て、2019年に新健幸クリニックを開業。高濃度ビタミンC点滴治療法認定医。
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食 堀 基子 さん (野菜ソムリエ上級プロ)(右)
ほり・もとこ/野菜ソムリエ上級プロ、J Veganist、アンチエイジング・プランナー、ベジフルビューティーセルフアドバイザー、アスリートフードマイスター3級ほか。第6回・8回野菜ソムリエアワード銀賞受賞。
分子栄養医学 (オーソモレキュラー)
堀 近年、特定のミネラルやビタミンが不足する現代型の栄養不良が話題になっていますね。どんな栄養素が足りない方が多いのでしょうか。
潮平 特に亜鉛やビタミンD不足の患者さんが目立ちますね。亜鉛が不足すると、脳、副腎、甲状腺などの機能低下、免疫機能低下、髪質の低下や脱毛、傷の治りが遅い、血糖値の上昇、食欲低下、情緒不安定や記憶障害、うつなどを引き起こします。
堀 味覚異常を引き起こすのは知っていましたが、こんなに多くの症状の原因になるとは! 1日の亜鉛の摂取の推奨量は、成人男性11mg、女性8mg。これは亜鉛が豊富な牡蠣(かき)で3~4個、牛肉なら200gですから、毎日十分にとるのは少々難しい栄養素ではありますね。
潮平 亜鉛は体内でさまざまな酵素の働きに関わる大切な栄養素ですからね。ミネラルやビタミンの不足は、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症などの疾患をはじめ、副腎疲労や慢性疲労症候群などの発症にも関わることが分かっています。
堀 副腎疲労は初めて聞きました。どんな症状が起こるのですか。
潮平 疲れが続く、朝起きるのがつらい、コーヒーやコーラを飲まないとシャキッとしない、毎日ストレスを感じる、塩辛いものや甘いものが無性に欲しくなる、イライラや不安感に悩まされる、病気やケガの回復に時間がかかる、頭がボーッとしたり記憶が曖昧だったりする、性欲や気力の減退、便秘や体重増加などさまざまな症状が起こります。
堀 一つ二つは私も当てはまりますよ! 更年期や加齢、過労などのせいにしてしまう症状が多いですね。
潮平 病気というほどではないけれど、なんだか元気がないという状態が続くなら、副腎疲労が疑われます。一方、ビタミンDが不足すると感染しやすく、糖尿病、脳や心血管病が起こりやすくなり、さまざまながん、うつや認知症も起こりやすいと報告されています。ビタミンDを増やすには、15分程度の散歩などで紫外線にあたり、魚を最低でも週2~3回は食べるようにしてください。
堀 ミネラルやビタミンの不足は、どんな検査で分かるのですか。何か特別な検査方法なのでしょうか。
潮平 足りない栄養素を補って治療する分子栄養医学
潮平 血液検査に加えて、体内の21種類のミネラルの過不足と15種類の有害金属の蓄積状況が分かるオリゴスキャンという検査(保険適応外)があります。ミネラルやビタミンの不足が分かったら、食事だけで不足しがちな栄養素やミネラルは、それぞれ患者さんに適したサプリメントを処方する場合もあります。こうした分子(細胞)レベルで最適な栄養素を投与する治療法は分子栄養医学と呼ばれ、注目を集めています。
堀 亜鉛は切り干し大根、枝豆、ごま、ノリにも
堀 毎日の食生活も重要ですよね。ミネラルもビタミンも豊富で新鮮な旬の野菜や果物、魚介類、肉、卵、大豆製品、乳製品などの食材、ごまや海藻などの乾物、玄米や雑穀などをしっかりとりたいですね。
亜鉛を補う常備菜!
「牛肉と切り干し大根のしぐれ煮」
●材料(1人分)
牛細切れ肉150g、切り干し大根20g、ニンジン1/4本、干しシイタケ2枚、水100ml、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ2、黒糖大さじ1、おろししょうが小さじ1、白すりごま適宜
●作り方
(1)干しシイタケは分量の水で戻し、細く切る。切り干し大根は水で戻し、水気を絞る。ニンジンは太めの千切りにする。牛肉は食べやすい大きさに切る。
(2)鍋に干しシイタケの戻し汁、しょうゆ、みりん、黒糖、おろししょうが、(1)の野菜をすべて入れて火にかけ、沸騰したら中火にし、野菜がほぼ煮えたら牛肉を加え、火が通ったら火を止め、器に盛り、白すりごまをふる。
(3)玄米にもち麦を加えて炊飯し、枝豆とちりめんじゃこを混ぜておにぎりにし、海苔(ノリ)で巻いた、「亜鉛チャージおにぎり」を添えて。
「Smileエイジング」記事一覧
『週刊ほ〜むぷらざ』Smileエイジング(2)
第1813号 2022年5月5日掲載