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2022年4月28日更新

[沖縄]見た目美しく もてなしの心込め|清明祭の重詰め料理

祖先崇拝の文化が色濃く残る沖縄で最大の墓前祭り「清明祭(シーミー)」。これからゴールデンウイークの休みを利用して行う「ナガリシーミー(遅いシーミー)」をする家庭もあるのでは。墓前に供える重詰め料理の供え方、詰め方のポイント、レシピなどを松本料理学院院長の松本嘉代子さんの著書「沖縄の行事と食」から抜粋して紹介します。

奇数の品で墓前に昆布、手前に肉

松本嘉代子さん(松本料理学院学院長)

清明祭では、4段重箱の2段に餅、2段に「御三味(うさんみ)」と呼ばれる料理を詰めて供えます。2段ずつ供えるのが基本ですが、略式で1段ずつでも構いません。重箱に赤カマボコや結び昆布などを入れ、見た目も美しくもてなしの心を込めて詰めます。

一般的な「御三味」は、豚肉、揚げ豆腐、赤カマボコ、昆布、天ぷらなど9品または5・7・11・13品と奇数で詰めるのが基本。墓前側に昆布、手前に肉がくるように供えます。

三枚肉やコンニャク、昆布などの日持ちする煮物は、前日に作るとよいでしょう。冷えていくときに味が染み込むので、冷蔵庫で休ませることでより味がなじみます。カマボコ類や揚げ豆腐、魚の天ぷらなどは、当日準備します。

形よく詰めるためには、重箱に合わせて型紙を作り、それに沿って具材を切りそろえると、きれいに仕上がります。

最近のシーミー料理は、かなり簡略化され、自宅で重詰め料理を作ることも減りつつありますが、本来、シーミーの料理の中心になるのは「餅」と「御三味」の重詰めやお菓子、果物など、これらは沖縄の先祖供養の行事には欠かせない食べ物です。
 
墓前側
手前


 きれいに詰めるポイント 

型紙を作りそれに沿って切りそろえる

重箱の縦横の長さを測り、9等分して型紙を作る。型紙に合わせて具材を切りそろえると、収まりがいい。

詰める順番を意識する
 
最初に詰めるのは右上のカステラカマボコ。次に重箱の四隅を詰める。左上の小天ぷら、左下の揚げ豆腐、右下のコンニャクを入れ、中央の赤カマボコを入れる。そして、中央右のゴボウと同左の田芋のから揚げの長さを調整しながら詰める。最後に上中央に昆布、下中央に三枚肉を入れる。※カステラカマボコ、昆布、白・赤カマボコ、三枚肉の4品の位置は決まっている。それ以外は彩りに合わせて、詰める位置は入れ替えても良い。ただし、全体の品数を奇数にすることは必ず守る。


 供え方のポイント 

昆布は墓前に、三枚肉は手前に

2段の重詰め料理は手前に対して左に餅、右に御三味を置く(右図参照。四段重の時は下図を参照)。御三味は昆布が墓前側に、肉が自分たちの方(手前)に来るように置く。実際に墓前に供える時は手前を墓に向けるので、餅と御三味の位置は上写真のように入れ替わる。※ただし、御三味の向きは変わらないので注意する。

盛り付けるときは左に餅、右に御三味

四段重の置き方
四段重を供えるときは、御三味と餅をそれぞれ2段ずつ用意する。一組は元祖(墓前側)に向け、一組は手前にそれぞれ向ける。このときに御三味の向きに注意。墓に肉を近づけないように墓前側に向ける重箱も、手前に向ける重箱も昆布を墓に向けて置く。



 松本先生に聞いた!
白餅がよく余ってしまうのですが…おすすめの食べ方は?

白餅にチーズを挟んで食べる。冷凍しておくといつでも使えて便利。
みそ汁にもよく合う。
餅を適宜に切って、フライパンに油を敷いて焼き、砂糖じょうゆで味 付けして食す。
餅を軟らかく煮て、たっぷりのきな粉をまぶしたり、小豆あんを乗せ て食べてもおいしい。
揚げ餅にして、カリカリした食感を楽しむのもいい。




重詰め料理9品の中から煮物、揚げ物の代表的な料理3品をピックアップ。そのレシピを紹介します。

 豚三枚肉 
豚三枚肉

●材料(2箱分)
豚三枚肉1kg、かつおだし2カップ、泡盛(30度以上)3/4カップ、砂糖1/2カップ、しょうゆ1/2カップ

●作り方
 鍋にたっぷりの水と塊のままの三枚肉を入れ、1度ゆでこぼす。再びたっぷりの湯に三枚肉の皮を上にして入れる。最初は強火にし、アクが出たら取り除き、中火にする。肉が浮いてきたら30分ほど煮る。さらに裏返して20~30分ほど煮る。※においがこもらないように、ふたは開けたままにする。冷ますときはゆで汁につけたまま冷ます。

 型紙より少し長く切りそろえ、約1cm厚さに切る。※肉はゆでたり、煮付けることで縮むので大きめに切る。

 鍋に分量のかつおだしと泡盛、2の肉を切りそろえたまま入れて煮る。次に砂糖を加えて、しばらく煮た後、しょうゆを加え、さらに中火でつやが出るまで煮付ける。
※泡盛は30度以上のものを使う。


 コンニャク 
コンニャク

●材料(2箱分)
コンニャク1個、かつおだし1カップ、砂糖小さじ1~2、しょうゆ大さじ1

●作り方
 コンニャクは8cm長さの4cm幅に切り、真ん中に切り込みを入れ返す「手綱」にして、アクを取るために軽くゆでる。※水から入れて一度煮立て、ザルにあげる。長く煮すぎると硬くなるので注意する。

 かつおだしに砂糖、しょうゆを入れて煮立て、1を加えて味を浸透させる。


 小天(クティン)ぷら 
小天(クティン)ぷら

●材料(2箱分)
白身魚小200g、塩少々、小麦粉少々、揚げ油適量、衣(全卵1個、卵黄1個、水大さじ3~4、塩小さじ1、小麦粉1カップ強)

●作り方
 白身魚を1cm角の7cm長さに切って薄塩をし、ある程度時間をおいて身を引き締める。

 ボウルに割りほぐした全卵、卵黄、水、塩を入れて混ぜ、その中にふるった小麦粉を入れ、さらに混ぜ、濃いめの衣を作る。※粉をふるうのはダマをつくらず、空気を含ませるため。

 1に小麦粉を軽くまぶし、2の衣をつけて180度に熱した油で色よく揚げる。両端を切りそろえると、きれいに盛り付けられる。

 
県内書店で発売中の「沖縄の行事と食~伝統のならわし・重詰め料理~」(松本嘉代子著)では、重詰め料理をはじめ、行事料理のレシピを詳しく紹介している。2200円(税込み)。
問い合わせ/タイムス住宅新聞社 ☎098(862)1155

毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1812号 2022年4月28日紙面から掲載」

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