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2021年5月13日更新

[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美リターンズ|琉球黒糖株式会社 代表取締役の又吉祐子さん|厳しい状況こそ前向きに挑戦

彩職賢美に出た人が再登場する「彩職賢美リターンズ」。加工黒糖づくりを手掛け、ことしで創業27年の琉球黒糖(株)。代表取締役の又吉祐子さん(49)は、黒糖とチョコの組み合わせや、かわいらしい商品パッケージデザインなど、女性の視点を商品開発に生かし、黒糖の可能性を追求している。昨年からのコロナ禍でこれまで休止していた食品部門を再開し、新事業として、てんぷらの販売を開始。「厳しい状況だからこそ、チャレンジ精神を大切にしたい」とまい進する。

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[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美リターンズ|琉球黒糖株式会社 代表取締役 又吉 祐子さん


琉球黒糖株式会社 代表取締役
又吉 祐子 
さん

食品部門を再開 てんぷら販売も

これまでにない黒糖づくりを目指し、ベースとなる黒糖の味を生かした加工黒糖づくりにこだわっています。商品開発で大切にしているのが、取引先やお客さまなどの声。それをヒントにこれまでに定番商品が40種類以上、受注生産品を合わせると100種類以上の商品を扱うまでになりました。

現在の看板商品で、チョコと黒糖をブレンドした「チョコっとう。」の商品化のタイミングでは、ほ~むぷらざで紹介してもらい、「黒糖でもこんなお菓子ができるんだ」と、多くの人に印象づけることができました。


葛藤の日々乗り越え 父の言葉に決心固め

昨年、代表取締役に就任しました。でも、入社当初から現会長の父に、私がこの会社を継ぐことを促されていました。5年ほど前からそれを本格的に意識するようになったのですが、私にとって葛藤の日々。どちらかといえば、前に出るタイプではないので、社員全体を先頭に立ってまとめることは性に合わないと思っていました。

当時社長の父は、社長としての威厳はもちろん、仕事も取引先との付き合いも完璧。そんな父に近づくため見よう見まねで業務をこなしていました。

ある時、取引を行っていた知人から「背伸びし過ぎていない?」と言われ、私は「完璧に仕事をこなさなければ」との気持ちだけが先走り、実力が追い付いていないと強く思うようになったんです。その時、父に「継ぐことはできません。他の人に任せてくれませんか」と直談判したこともありました。

そんな中、ある商談に参加する予定があったのですが、気が乗らずためらっていると、父から「気の向かない仕事を無理してすることはない。それで売り上げがなくなっても、奮闘して他のところで取り返せばいい」と声を掛けてくれ、一気に肩の荷が下りたんです。

それからは自分らしく自分の思いで仕事ができると思えば、社長だろうと部長だろうと肩書きは関係ない。「足りない部分は、周りのメンバーに補ってもらえるよう助けを求めればいい」と考えられるようになりました。現会長のような威厳や力強さはありませんが、女性目線で商品開発に取り組むなど、自分の得意分野をプラスしていけばいいんだと考え、代表取締役への就任を決意しました。


コロナ禍を機に新事業立ち上げ

航空会社の機内サービスでオリジナル商品を扱ってもらうなど、受注も増え、アジア圏を中心に販路を広げていき順調だったのですが、昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大で売り上げにも影響が出ました。それが、私たちにとって大きなチャレンジの時でした。

受注が減り製造も減る一方で、社員を休業させることなく、仕事の確保ができないかと模索。その際、黒糖の製造ラインが落ち着いた分の人員をこれまで休止していた食品部門に回し、再開することにしました。サーターアンダギーや黒糖あがらさーを販売したところ、好評をいただきました。

さらに、他に打つ手はあるのかと、周りを見わたすと、食品部門で使っている蒸し器やフライヤーに目が留まり、思い立ったのが、気軽に食べられ、おかずやおやつにもなる、てんぷら。総菜店を営んでいる母から、「弁当の需要が増えているし、てんぷらもよく売れているよ」とアドバイスを受け、ことし4月にてんぷらの販売を始めました。

食材は地元のものを使いたいと思い、当社のある糸満市の商業団地内の業者から仕入れています。すると、仕入れ先の方々にも足を運んでもらえるようになり、口コミで少しずつ知ってもらえるようにもなったんです。これまでつながりのなかった業界の方々と新しく関係ができたこともうれしいですね。


周りのサポートに感謝 後世に残るモノづくりを

コロナ禍の厳しい状況の中ですが、仕事が楽しく充実していると感じています。食品部門の再開やてんぷら販売の新事業など、私の思いを形にしてくれたのは、最も近くで見守る父をはじめとする家族や仕事熱心な社員など、周りのサポートがあってこそ。その事業をどう軌道に乗せ、どう進化させていくかがこれからの課題です。

新事業も大切ですが、新商品の開発も忘れてはいません。入社当初から、いずれは作ってみたいと温めている商品アイデアがあります。それは「溶ける黒糖」。「生チョコ」ならぬ「生黒糖」です。とろけるような食感を出すのは難しいですが、実現したいと思っています。これからもチャレンジ精神を大切に世代・時代問わず、沖縄ブランドとして後世に残るモノをつくっていきたい。
  

又吉さんのハッピー

Q.普段から意識していることは?

普段から仕事とプライベートのオン・オフの切り替えを意識するようにしています。業務を終え、会社を出たら「仕事のことは考えない」と、気持ちを切り替えるようにしています。以前は、パソコンを家に持ち帰り仕事をしていたのですが、それでは自分の心身が休まるようなリラックスする時間がなく、精神的につらいと思っていました。

自宅に入ると一主婦なので、家事はもちろん自分の趣味の時間も大切にしています。DVD鑑賞やウインドーショッピングの時間が、私のもっともリラックスできる時間です。


失敗を恐れずチャレンジ!

「失敗を恐れず、やってだめなら、また新しいことを考えればいい」が持論という又吉さん。その考えは、新事業の立ち上げにも生かされた。「何か物事を進めるには、考え方一つ、捉え方一つで変わると思います。マイナスで捉えれば何でもマイナスになるし、マイナスをプラスに捉えれば、自分の中ではプラスになる。仮に失敗しても、そこで得られるものが必ずあると思うので、それを生かせば次はプラスに近づくはず」と話す。厳しい状況でも挑戦心を大事に常に前を向く。

■問い合わせ先/琉球黒糖(株)
電話098(992)8300


[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美リターンズ|琉球黒糖株式会社 代表取締役 又吉 祐子さん
プロフィル
またよし・ゆうこ
1971年那覇市出身。東京の専門学校卒業後、JR東海のパッセンジャーサービスで勤務した後、東京で会社員として働き、99年に帰沖。琉球黒糖(株)に入社。製造部門をはじめ、経理、営業、商品企画・開発と全業務を経験。2020年、代表取締役に就任。21年、新事業のてんぷら販売を手掛け、好評を得ている。
 

[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美リターンズ|琉球黒糖株式会社 代表取締役 又吉祐子さん ほ〜むぷらざ初登場の紙面
初登場の紙面(2012年7月5日号に掲載)

 


撮影/比嘉秀明 文/安里則哉
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美リターンズ<12>
第1762号 2021年5月13日掲載

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スタッフ
安里則哉

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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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