介護
2021年11月4日更新
紙パンツにパット併用で外出|介護の楽ワザ④
家族の介護をしている人が、経験から得たこつや便利な道具、シェアしたい情報を紹介。今回は、Hさんから外出時に心配なトイレ事情や介護用パンツについてのお話です。
Hさん
病の後遺症で引きこもりがちだった母。トイレの不安を減らして出掛けたら、母も私もすごく楽しめ、気分転換になりました。
トイレの不安減らしコンサートに
家族の介護をしている人が、経験から得たこつや便利な道具、シェアしたい情報を紹介。今回は、Hさんから外出時に心配なトイレ事情や介護用パンツについてのお話です。
母は病の後遺症で長年、自宅で車いす生活。最初はショックから引きこもってしまいました。家族や親しい友人が出掛けようと誘っても断るばかり。外出を嫌がる一番の理由がトイレでした。いくら親しい中でも、「失敗したときのことを想像すると恥ずかしい」など、不安が大きかったようです。また、介護用のおむつをすることも抵抗していました。
ある日、母の好きな歌手のコンサートに誘ったら、最初は不安そうでしたが、会場には身障者用トイレがあり、パッと見、介護用に見えない薄いパンツタイプの紙おむつに尿取りパットを併用すると話すと「行きたい」と返事をしてくれました。
久しぶりにおしゃれをして出掛けたコンサート会場では、車いすの人のためのスペースがあり、移動がしやすいだけでなく、舞台がよく見えるようになっていて、介助者も隣に座れたので私も良い席からコンサートを見ることができてラッキー♪ 生のライブは迫力があり、舞台に向かって手を振ったり、トークに大笑いしたり、「こんな楽しいの久しぶりだね〜」と2人で盛り上がり、すごく気分転換になりました。
通院以外で長時間の外出は初めてだったので、私も緊張しましたが、コンサート会場の身障者用トイレは、車いすで介助する私が一緒に入っても十分動けるスペースがあり助かりました。
また、このコンサートに出掛けたことがきっかけで、母は自信がつき、少しずつ外出ができるようになりました。
多種多様な介護用おむつ
介護用おむつには、紙パンツタイプやテープで留めるタイプの紙おむつなどさまざまな種類がある=上イラスト。自費介護サービスとして外出介助も行うCOCONA(ココナ)の喜納雅子さんは「外出時にピンク色でパンツ型の紙おむつを利用していた高齢の女性がいて、細やかさを感じました」と話す。
【沖縄県バリアフリーマップ】
車いすで利用可能なトイレをはじめ、県内のバリアフリー情報を提供するサイト。地域や外出の目的別に検索できる。
http://okinawa-bf-map.jp/search
専門家からひとこと!
喜納雅子さん
外出は生活や生きる意欲にもつながります!
外出支援も活用し生活に楽しみを
通院のための外出と違って、コンサートなど気分転換のための外出は介護保険制度の対象になりません。しかし、介護保険外の自費介護サービスを提供する民間の事業所で、外出介助や食事介助といった身体介護をはじめ、掃除、洗濯、買い物などの生活援助などを行っています。また、介護認定を受けていない高齢者も利用できます。
当事業所も車いすに乗ったまま乗車できる福祉車両で外出介助を行っており、目的地までのルートに身障者用トイレがあるかなども事前にチェックしています。
Hさんのように、介護用おむつに抵抗を感じる女性は少なくありません。外出時には紙パンツタイプのおむつにパットを併用すれば、失敗してもパットだけを交換すればいいので便利です。
外出時のトイレの不安が減れば、外出への意欲につながり、趣味や気分転換のための外出は生活や生きる意欲につながります。介護をなさるご家族も、いろんなサービスを利用しながら楽しむ時間を持つことが、介護生活の大切なポイントです。
きな・まさこ/家事代行COCONA代表。介護福祉士としての経験を生かし、自費介護サービスなどを提供
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「介護の楽ワザ」記事一覧
取材/赤嶺初美(ライター)
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1787号 2021年11月4日紙面から掲載」