教育
2022年2月3日更新
教えて!百名さん|思春期の性教育⑩
「思春期」の子どもたちや大人から寄せられた「性」に関する質問に、助産師の百名奈保さんが答えます。今月は、15~18歳の子どもたちからの質問です。
15~18歳編
子どもからの質問
Q 性欲が強い。1日に何回もマスターベーションする自分はおかしい?
A 性欲は無理に我慢しなくていい。マスターベーションは日常生活に支障がないペースで
中高生男子からのメール相談の多くが、性欲についてです。「マスターベーションをやめたいけど、してしまう」「自分はおかしいのか」と、性欲があることを「後ろめたい」と思う男子がいます。
性欲は食欲や睡眠欲と同じものなので、無理に我慢する必要はありません。マスターベーションの回数は1日に何回でも大丈夫ですが、宿題の時間がなくなったり、睡眠不足になるほど行うのは心配です。日常生活に支障がないペースで、プライバシーを守れる場所ですればOK。
間違ったうわさで、過度なマスターベーションで死亡するという意味の「テクノブレイク」という言葉がありますが、正しい方法で行うマスターベーションは体に悪い影響は与えません。反対に「もやもやが解消される」「ぐっすり眠れる」などのメリットもあります。
彼らには「性欲があるのは健康な証拠。思春期は性欲を自分でコントロールできる大人になるための期間」と伝えています。
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子どもからの質問
Q 包茎は女子に嫌われる? 手術を受けた方がいいの?
A 仮性包茎であれば自然な状態で、手術の必要はない。真性包茎なら治療が必要な場合も
思春期講演をする前に、生徒の皆さんにアンケートを行いますが、男子のお悩みトップ3の中に必ず入るのが「包茎」についてです。
「仮性包茎」は、普段、亀頭に皮がかぶっていても手でひっぱるとむけて、その後、元に戻すことができる状態のこと。これは自然な姿であり、ナチュラルペニスと呼ぶ人もいます。日本人男性の70%くらいが仮性包茎で、包皮が亀頭を保護してくれているので、このままでいいという大人がほとんどのよう。恥ずかしいことではないので、手術は不要です。
一方、「真性包茎」は、亀頭と皮が癒着しており、全く皮をむくことができない状態です。新生児のほぼ100%、小学生の30%に見られ、思春期以降は少なくなると言われています。包皮炎をくり返す場合や、おしっこをするときに皮が風船のように膨らんでしまう場合は治療が必要になることがあります。泌尿器科医に相談してくださいね。
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子どもからの質問
Q 中絶できる時期はいつまで?相手の同意は必要?
A 中絶手術ができるのは妊娠22週未満(21週と6日まで)。未婚なら相手の同意は不要
人工妊娠中絶とは、人工的に妊娠を途中でやめることです。妊娠初期の手術は器具の使用や吸引で行いますが、妊娠12週を過ぎると人工的に陣痛を起こして流産させる方法をとります。この場合は、死産の届け出が必要。中絶の手術ができるのは妊娠22週未満までです。
昨年12月、経口妊娠中絶薬(飲み薬)の承認の申請がされました。認可されれば、手術より心身への負担が少ない方法で人工妊娠中絶が可能になります。
中絶手術の際、結婚していれば本人と配偶者の同意が必要ですが、未婚の場合は相手の同意は不要。産むか産まないかを決めるのは、本人だからです。未成年の場合も保護者の同意は不要とされていますが、手術時の急変の可能性を考慮して、病院は保護者の同意を求めることが多いようです。
中絶は、できれば経験したくないことですが「選択肢の一つ」「女性の権利」です。無理やり誰かに決められることなく、本人が自分で選べることができたらいいなと思います。
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★百名さんに聞いてみたい、読者の皆さんからの質問を受け付けています。些細な事でも、上手に伝えられなくてもOKです!下記のURL から気軽にお寄せください。
http://mail-to.link/m7/4sv7d8
ひゃくな・なお/那覇市嘱託助産師・保健師として、学校で性教育について講話。子どもたちからの相談も受け付けている。那覇市首里で、「助産院*きらきら」を開業
same-moon@comet.ocn.ne.jp
「思春期の性教育」2022年1月までの記事はコチラから
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1800号 2022年2月3日紙面から掲載」