健康
2024年7月25日更新
めまい・不眠など 自律神経の乱れ!|リラクセーション効果に期待|鈴木先生が解説 なるほど鍼灸⑤
体を各パーツに分けて診る西洋医学と異なり、全身を診る東洋医学の鍼灸は、西洋医学だけでは改善しない症状の最後の砦ともいわれます。このコーナーでは、鍼灸の治療法や特徴、その魅力について、沖縄統合医療学院の鈴木信司先生が分かりやすく紹介します。
琉球大学大学院医学研究科博士課程修了、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。医学博士。県内初の鍼灸学科を開講した沖縄統合医療学院学校長。はり師・きゅう師等の国家資格と養成教員資格を持つ。全日本鍼灸学会、日本伝統鍼灸学会等に所属。
自 律神経の乱れは中高年世代に多い悩みです。自律神経は自分の意志とは無関係に、呼吸、体温、血圧、心拍、消化、代謝などを最適な状態に保つために働いており、日中の活動時には交感神経が優位に、夜間の睡眠・休息時には副交感神経が優位になります。しかし、仕事やストレスで緊張状態が続いたり、食事や睡眠の時間が乱れたりして、自律神経のバランスが崩れると、よく眠れない、疲れやすい、疲れが抜けない、やる気が出ないといった不調が起こってきます。
人にはホメオスタシス(生体の恒常性)が備わっていて、体内や外部の環境因子の変化にかかわらず、生命の維持のために大切な神経系、内分泌系、免疫系などが連携して生理機能を一定に保とうとします。鍼灸にはこのホメオスタシスをサポートする効果があるのです。
自律神経の乱れを整えてリラックスできるようにすることを目的とした鍼灸の治療では、あまり強過ぎる施術は行わず、全身がポカポカするような心地よい程度の刺激を与え、血流や体液の循環を促して発痛物質や老廃物などを洗い流し、筋肉の緊張を緩和します。鍼灸にはリラクセーション効果があり、α波が出現するという研究成果も出ています。
刺鍼・施灸の前に、望診(目で見る)、聞診(音を聞く)、問診(自覚症状を聞く)、切診(触診)の四診を行ったうえで、その人にとって最適な施術を行うのですが、実際に鍼灸を受けてみると、心地よさのあまり施術中にウトウトされる方も少なくありませんし、施術を受けた夜はぐっすり眠れるという声をよく聞きます。交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまい、眠りたいのに眠れない、ぐっすり眠れないといった症状がある方は、ぜひ一度、鍼灸を試してみてはいかがでしょうか。
めまいの中には
鍼灸が向くものも
自律神経の乱れによって起こる症状の一つにめまいがあります。食生活の不摂生や疲れがたまり、水分代謝が悪くなって身体がむくみ、耳のリンパに水分がたまると、めまいが起こりやすくなります。また、良性発作性頭位めまい症やメニエール病によるめまいも鍼灸で症状の緩和が期待できます。ただし、めまいの中には、突発性難聴のように早期治療が必要なものや、脳血管障害などに起因する重大な疾患による場合もありますので、がまんせず、まずは医療機関を受診してください。
ツボ刺激でセルフケア
リラックスしたい時
鍼灸ひとくちメモ
鍼灸師ってどんな資格?
厚生労働省が認定した養成施設、文部科学省が指定した大学や専門学校で各科目を履修し、受験資格を取得後、国家試験を受け、「はり師」と「きゅう師」の両方に合格すると、厚生労働大臣免許の鍼灸師となります。
ちなみに沖縄統合医療学院には県内唯一の鍼灸学科があります。解剖学、生理学、病理学概論、衛生学・公衆衛生学、リハビリテーション医学などの専門基礎分野から、臨床医学総論および各論といった西洋医学の専門分野、はりきゅう理論、東洋医学概論、経絡経穴概論、東洋医学臨床論といった東洋医学の専門分野に加え、実技(基礎、応用、臨床)および臨床実習まで、3年間かけて学び国家資格取得を目指します。
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『週刊ほ〜むぷらざ』鈴木先生が解説!なるほど鍼灸⑤
第1929号 2024年07月26日掲載